おとぎのお家と青い鳥

本ブログでは、主に人間が本来持つべき愛や優しさ、温もり、友情、勇気などをエンターテイメントの世界を通じて訴えていきます。

青春うたものがたりシリーズ1「風のある町」/ A town with the wind 総集編 4

2008-04-07 21:18:23 | Weblog

bellあなたは、この~青春うたものがたりシリーズ1「風のある町」/ A town with the wind  総集編 4~を見なければ、一生後悔することになるかもしれません。それは、本作品が人の命の大切さや人としての真実の優しさの、その答えを教えてくれるからです。


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第6話/ 生きていることが一番の幸せ
~愛のスカイダイビング~

どんなに淋しくたって 生きていることが一番の幸せだと
誰かが言っていた
どんなに悲しくたって 生きていることが一番の幸せだと
誰かが言っていた
どんなに苦しくたって 生きていることが一番の幸せだと
誰かが言っていた
それは、きっと本当だろう・・・
だって生きているからこそ 笑ったり
だって生きているからこそ 泣いたり
だって生きているからこそ 怒ったり
だって生きているからこそ 楽しんだり
この両手で抱えきれないほどの いっぱいの感動に出会えるのだから・・・



「お二人さん、もう愛の交換タイム(時間)はもう終わりましたかね?」
みんなが搭乗しているセスナ機を操縦している、TOKIOスカイダイビングクラブのオーナー兼インストラクターでもある谷口が、ちょっと大輝と愛をからかうふうにそう言うと、機内は拍手とともに爆笑の渦となり、二人はお互いに顔を見合わせて照れ笑いした。
その姿は、まるで新婚生活を迎えたばかりの、本当の夫婦のようだった。
「どうやら見たところ、愛の交換タイムも終わったようだし、そろそろスカイダイビングの準備に入ってもいいですかね?」
「はい、大丈夫です・・・」
大輝が谷口に向かってそう答えると、愛も「はい、私も大丈夫です・・・」と、結婚式を挙げた時と同じように、大輝に同調するかのように言った。
早速、二人は二千回以上のスカイダイビング歴を持つという、ベテランインストラクターの相葉浩と稲垣健一の指示に従って、結婚衣装の上にジャンプスーツを着込むと、ヘルメット、ゴーグル、手袋などのスカイダイビングに必要な防寒具を身に付けた。
そして、二人は防寒具を身に付ける準備が終わると、インストラクターと体を固定しジャンプするための、ハーネス(パラシュートを装着するための器具)と呼ばれるベルトを背負った。
大輝は相葉と、愛は稲垣と、それぞれにパートナーを組むことになった。
二人が感激したのは、谷口の粋な計らいで大輝と愛が空中で話が出来るように、ヘッドホンマイクを用意してくれていたことだった。
ただ、このハーネスと呼ばれるベルトは、思ったより躰を強く締め付けるものだったので、大輝が愛に“大丈夫か?”と聞くと、笑顔でピースサインが返って来たので一安心した。
このハーネスを強く締める理由は、空中でパラシュートを開いた瞬間に、その空圧でベルトが強く肩にくい込んだり、その反対に躰からすり抜けたりしでもしたら危険だという、安全性上の問題からだという。
「さあお二人さん、いよいよお待ち兼ねの空の散歩に、出掛けることにしますかね・・・」
谷口のその言葉で、大輝と愛が大空に飛び出すための、セスナ機の乗降口が開かれた。
もちろん、初めての体験だということもあったのだろうが、その予想以上の風圧の強さと空気の冷たさに、きっと突如として恐怖感に襲われたのだろう。
乗降口が開かれたそのとたん、ついさっきまでスカイダイビングの準備が終え、自信満々に笑顔を見せてはりきっていた大輝の顔色が、まるで全身から血の気が引いたように青白く豹変し、彼は思わず腰砕けしてしまったように後ずさりした。
「ち、ちょっと待ってください!」
そんな大輝の、子供のようなへっぴり腰になって言い訳をする態度を見て、最初はクスクス苦笑していた愛も、最後は思わず吹き出してしまい大笑いをした。
「アッハッハハハ・・・」
「あ、愛、な、何がそんなに可笑しいんだよ!」
「だって、大輝がそんなにビビっているところ、初めて見たんだもの。なんだか、子供がお医者さんに注射をされるとき怖がって、無意識に自分の中だけで注射は痛いものだと決め付けて、駄々をこねている姿を見ているみたいで可笑しくて――アッハッハハハ・・・」
「そ、そんな、子供が注射を怖がる話と、今のことを一緒にするなんて・・・」
「愛、それってちょっと酷くない・・・」
「まあ、まあ、お二人さんもう夫婦喧嘩は止めて、やることやらないとね・・・」
「旦那がそんなビビリじゃ、奥さん行く先大変だね・・・」
「そうですね。みなさん、家の主人がご迷惑をお掛けしてすみません・・・」
谷口の言葉に愛がそう答えると、機内中が大爆笑となった。
それに釣られて、いくらか大輝も気持ちが解れたのか、右手で頭をかきながら照れ笑いするくらいの余裕を見せた。
その瞬間だった。
大輝が、相葉に「躰の力を抜いて大きく深呼吸して・・・」と言われ、相葉の言葉に従って躰の力を抜いて深呼吸していると、いきなりドンと背中を強く押されたかと思ったら、もう気が付いたら機内の外に飛び出して大空の中にいた。
「あっ!」
おそらく、その機内から機外まで外に飛び出すのに要した時間は、一分も掛からなかった。
「うわーっ!たすけて~」
「耳が痛いよ~」
「神様、僕はまだ死にたくないよ~」
ただ、大輝がどんなに喚こうが騒ごうが、もう機内の外に出て空中に飛び出した以上は、どうすることも出来なかった。
ただ、大輝が喚き散らして騒いだように、初めてスカイダイビングを体験する人にとっては、人間が自然の理屈に逆らって時速約二百キロで降下するということは、見た目以上にかなりの風圧や息苦しいほどのスピードを感じ、これまで我々が地上では味わったことがない、独特の恐怖感に襲われるのかも知れない。


