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すでに目星をつけてあるのか、いくつかの名前をブツブツと呟きながら指で宙を叩いていた。
「いやー、それにしても昨日はなかなか衝撃的だったぜ。オレなんか舌が熱すぎて、切り取って別のものと換えてほしいぐらいだったのに、アンタは平然としてるしよ。もしかして人間の舌っていうのは、全員あんな感じで強いのか?」
「それはどうでしょう……。ああ、そうだ。実は僕、人を探していまして。会ったことがあるとか、噂を聞いたことがあるとかありませんか? 銀色の髪に翡翠色の瞳の女性なんですが」
「ほー、そりゃなんだ、アンタの初恋の人とかかい?」
「いえ、自分では違うと思ってるんですが、他の人に説明するのはそれが楽なのでそういうことにしておいてください」
「なんだそのまどろっこしい答えは……。あー、けど悪ぃな。思い当たる奴はいねえや」
「そうですか……」
この町では、結局収穫がなかった。
僕がよほど落ち込んでいるように見えたのか、お兄さんは「よければ何か言付かるぜ?」と言ってくれた。
「ありがとうございます。それじゃあ……
昔、星影草の山で、世界の名と生まれについて貴女が尋ねた子どもが探している。とお願いします」