おとぎのお家と青い鳥

本ブログでは、主に人間が本来持つべき愛や優しさ、温もり、友情、勇気などをエンターテイメントの世界を通じて訴えていきます。

Super Santa Claus シンデレラ / 蛍4

2011-12-18 21:19:54 | 人・愛・夢・運命・教育・家族・社会・希望


クリスマスツリー只今、当ブログではクリスマス特別作品として『Super SantaClaus シンデレラ』の連載を開始しています。本作品は、地球を飛び出し宇宙規模でシンデレラと七人の小人たちが、それぞれが持つ超能力を発揮しながら、現実に起こる問題を痛快・愉快に解決していく、超スペクタクルロマンの作品です。そしてさらに、アニメや童話のようにファンタジックに飛んだ世界の中で、人間愛や家族愛、友情、優しさ、エンターテイメント性などを通じて、多くの“愛と感動”を読者のみなさんに届ける作品です。どうぞ、当ブログで「シンデレラ」とその仲間の「七人の小人たち」が繰り広げる、“愛と感動の大冒険”の物語を心行くまで楽しんでください。


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企画 / 下家 猪誠
第4話 時空を超えた犯人さがし

★前回までのあらすじ

―ピポ、ピポ、ピポ・・・―

―ウー、ウー、ウー・・・―

やがて、町の人の連絡を受けて、ララちゃんはやって来た救急車で病院に運ばれて行きますが、彼女がクリスマスプレゼントとして、ブドゥー人形と一緒に手に持っていたその中身を見て、シンデレラは驚きました。
それは、他の子供たちのプレゼントに比べて、その中身がちょっと風変わりな物だったからです。
なんとそのプレゼントとは、蛍の卵だったからです。
シンデレラはその訳を、その後天子になったララちゃん本人に聞き、その純真な気持ちに胸が詰まる思いがします。
「おーい、シンデレラ!ワシじゃ、ワシじゃ!」
「あっ、ルドルフおじさん、相変わらず早いわね・・・」
「そりゃあ、可愛いわがお嬢ちゃんシンデレラに呼ばれちゃあ、何を放っておいても真っ先に飛んで来なくちゃあな・・・」
シンデレラがルドルフおじさんの呼ぶ声に気が付いて、彼の声がする方角のデパートの屋上の空の上を見上げると、赤鼻のトナカイに変身したルドルフおじさんが、満面に笑みを浮かべて手を振っていました。
やがて、ジングル・ベルの鈴の音が聞こえ出し、♪ジングル・ベル ジングル・ベル・・・と聖歌隊合唱の歌が聞こえ始めると、天空から鮮やかな無数の色の光が降注いで来てシンデレラの全身を包み込み、グルグルと竜巻のように猛スピードで回転しながら彼女の躰が上空の方に向かって引っ張られて行くと、彼女はいつの間にかSuper Santa Claus「シンデレラ」に変身していた。
そして、早速シンデレラはSuper Santa Claus「シンデレラ」に変身すると、ララちゃんのことが気になり、彼女が搬送されていった病院に、ルドルフおじさんと一緒にその様子を見に行きました。
二人は病院に着いたとたん、偶然テレビニュース見て驚きました。
それは、ララちゃんを撥ねた自家用車の運転手が逃亡し、まだ犯人が捕まっていなことを知ったからです。
「犯人が逃走?」
「もしかして、ララちゃんの交通事故って、ひき逃げ事故ということ?!」
おまけに、悲しいことにララちゃんは二人が病院に着いたときには、もう強く頭を打ったのと出血多量が原因で死亡していました。
「シンデレラ、こうなったらララちゃんためにも、弔い合戦だ・・・」
「なんとしてでも、ララちゃんをひき逃げした犯人を捕まえるぞ!」
「そうね、そんな非人道的な人は、絶対に許せないわね・・・」
人間界で病気や事故などにあって死亡し霊魂になった人は、大人や子供に限らず天の国行きの汽車に乗って、人間として新たに生まれ変わるまで、新しい世界でまったく別人としてその人の過去に関係なく、暮らすことが義務付けられているにもかかわらず、何故か?まだララちゃんは天の国行きの汽車の乗り場がある駅には行かずに、病院の玄関口に立っていました。
「あっ!ルドルフおじさんちょっと待って。ララちゃんがいるわ・・・」
「えっ?あっ、ホントだ・・・」
