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その中にアダムを放流してやれば、小さい体ながらも果敢に飛び込んでいって、あっという間に混ざってくるくるしていた。傍にはあのフェネネットたちもいる。
手拍子しながらそれを眺めていると、外に設置されていた木のテーブルに座る人たちが見つけて声をかけてくれた。彼らは全員人間だった。種族によって飲みっぷりは全然違うし、余計な気を回さず飲みたい時は、自然と同じ種で集まることが多い。招かれるまま座ってみれば、息つく暇もなく右から左から声が飛んで来て、何度も乾杯の音頭が交わされた。けどそれはなにも、僕のテーブルに限ったことではなかった。
こうして、宴の町の夜は更けていった。
翌朝、枕にしがみついてベッドを惜しむアダムを容赦なくひっぺがして、荷物の中に押し込むと宿を出た。ちゃんと僕たちは宿で寝たさ、もちろん。
「おっ、昨日のビックリ舌の兄ちゃんじゃねえか。おはようさん。早ぇな」
出てすぐに、昨日夕食の席で隣だった半獣半人のお兄さんと再会した。彼は大きな車輪の立派な荷車を牽いていたけど、その上には何も乗っていなかった。
「おはようございます。もしかしてこれから仕入れですか?」
「おうよ。もう少し暑くなりゃ酒一択なんだが、今の時期は果物のほうが人気があるからな。色々たくさん見繕わねえと」