スペースノイズ

α宇宙域「地球」からの素粒子ストリングス変調波ノイズを受信!彼らの歴史、科学、娯楽、秘密など全てが含まれていた。

怒鳴るぞ!トランプ

2017-08-30 23:23:21 | 世界情勢
(2017.2頃にUPした記事。一部加筆修正)

トランプは分かりやすい。虚言癖、自己中、自尊心肥大、差別主義者で、それを隠そうとしない性格

安倍総理は「信頼できるリーダーだ」と褒めちぎった。
同じ日本の大阪の有名なポピュリスト、橋下氏も、トランプが大統領に当選した瞬間から「歴代大統領の中で最高の実績者となる」、「恐るべし」と褒めちぎっていた。自身のポピュリスト・スタイルと近いことを感じてか自身のイメージアップに利用しようと計算したようだが、トランプの化けの皮が剥がれて来たのですっかり言及しなくなった。

記者会見を就任式のぎりぎりまで伸ばしたのは、政策の中身もなく立候補して当選してしまったので、何回も記者会見をしてボロがでないようしただけだ。
自分の悪口を言った相手には容赦がなく、インチキ・サギまがいの手を使うことも平気でやってきた。彼の失敗した事業の廃墟跡には、多くの踏み潰され泣きをみた人々が横たわっている。トランプ大学のサギ商法はどこかの国の政治塾商法と同じニオイがする。
娘のイヴァンカもその美貌とは裏腹で性格はトランプ似のようだ。無給でインターン生を働かせていた疑惑が持ち上がったが、完全無視で切り抜けた。イヴァンカのかわいい娘(トランプの孫娘)のPPAP動画をすかさずアップして、父親(祖父)の悪いイメージを払拭しようと孫娘まで利用する抜け目なさは、さすがこの父親の子だという気がする。次期大統領(当時)の孫娘をネットで全世界に紹介するなんて狂気の沙汰だ。テロの標的にしてくださいと自らさし出すようなものだ。シークレット・サービスにもガードできる限界がある。

就任当初からオバマの政策をことごとく叩きつぶしたのはオバマが黒人だからだ。良い悪いではなく、黒人の推し進めた政策に従えるか!という優越的嫌悪感から出た言動であろう。

トランプはトルーマン以上にアメリカに害を与えるのではないか
(ヒストリー・チャネル 「オリバー・ストーンが語るもうひとつのアメリカ史」第2、3回から)

ハリー・S・トルーマン。第33代大統領。ヒトラーが自殺する8日前に、自信も信念もないまま副大統領から大統領に突然就任することになった。幼少時の弱虫ハリーは、高校卒業後社会に出ても事業に失敗したりして不遇を託った。カンザスシティの黒幕で評判の悪いトム・ペンダーガストの後ろ盾で上院議員への道が開かれようとした頃、トルーマンは述懐している。「私は明日で49才。そのうちの40年間は無駄だったのかも知れない」

強大な権力を有する座に座ることになったトルーマンは、3カ月後にはこれまで人類が見た事もない破壊力を示した原爆まで手中にした。トルーマンは発言や態度が次第に尊大になり虚勢を張るようにった。

無条件降伏ではなく天皇制維持を条件に日本と和平交渉すれば日本は降伏するという側近の進言や、「天皇の処刑は我々にとってのキリストの磔刑に等しい。日本国民が徹底抗戦するだろう」というマッカーサーの報告も無視して、トルーマンは原爆投下に傾斜しはじめた。

(ヒストリー・チャネル 「オリバー・ストーンが語るもうひとつのアメリカ史」第3回から)


1945年7月のポツダム会談ではアラモゴールドでの史上初の原爆実験成功の報告を受けて自信満々となり会談を仕切る振る舞いに出た。チャーチルが言うには、「彼(トルーマン)はまるで別人のようだった。ソ連側にあれこれ指図し、会談全体を一人で仕切っていた」