シンデレラは、その理由を本人から直接聞くために、ララちゃんに声を掛けました。
「ララちゃん、こんばんは・・・」
「えっ!」
シンデレラとルドルフおじさんの姿を見ると、派手なサンタクロースの衣装を身に着けた女の子と、人間の言葉をしゃべるトナカイのルドルフおじさんの姿に、最初ララちゃんは目を見開いたままピクリとも動かさないほど物凄く驚いていましたが、どうやら二人がその訳を話すと、まだ不可思議さは感じているものの、何とか二人のことを理解をしてくれたようです。
「ところで、ララになんのようがあって来たの?」
「実は、ララちゃんがひき逃げ事故に遭った現場を、その時に偶然通りかかってね・・・」
「じゃ、あなたはララのことを心配して来てくれたっていうわけ・・・」
「そうだね・・・」
「それより、どうしてララちゃんは天の国行きの汽車が乗る駅には行かずに、まだ病院に残っているわけ?」
シンデレラがそう尋ねると・・・
「ララ、ちょっとやり残してことがあって・・・そのことが気になって・・・」
「やり残したこと?もしララちゃんが嫌じゃなかったら、話してもらってもいい・・・」
「そして、そのやり残したことが少しでも早く片付いて、ララちゃんがみんなと一緒に天の国行きの汽車が乗れるように、私にも手伝わせてくれない・・・」
「そうしないと、ララちゃんはみんなと一緒に天の国に行けなくなって、独りぼっちになるだけじゃなく、一生呪縛霊として人間界を彷徨ことになるからね・・・」
「そうなの?知らなかった・・・」
「そうなんだよ、ララちゃん。悪いけど、早くこの一件に決着をつけて、みんなと一緒に天の国行きの汽車が乗るようにしないとね・・・」
「だったら、お願い、ララそうなりたくないからなんとかして・・・」
「わかった・・・」
「あっ、そうか!シンデレラって色んな超能力を持っていて、子供たちの夢や願い事を叶えてくれるSuper Santa Clausなんだものね・・・」
「ゴホン、ゴホン。ワシもその一人なんだがなあ・・・」
「ひとつめのやり残した問題のことなんだけどね、私ひき逃げした犯人の顔を見たの・・・」
「え、えっ!」
「そ、それって本当!」
ララちゃんの、いきなりの予想もしていなかった話の内容に、さすがにシンデレラもルドルフおじさんも驚いた。
「きっと一瞬だったと思うけど、わりと車に撥ねられる瞬間は何故か?時間がゆっくりと回っているような感じがしたから、ハッキリと犯人の顔が見えたの・・・」
「そう、それは事件解決のための、すごく重要な証拠になるわね・・・」
「こんなに早く死んじゃって、パパやママを悲しませたでしょう。だから、このままじゃパパとママが可哀相だから、早く犯人を捕まえて二人を安心させてあげたいの・・・」
「うん、分かった。必ずララちゃんのパパやママを安心させてあげるためにも、シンデレラとこのルドルフおじさんが犯人を見つけ出してあげるからね・・・」
ルドルフおじさんがララちゃんに向かってそう言った。
「それより、もうひとつの相談ごとって?」
シンデレラがそう尋ねると、まだ五歳にも満たない子供の口から、シンデレラ自身も思わず胸を打たれ泣き出しそうになる答えが返って来た。
「村の川に蛍を戻してあげたいの・・・」
「蛍?」
「うん、蛍よ・・・」
ララちゃんの話しによると、彼女の家があるメロン村の川や沼には、数年前までたくさんの蛍やメダカたちが生息し、村の子どもたちの課外授業の科目のひとつにもなっていたそうです。
ところが、メロン村に巨大ホテルが建設されたのを機に、大規模な森林伐採や環境汚染が急速に進み、村の川や沼からホテルが建設されてしばらくしたある日をきっかけに、すべての蛍やメダカたちの姿が消えてしまい、一匹も見られなくなったそうです。
その原因は、大規模な森林伐採もそうですが、ホテルが捨てる生ゴミや洗剤、油などで川や沼の水質が汚染されてしまい、蛍やメダカたちが住めなくなってすべて死んでしまったのが原因で、ララちゃんはなんとかしても一度蛍やメダカたちをメロン村の川や沼で見られるようにしたかったのだそうです。
この話しを聞き、シンデレラはララちゃんがクリスマスのプレゼントに、どうして蛍の卵を買って貰っていたのかの答えが、ようやく分かりました。


