今回の「リトルサンタ / 母の顔をした殺人鬼」は、秋田県藤里町で起きた畠山彩香ちゃんと米山豪憲くんが殺害された連続児童殺人事件を、二度とこういった悲惨な事件があってはいけないという強い思いから、作品づくりのモチーフにして描いた童話作品です。そして、その内容は本来の人間の本性と欲望を抉り出して解き明かし、母と子の親子関係の哀れみを率直に描いた感動がいっぱいの作品です。ただし、本作品の内容と、秋田県藤里町で起きた連続児童殺人事件とはまったく無関係であり、あくまでも本作品がフィクションとして作られたものであることをご了承ください。
~健太くんの殺害計画3~
作 / 猪 寿
さくらちゃんの母親直美が、健太くんの殺害計画を実行したのは、彼女がくも丸に相談にやって来てから、約約一ヵ月後のことでした。
直美は、殺害計画を実行する数日前から、健太くんの後を付回し彼が一人になるのを見計らって、さくらちゃんの思い出の品をあげるからと言って彼を強引にくどき、人目につかないように車に乗せて家まで連れて行きました。
アリバイづくりのためか、直美は健太くんを誘うまで、ほかの近所の子供たち数人にも声を掛けたようですが、健太くん以外は誰一人として、彼女の誘いに乗って来る子供はいなかったようです。
その訳は、ほかの子供たちの親がみんな今回のさくらちゃんの水死事故の一件で、直美に対して何らかの疑問を持っているために、子供たちに彼女に声を掛けられても近づかないように、きちんと言い付けていたからだったようです。
「おばちゃんこのジュース飲んでいい・・・」
「はい、はい、いいですよ。ケーキも用意してあげるからね・・・」
「ところでおばちゃん、僕にあげたい物ってなーに?」
「シャボン玉よ、ほら家に遊びに来たらきよくさくらとやっていたでしょう・・・」
「うん・・・」
直美は、当初はとても人のいいさくらちゃんのお母さんを演じていましたが、健太くんがさくらちゃんの大好きだったシャボン玉の道具を貰ったとたんに帰ろうとすると、いきなりその様相は一変しました。
「あっ、そうそう・・・ねえ、ねえ、健太くん・・・」
「なーに?」
「ちょっと、おばちゃんね、忘れていたんだけど、もうひとつあげたい物があるから、そこの机にある漫画でも読んで、ちょっと待っていてくれる・・・」
「うん、いいよ・・・」
健太くんが直美に言われたとおりに、居間の座卓の上においてあった漫画を手に取り、その漫画を読み始めて四、五分たったその時でした。
いきなり、直美はこの日のためにあらかじめ用意して、縁側の物干し竿に吊るしておいた腰紐を、健太くんの首に背後から巻き付け、彼を絞め殺そうとしました。
「おばちゃん、この紐どうしたの?」
この異変に気付き、健太くんはそう尋ねながら後ろを振り返ると、直美の顔を見てニッコリと笑いました。
どうやら、健太くんは直美のこの行為を、単なる彼女の悪ふざけだと思い込んでいるようでした。
直美は、この彼女の行動を健太くんが単なる悪ふざけだと思い込み、彼女の顔を見て笑ったことに逆に逆上し、なおも彼の首を強引に腰紐で絞め続けました。
その顔付きは、まるで鬼を思わせるような形相でした。
ただ、直美の殺意とは裏腹に、どんなに彼女が腰紐を強く引っ張って首を絞めても、逆に腰紐が長く伸びるだけで、いっこうに健太くんが窒息死することはありませんでした。
それは、直美が健太くんを殺害する計画が、あらかじめくも丸とさくらちゃんには分かっていたので、二人で直美が健太くんを殺害するために吊るしておいた腰紐を、長く伸びるゴムの腰紐に擦り替えていたからでした。
「チッ、この腰紐はなんなの!」
そのうち、健太くんの首を絞めて殺害するどころか、何回やっても引っ張れば張れるほど長く伸び、自分の思い通りにならない腰紐に、直美はだんだんといらつき始めました。
そして、最後はこの状況の悪さにとうとう根負けしてしまい、自ら健太くんを殺害することを諦めました。
「おばちゃん、僕、おばちゃんに紐で首を絞められてもなんともなかったよ。おばちゃん、手品師がうまいんだね・・・」
「・・・・・」
さすがに、母の顔をした殺人鬼の直美も健太くんのこの言葉には動揺し、彼はまだ彼女と手品ごっこをして遊びたがっていたにもかかわらず、大慌てして家から追い帰しました。
健太くんは、さくらちゃんの家を出ると、夏の日差しがさんさんと降り注ぐ中を、真っ黒に日焼けした顔に満面な笑みを浮かべながら、自宅がある方角に向かって駆けて行きました。
その手には、しっかりとさくらちゃんと遊んだ思い出の品である、シャボン玉の遊び道具が握られていました。
くも丸とさくらちゃんは健太くんのこの元気に帰宅する姿を見て、心の底からホットしました。
「さくらちゃん、お母さんがお友達を殺さずに、よかったね・・・」
「うん!ありがとう、くも丸・・・」
このときの、くも丸とさくらちゃんの表情も、直美の健太くんの殺害計画を食い止めるという、すごい重苦しい場面の緊張の糸から解放なたれたこともあり、健太くんと同じように笑顔で満ち溢れていました。
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