トルーマンは日本へ突きつけるポツダム宣言書にソ連の署名を拒んだ。ソ連の参戦を日本が知れば降伏やむなしとなる恐れがあったからだ。また天皇制維持を宣言に盛り込めばさらに日本が降伏に傾きやすくなるから、策謀家のバーンズ国務長官の進言どおり天皇制維持条項を盛り込まず無条件降伏にした。

またトルーマンは核兵器技術を独占しようとした。独占すればソ連の反発を招き軍拡競争になる恐れがあるので共有すべきだというオッペンハイマーやスティムソン陸軍長官らの進言に耳を貸さなかった。それどころか戦後ヨーロッパの処理についてソ連に対し核兵器をちらつかせる挑戦的な警告をして冷戦を誘発した。

スターリンはルーズベルトとは一定の信頼関係を築いていた。スターリンはヤルタ会談などでルーズベルトと約束したポーランドなどに親ソ政権を樹立するソ連の権益は守られると思っていた。トルーマンが尊大な態度でとり始めたので、スターリンはルーズベルトと約束したことを反故にするつもりだと感じた。ソ連はドイツとの戦いで西側連合国が受けた損害を遥かに上回る犠牲を出していた。ドイツとの戦いに勝利できたのはソ連の功績が大きいという認識をルーズベルトやチャーチルらは認識していた。WWⅡ末期に参加してきたトルーマンにはその認識が欠けていた。トルーマンは自分を大きくみせるために見識不足を虚勢で隠しこう豪語した。「ソ連を100%思い通りにはできないだろうが、85%は可能だろう」。ソ連敵視はすべきではないとする米軍部高官の意見にトルーマンは耳を貸さなかった。彼の周囲には、社会主義を敵視するウォール街や軍需で潤った投資家や起業家が集まった。ハリマン駐ソ大使(鉄道王の息子)、フォレスタル海軍長官(ウォール街の投資家)、ステティニアス国務長官(USスティール会長)など。戦後も戦争経済が必要だとする起業家や経営者がアメリカを支配していった。

<ソ連に対し傲慢さが全開。1945年4月23日、「アゴに1発お見舞いしてやった」>

1945年4月23日、トルーマンは、マンハッタン計画の最高責任者グローブス少将から8月末までに原爆が完成予定と報告を受けた。奇しくもこの日はインパール作戦が頓挫して日本のビルマ方面軍がラングーン撤退を始めた日だった。

原爆を手にすることが確実になって尊大さが増したトルーマンは、この日、モロトフ・ソ連外相と会談し、ポーランド問題(赤軍によるポーランド軍への迫害等)を持ち出しソ連はヤルタ協定違反だと糾弾した。あわてたモロトフがスターリンの見解を説明しようとするとトルーマンはそれを遮った。そして別の課題に移ろうとするモロトフに言った。
「話は以上です。私の見解をスターリン元帥に伝えてください」
憤慨したモロトフは「このような扱いを受けたのは初めてです」と返した。
「不満なら協定を守ればいいのです」

憤然として立ち去るモロトフの後ろ姿をみながら、トルーマンは得意げに語った。
「1発お見舞いしてやったよ。アゴにワン、ツー、ストレイトだ!」

(ヒストリー・チャネル 「オリバー・ストーンが語るもうひとつのアメリカ史」第2回から)


このトルーマンの傲慢さが招いた失敗は、ソ連との冷戦勃発、鉄のカーテンによる分断、軍拡競争、赤狩りの激化、朝鮮戦争勃発の遠因となっていく。

強大なアメリカの権力の頂点に立つと自身が大きくなったと錯覚するリーダーが現れる。狭量、傲慢、虚勢、見識不足、自分の意見に反対する者を罵倒する、他者への気遣い・良心の呵責が薄い(広島への原爆投下の一報を聞き艦上で喜び周囲の乗組員に自慢した)といったトルーマンの資質はトランプと共通するところがある。トランプには更に「下品」といったおまけがつく。

