茂原学習塾・予備校塾長日記(誠心学院予備校)

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分かりやすく記事にしています。

気嚢(きのう)

2009年12月26日 | 科学
気嚢(きのう)は、鳥類が持つ呼吸器官である。

陸上四足動物は肺呼吸を行う。哺乳類では肺呼吸の効率化のために
横隔膜を持ち、腹式呼吸を発達させた。哺乳類は、横隔膜による肺
の拡大・縮小による吸気・排気を行う。

鳥類では呼吸の効率化のために、肺の前後に気嚢を持つ。肺は何本
かの管を束ねたような形状で、前後の開口部が気嚢につながってい
る。肺への吸気・排気は、気嚢の拡大・縮小により、一方向に空気
を流す形で恒常的に行われ、酸素を消費した後の空気が肺にとどま
ることはない。前後の気嚢は、それぞれ前気嚢・後気嚢と呼ばれる。

このようなシステムは哺乳類のそれよりもはるかに呼吸効率が高い。
そのため鳥類ははるか上空の空気密度の低い空間でも呼吸が可能で
ある。例えばアネハヅルはヒマラヤ山脈を越えて渡りをするこ知ら
れている。

鳥類は獣脚類の恐竜から分岐して進化した。現存鳥類の呼吸システム
を、獣脚類(もしくは恐竜全体)が既に持っていたという仮説があり、
研究がすすめられている。2005年には、マジュンガトルスの脊椎骨の
構造の研究から獣脚類が気嚢を持つ証拠が提出され、この仮説の実証
が前進した。

中生代に恐竜が哺乳類よりも繁栄を成功させたのは、この呼吸システ
ムのためとも言われており、古生代末から中生代はじめにかけての低
酸素時代(火山活動の増大による大気中の二酸化炭素濃度の増大によ
る)にこの形質が著しく適応的な形質となって、恐竜の台頭を招いた
のではないかとの仮説も提唱されている。これに対し哺乳類は横隔膜
を発達させて対抗したが、呼吸効率においては気嚢に劣るものであった。
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