一気読み小説だった。
やめられなかった。
読みやすいし。
上手なんだろうなぁと思う。
がしかし、うーーーん。あと一歩。
上から目線ですみません。
記憶喪失になった息子の過去の痕跡を必死で隠す母親。
よっぽどの事件を起こしたんだろう、と思う。大量殺人とかね。でも、違った。
わざわざ東京から宮崎に引っ越ししたのに、隣の家の人の態度が拒否的だったのはなんでだろう?なんか知ってたんだろうか?そこの説明がなされていない。事故って記憶なくして8年間入院、新しい家に初めて帰ってきた人を、強く拒否する理由は何?
隣の人が知るほどの事件かと思ったんだけど……。謎。
序盤で繰り返される「僕は母を信じようと思う」も、なんかの伏線なんだなーって思ってたけど、とくに回収されなかったな。
これ、なんだろう。ホラーかもしれない。
全然『静かな感動を生む「自分探しミステリー」』では無い。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4a/03/4560e99b5d786f8edb19cbc08a5c65d7.jpg?1708235735)
ホラーと思って読めば、なかなか意味深い。
うまく育てられなかった息子。記憶を失った事を良いことに、過去を隠して良い子の息子に再度育てあげる母親。
だって、20代の大きな男性を、子どもが言葉を覚えるような所から育て直すんだよ。母親が書いた手記を読むと、小さな子どもの姿が思い浮かぶくらいなんだけど、イヤイヤ、これは20代の男性。と思い直して、ちっともかわいくない。と感じ直す必要があった。
で、良い子に育った息子だけど、昔の仲間に会うことで、昔の人格が顔を出す。
ここ、二重人格状態だと思う。
昔の人格は、凶暴で、執拗で、短絡的だった。
残念!
そしてまた、昏睡状態になる。
昏睡状態になった彼を、昔の恋人が、「お母さんがイチから育てたように、今度はわたしが育てるね。子どもとして、育てるね」って、コワ!!
コワ!しかない。
彼女、結婚して子どももいますからね?
これ、また、成人まで別人格で育って、でもまた本来の人格が蘇ってきてってなってら、
ほら、ホラーだよーーー。
ちなみに、宮崎での彼の周りには、本当にいい人たちがいて、病院の院長さんや療法士や、患者仲間や、仕事先の人たちとか、反対側のお隣さんとか。
そういう人たち、全部裏切って、ごめんなさい、ごめんなさいっていいながら裏切って、
最終的に別人格出てくるっていう。コワ!!
いくらでもいい話になりそうなのに。
ホラーだな。ホラーだった。これ。そうだ。そう思えば、絶品なのかもしれない。