トランプ爆弾

2017年1月12日の初記者会見で山のような息子たちへの事業経営権の移譲書類書類を積み上げ、これで利益相反問題は解決だと一方的にまくし立てた。その場その場を煙に巻きすり抜ける手法が果たして通用するだろうか。公開するつもりのない時限爆弾、トランプ・オーガニゼーションはやがて黒い煙をくすぶり始める可能性が高い。各地のタックス・ヘイブン、韓国、インド、中東などで発火するかもしれない。

メキシコ、フランス、ドイツ、中国も反発をし始めた。だがロシアへは友好なサインしか送らず、制裁解除への道筋をつけようとしている。制裁解除と引き換えにロシアと核軍縮交渉をチラつかせているが、問題のすり変えである。ウクライナに武力侵略されたクリミアは諦めろと念押しするようなものだ。ロシアへの制裁解除と引き換えにすべきは、ロシアがウクライナにクリミアを返還することが交換条件となる。核軍縮は時間のかかる交渉を経てゆっくりと進んでいって効果を現すものだが、制裁解除はすぐできる。ロシアにとっては願ってもないことになる。制裁解除で十分潤ったロシアが核軍縮は止めるといえば、ロシアはクリミアと経済発展の両得となり大勝利だ。
トランプのEU分断発言もロシアには大歓迎だ。まるでロシア製あやつりトランプ人形のようだ。

思いつきで問題解決を口にする大統領は、アメリカのみならず世界を不安定化させるだろう。
「温暖化の根本問題は何だ。一人一人のエネルギー消費量が大きいから?それではアメリカ以外の世界人口を半分にすればいいじゃないか」、「チマチマした掃討作戦で軍備をすり減らすな。ISのクソどもが一番多く集まっているところに戦術核を一発落としてやれば問題は解決だ。狂犬マティスの名が泣くぞ」
70年間かけて磨き上げてきた常識はずれの「知性」である。このような悪夢の決断を平気で口走るかもしれない。

彼は経済政策がうまくいかなくなっても、その失政を認めないだろう。
「トランポノミクスはうまくいっている。経済効果が実感できないのは道半ばだからだ」

アメリカのまともな人々にお願いしたい。核の発射ボタンと白紙の「大統領令」の書類の束をトランプからできるだけ遠くに離しておいてほしい。ムリかもしれないけれど。



トランプというショーマン

2017-08-30 23:13:30 | 世界情勢
(2016.11.17にUPした記事)

とんでもない人物が世界の大国の1つ、アメリカに誕生した。ヨーロッパ各国首脳は憂慮と不安を表明した。自国アメリカ各地でもトランプ大統領拒否のデモが止まらない。
日本では本音をズバリ言うとしてトランプ氏を賞賛するメディアが見受けられるがとんでもないことだ。なぜ欧米各国の首脳や専門家、知識人がトランプ氏に批判的なのか、ちょっと考えればすぐ分かるはずだ。

大統領になるために無責任な公言も平気で口にする。国民の不満の代弁者を装い、自分以外の候補を罵倒し、女性を見下し、人種差別を助長し、セレブのくせに貧しいブルーカラーの味方だとうそぶく人物

この無知で無責任な人物の大統領選でのいくつかの発言を検証してみよう。

メキシコとの国境沿いに巨大な壁を造り、メキシコに壁の建設費用を払わさせる

できるわけがない。メキシコだってそのようなバカバカしい壁の建設費用には金は出さないだろう。トランプ氏はいい訳のために数箇所に壁を作り、まず重要なところから壁を建設した、といい訳するかもしれない。この発言に共感して拍手して1票を投じた人はいずれ裏切られたと気付くだろう。

対北朝鮮政策として韓国と日本も核武装すればいい

NPT(核不拡散条約)。非人道的な核兵器を世界から無くしていこうとする主旨で世界のほとんどの国が加盟している。別の視点からNPTを見れば核兵器保有国(米、露、英、仏、中)が核の独占を維持するための有効ツールともいえる。それをこの人物は「近隣国の核に怯えている国は核武装すればいい、問題解決だ」と無定見な発言をする。本人は賢いつもりなのだろうが「核拡散をやればいい」と危険な発言していることに気づいていない。