「じゃあララちゃん、さっそく犯人探しをしなくちゃね・・・」
「犯人を探すって、どうやって見つけるの?」
「まずは、何か手がかりになる物が見つけなくちゃいけないから、アップルタウンの警察に行って見ることにしようね・・・」
「うん。わかった・・・」
三人は、ララちゃんのひき逃げ事故の捜査本部がある、アップルタウン警察に向かいました。
捜査本部に入ると、数人の刑事が集まってララちゃんのひき逃げ事故に関する、お互いに集めた犯人に関する情報のチェックをしながら、その内容についての話し合いをしていました。
どうやら、犯人を特定する情報は入手できなかったものの、現場に残されたタイヤ痕の鑑定から車種の割り出しは出来ていました。
「車は×○△か。車種が分かっただけでも参考になるからな・・・」
「あたし、車の種類のことは分からないけど、その車を探せば犯人を見つけられる可能性が高いってことね・・・」
「そうことになるわね・・・」
「じゃあ、すぐに犯人探しに行こうよ、シンデレラ・・・」
「ち、ちょっと待ってララちゃん・・・」
「その前に、今度は私とひとつ約束して欲しいことがあるの・・・」
「なあに?」
「もし、この事件が解決したら、天の国行きの汽車に乗ることを、必ず約束してくれる・・・」
「・・・・・」
ララちゃんはシンデレラの言葉を聞いた瞬間、ちょっと寂しそうな表情を浮かべ何か不満そうでしたが、シンデレラが「大丈夫よ。そんなに心配しないで。きっと、パパやママにだってララちゃんが、きちんと天の国に行けることを一番に願っていると思うから・・・」と言って笑いながらハンドシグナル(親指を立てる)を送ると、すぐに明るさを取り戻し元気よく返事をしてくれました。
「うん。分かった。」
そして、その表情にはさっきまでのような寂しさや不満は、まったく感じられませんでした。


「それじゃあ、シンデレラお嬢さんこの後どうするかね?」
「ルドルフおじさん、ララちゃんがひき逃げ犯人の顔を見ている以上、きっとその現場に行くと犯人の特定が出来ると思うの・・・」
「と、言うことは、今日ララちゃんがひき逃げにあった時間にタイムスリップして、その犯人の顔を再確認して貰うことが、一番の早道ってことか・・・」
「ピンポーン。大当たり・・・」


―今どきの女子高校生にしては、シンデレラが古いジョークを言うのは、やはりルドルフおじさんたち年を取ったおじさんたちと、幼児期から暮らしているせいだろうか?―


そして、ルドルフおじさんが変身した赤鼻のトナカイは、二人を橇に乗せると大急ぎでララちゃんが交通事故にあった時間の、ひき逃げの事故現場にタイムスリップすることにしました。
「時間(とき)の渦よ出でよ!」と、ルドルフおじさんが大声で叫ぶと同時に、その目の前には現在と未来や過去を自由に行き来が出来る、大きな時空の渦が現れた。
さすがに、それを見た瞬間のララちゃんは、自分が童話やアニメの世界にでも迷い込み、夢でも見ているのではないかと思うほど驚きました。
そして二人を橇に乗せた、ルドルフおじさんが変身した赤鼻のトナカイは、時速三百キロの物凄いスピードで、その時空の渦の中に向かって飛びこんで行きました。
時空の渦の中は、飛び込んだ瞬間に多少の風圧や揺れはあったものの、その後の移動中は風圧や揺れを、ララちゃんが思っていたほど感じることはありませんでした。


ララちゃんが、ひき逃げにあった事故現場に到着すると、これから自分が車に撥ねられ死ぬことも知らずに、無邪気に両親の前をその事故現場に向かって走って行く、彼女の姿がありました。
「わーい、雪だ。雪だ。」
「ねえ見て、パパママ。雪よ。」
「そうね、ララ。いつもララがおりこうな親孝行の子供だから、今日のクリスマスのお祝いのために、きっと神様がプレゼントしてくれた雪かもしれないわね・・・」

 







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