「大輝、大丈夫よ。ねえ、ねえ、隣を見て私も一緒だから・・・」
突然、愛の声がヘッドホンを通じて聞こえて来たので大輝は驚いたが、確かに彼女が言ったとおりに隣を見ると、彼女が彼の方を見て手を振っていた。
それにしても、まったく愛の度胸は大輝とは違い、大したものだった。
大輝は、これまで確かにスカイダイビングの未体験者ということがあったが、四千メートルの上空での風圧の凄さや空気の冷たさに対する、その恐怖心からなかなか機外へ飛び出す決心がつかずに、半ば強制的にスカイダイビングを実行させられたのに対して、まったく愛の場合にはその逆で、彼女のパートナーであるインストラクターの稲垣も驚くほど、自らが進んで自分が鳥にでもなったかのように、大空に向かってジャンプして行った。
そしてまた、時速約二百キロという猛スピードで降下しているのにもかかわらず、大輝のことを気遣って声を掛けたり手を振ってあげたりするなど、まるでその姿にはスカイダイビングのかなりの体験者と思わせるような、精神面での余裕さえあるように感じられた。
もしかして、これは愛自身がこれまで常に死の恐怖と隣り合わせに生きて来て、いつしかその死に対する恐怖感を彼女なりに物凄い努力をして、自分の中で乗り越えられるようになっている、ひとつの強い気持ちの現われでもあるのかも知れない。



だが、この行動が愛の死を早めることになろうとは、このときの彼女自身はもちろんだが、大輝を含めた彼女に係わっている周囲の人たちのすべてが、まだ誰一人として気付いていなかった。



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青春うたものがたりシリーズ1「風のある町」/ A town with the wind 総集編 3