レオン・パネッタ元CIA長官(元陸軍軍人、国防長官も歴任)は、トランプ氏がクリントン候補の追い落としのために、クリントン氏の失われたメール問題に触れ「ロシアよ、もし聞こえているなら、消えた3万通のメールを見つけてもらいたい」「そうすればわが国のメディアからおおいに賞賛されるはずだ」とフロリダ州の記者会見で発言したことに首を振って呆れ返った。そして「これは大統領候補の責任についての私の理解を超えている。大統領候補は自分の国にのみ忠実でなければならない」と述べた。(CNN記事から)
おそらくこの日本等の核武装容認発言を聞いて、トランプ氏の幼稚すぎる無知に腰を抜かすか、米国から他国へ移住したいと思ったのではないだろうか。
同じく元軍人で国務長官も歴任した、湾岸戦争で名統合参謀本部議長として有名なコリン・パウエル氏もトランプ氏のことを「国家の恥」とまでこき下ろしている。

ちなみにNPT6条は締結国に「誠実に核軍縮交渉を行う」ことを義務付けている。大問題の発言である。

ロシアのプーチン大統領と電話会談、米露協力関係強化を望むと伝えた

この話を聞いたワシントンの議会、ホワイトハウスの関係者は仰天したのではないか。ここまで無知だったのかと。特に共和党の重鎮ジョン・マケイン上院議員は汚い言葉で毒づいたかもしれない。トランプ氏のスタッフに国際政治の専門家がいないのではないかと疑ったハズだ。

2014年に起きたウクライナのクリミア紛争は、実質はロシアによる軍事侵略である。ソ連崩壊で念願の独立を果たしたウクライナだが、欧州とロシアの緩衝地帯に位置するため、崩壊から立ち直ったロシアは再び自陣営に引き込もうと政治的・軍事的な圧力・介入を続けている。欧米はロシアの拡張行動を非難して経済制裁を行い、ロシアはそれに反発する状態が続いている。新冷戦の開幕とも危惧されているのだ。

(報道ステーション 2016.11.15から)

そんな国際情勢の中で「プーチン氏は私のことを天才と呼び、共和党の未来だと賞賛してくれた」と能天気に喜ぶこの人物はプーチン大統領のいいカモである。

ナショナル ジオグラフィックCHで放映された「ライバルが暴く 真実と秘密 プーチン(FACING PUTIN)」を一度ご覧になるといい。恐ろしくてここで詳細を紹介する勇気はないが、いくつか簡単に列挙しよう。プーチン氏が首相になった直後に起きた不可解な連続テロ事件とそれを手際よく解決したプーチン首相。FSB(KGBの後継機関)で勤務しその活動に疑問を持ちイギリスに亡命したロシアのスパイ、リトヴィネンコ氏。彼の妻が放射性物質ポロニウムで苦しみながら死んでいった夫の様子を語っている。恐怖にかられたオリガルヒ(新興財閥)たちが次々とプーチンのいいなりなっていった事件。プーチン氏らが西欧に隠している裏金等を封じるためのマグニツキー法、その命名の元となった事件。ジョン・マケイン上院議員がこの法案の意義を怒りを込めて「これはロシアを私物化する者へのメッセージです」と語る。2005年、オレンジ革命でウクライナの大統領となったユーシェンコ氏。ダイオキシンで毒殺されかけた状況を本人が生々しく語る。ほかにもあるが割愛する。

ナショナル ジオグラフィックCHを見ることができない方にはトム・クランシー&マーク・グリーニー著、「米露開戦」の一読をお勧めする。


トム・クランシーの遺作となったこの小説は実に読み応えがある。ここに出てくるロシアの大統領、ヴァレリ・ヴォローディン。誰をモデルにしているかは言わずもがな。上記ナショナル ジオグラフィックCHに出てくる話を下敷きにしたようなプロットもある。