2008-04-07 14:48:01 | Weblog

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第5話/ 最後の愛の儀式
~空の上の結婚式~


「大輝どうもありがとう。愛の願いごとをふたつも聞いてくれて・・・」
「そんな願いごとなんか、愛の病気に比べたらなんでもないことだよ・・・」
愛が「大空を飛んでみたい・・・」という望みと、彼女がもうひとつ大輝に頼んだことは、最後の二人の愛の証として結婚衣装を身に着けて、スカイダイビングをしたいということだった。
例え、それが仮の結婚式だとしても、自分が「大空を飛んでみたい・・・」と望んでいる空の上で、大好きな大輝と結婚式をあげられることは、あと四ヶ月あまりの限られた命しか残されていない、彼女にとってはこの上ない最高の幸福だった。
大輝は白ピケの蝶タイに薄いワイン色の燕尾服(衿は拝絹)、愛は真っ白なフリルの付いたシルクの生地に、彼女の生まれた六月の誕生花にちなんだ淡いピンクのバラの花の刺繍がされた、ウェリングドレスだった。
すべて、この日の二人結婚衣装は、「愛の、大輝との愛の証の思い出を残すために、仮でいいから結婚式をあげたい・・・」という、“最後の願いごと”になるかもしれない我が娘の希望を聞き入れて、わざわざ百合子が知人の衣装店にオーダーメイドして、新しく作らせたものだった。
愛と百合子は、この二人の結婚式の催しを心から歓迎していたが、泰三は「自ら世間に恥をさらすようなもの」だと、当初から猛反対していた。
だが、“愛の命がけの訴えがあった”あの出来事以来、もうどんなに不満があっても泰三は愛が望むことに反対するような言葉を、彼女の前では一切口にしたり態度に出したりするようなことはなくなった。
逆に言い方をすると、おそらくどんなに頑固な父親であろうと、たった一人の愛娘があと数ヶ月しか生きられないという現実に直面すると、実際にはいつも見せるあの傲慢な態度とは正反対に、父親として泰三の心の中にも何とも言えない苦悩があったのは間違いないだろう。






この日のために、泰三が小型のリムジンバスをチャーターし、大輝、愛、百合子、その他に泰三と百合子の親戚10名を乗せたバスは、成城の自宅から慶都病院がある信濃町に向かった。
この日の愛は、外部からの雑菌の進入を防ぐためにスカイダイビングの会場に着くまで、まるでウエディングドレスの上に宇宙服でも思わせるような、雑菌防止用の空調服を身に付けていたが、やはり愛の体調のことを心配した主治医の堂本誠が、自ら彼女に付き添うことを志願したからだった。
日曜日のせいか、いつもとは段違いに車の数が少なく高速道路が空いていたために、三十分ほどで堂本との待ち合わせ場所である、慶都病院の門の前に着いた。
慶都病院の門の前に着くと、主治医の堂本と一緒に愛の担当看護師である、吉田由美子も待っていた。
「堂本先生、吉田さん、今日はわざわざ休日だというのに、愛のために出て来ていただいてありがとうございます・・・」
愛が満面に笑みを浮かべてそう言うと、二人とも口を揃えるかのように「ご結婚おめでとう・・・」
と、今日の大輝と愛の結婚式があくまでも虚偽のものだと知っているにもかかわらず、笑顔で祝福してくれた。
今の愛にとっては、それが真実のものであろうが虚偽のものであろうが、そんなことなどにまったく関係なく、自分が生きているうちに大輝と結婚式が挙げられるということが、何よりもこの上もない幸福を感じ嬉しかった。
堂本と吉田がバスに乗り込むと、バスは関越自動車道がある練馬ICに向かった。
そして、練馬ICから関越自動車道に乗り、大泉、新座、所沢、三好、大井ICを通り越し、川越ICの出口を降りて国道17号線のある高崎線桶川駅方面に向かい、太郎右衛門橋を渡って二、三分すると、目的地のTOKIOスカイダイビングクラブに到着した。
バスが到着し、燕尾服姿の大輝とウェリングドレス姿の愛がバスから降りてくると、この日のために大輝と百合子が何度も足を運び、今回のいきさつの事情を細かく説明していたために、このクラブのオーナーでもありインストラクターでもある谷口大輔が、数十人のスタッフと共に拍手で二人を出迎えてくれた。
そして、愛の誕生花にちなんだ彼女のウェリングドレスの刺繍と同じ、ピンクのバラの花束を二人に手渡してくれた。
そしてその後、大輝と愛はちょっとした休憩を挟み、当クラブスタッフから三十分ほどのスカイダイビング関する簡単なレクチャーを受けると、オーナー兼インストラクターでもある谷口自らが操縦桿を握る、真っ白なボディーに青空をイメージしたブルーのラインが両翼の上に描かれているセスナ機に乗り、主治医の堂本誠や担当看護師の吉田由美子、ベテランインストラクターの相葉浩、稲垣健一らと一緒に、合計七名で四千メートルの上空へと向かって飛び立った。
やはり、親として気になるのだろう・・・大輝と愛らが乗ったそのセスナ機を、泰三と百合子は滑走路の横にある芝生の上に立って、ずっと目を離すことなく心配そうに眺めていた。







そんな二人の親心とはまったく逆に、愛は久しぶりに空の上から見る街や海、山並みの景色に、大感激し、機内で大はしゃぎしていた。
「大輝、やっぱり空の上に来ると、いつもくよくよしている自分が馬鹿らしく思えるほど、気持ちが晴れやかになり最高の気分になるわね・・・」
「これは、もしかしたら、私が今!“生きている”という実感から来ることであり、きっとその証拠だよね・・・」
「僕にも、そんなに難しいことは分からないけど、きっとそうだと思うよ・・・」
「じゃあ、やっぱり死んでしまったら、こんな気分は味わえなくなるんでしょうね・・・」
「愛、今日はそんな湿っぽい話はやめようよ・・・」
「だって、二人の結婚式じゃないの・・・」
「そうだよね。大輝の言うとおり、いくら仮の結婚式とはいえ、今日は二人の一生に一度の結婚式だものね。楽しくいかなくちゃあね・・・」
愛がそう言ったとたん、このセスナ機に同乗していた全員が彼女の言葉に同調するかのように、二人の結婚式を祝うために長渕 剛の“乾杯”を歌い始めた。







♪かたい絆に 想いをよせて・・・

そのとたん、大輝と愛の目には自然に涙が溢れ出して来た。







そして、みんなの歌が終わると、主治医の堂本誠が神父代わりになって、愛が自分の命を賭けても望んでいた、大輝との空の上での仮の結婚式が挙げられた。
「その健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」
「はい、誓います。」
「はい、誓います。」
堂本の言葉に二人とも、何のためらいを見せることもなく、結婚を誓いあった。
そして、誓いの言葉が終わると、百合子が二人のために用意してくれていた指輪の交換が行われた。
さらにまた、堂本を始めとし今日二人の結婚式に出席してくれたみんなが用意してくれた、ウェディングケーキへの入刀式が行われた。
ウェディングケーキ自体、本物の結婚式の会場で挙式をあげる時のようなにはいかず、かなり誕生日の時のような小さなものだったが、ずっと大輝と愛の二人とっては本物の挙式の時のケーキよりも大きく、価値のあるものに思えた。
今回の空の上での挙式のことは、まったく二人には知らされていなかったために、指輪の交換を終えケーキの入刀式が終わる頃には、もう二人の目の色は真っ赤に変色してしまうほど、みんなの暖かい気遣いで胸がいっぱいになり、まったく自分たちの照れくさいという意志とは関係なしに、勝手に涙が溢れ出して来て止まらなくなっていた。





 



それからの大輝と愛は、いつの間にか周囲に人がいるのも忘れてしまって、二人だけの世界に入り込んでしまい、ボロボロと頬を伝って零れ落ちるお互いの涙を拭いあいながらい抱きあっていた。
そして、知らず知らずのうちに二人の唇は、まるで一心同体でもなるようかのようにひとつになって重なり合っていた。
だが、それは愛にとって大輝との最後の口づけであり、最後の愛の儀式でもあった。









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OCNブログ「おとぎのお家」
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