地球温暖化阻止への国際的取り組みである「パリ協定」の批准を拒否すると表明

トランプ氏は、地球温暖化はウソで規制は時代遅れ、アメリカは潤沢な化石燃料を使い産業発展を加速するという。この単純思考の人物は、単に地球温暖化の知見を不勉強で知らないだけなのか、それとも多少は知ってはいるが安い石炭火力エネルギー利用に足かせとなる協定なので無視しようとしているのか。あるいはエクソンモービル社などが温暖化の深刻さをかなり前から知りながら「地球温暖化はウソ」というキャンペーンを流し続け司法当局に指摘されるまで黙っていた、その流れのグループと通底しているのか。

ある気候学者はもう間に合わないと警告と諦めを表明している。たとえ今すぐ世界中の温暖化ガスを止めたとしても既に大気中に排出されたCO2により、今後25年間、気温は上昇し続ける。仏大手保険会社アクサのアンリ・ドゥ・キャストゥルCEOは「平均気温が2度以上上昇した世界でも生きられると思ったら大間違いだ」と警告し、資産運用対象から石炭火力事業を外した。

スーパー台風、記録的熱波、頻発する洪水・干ばつなどの異常気象・気候変動による被害拡大。海面上昇による広範囲の居住地域・道路・下水道などの喪失と難民の増加。マラリアなど蚊を媒介とする感染症地域の拡大。

現在の0.8度の上昇でも深刻な被害が出始めている。トランプ・タワーの最上階に住んでいる住民には実感できないだろうが。多くの国は1.5度に目標値を設定すべきと訴えているが、先進国(米、中、日、EUなど)は2度を主張している。

余談だがここでクイズ。
人類滅亡につながる最も怖いものは何だろうか? 気候変動? 小惑星の衝突? ゾンビ?
これは有名な天体物理学者のニール・ドグラース・タイソン博士がホストとして出演する、ナショナル ジオグラフィック CHの番組「スター・トーク2」の「ウォーキング・デッドの原作者が語るゾンビの世界」の放送で質問された。
タイソン博士は、
「その3つとも怖いが、それらは2番目に怖いものだ。1番怖いのは、科学の教養のない世界の代表(各国首脳)がもたらす影響」と答えた。その理由として、
「科学を知らない人は対処できない問題を抱える。しかし科学的知識があれば人類の未来を守るため対策をとったり必要なら法律を変えたりすることができる」
この番組を見たアメリカの人たちにトランプ次期大統領はどう見えただろう。ヨハネの黙示録や「666」を思い浮かべた熱心なキリスト教徒がいたかもしれない。

トランプ大統領は任期を全うできないかもしれない

非常識で大統領としての資質がないことは明らかだ。
彼には「大統領になってこういう理想を実現したい」というビジョンがない。共和党、民主党の対立候補を非難し罵倒して人気を得たが、理想を熱く語る姿はなかった。実現したいビジョンが見えない。メキシコとの国境線巨大壁構想も痛快で歯切れよく面白い構想だが、実現性はゼロだし、メキシコ流入移民問題に腹を立てている人々の溜飲を下げて人気を取るだけのショーマン・テクニックである。

彼はポピュリスト(大衆迎合家、大衆扇動家)としては一流である。人々の不満を素早く嗅ぎ取り、彼らの代弁者のフリをする。何を公言すれば人気を得るかの判断力は確かに天才的である。だがそれは公約ではない。トランプ氏の話を聞きに来た人たちへ配る、その場で使い捨てのできるティッシュ・ペーパーぐらいの価値のものでしかない。今この場で何を言えば受けるか即興で考えた思いつきのプレゼントだ。実現性も整合性も知性もない、紙くず同然のタワ事である。

彼はアメリカン・ドリームを実現し富豪となった成功者だからその虚栄心は人一倍大きい。気前よく人々にバラ撒いた「紙くず」の後始末に仕方なく対策は考えるが真剣な取り組みはしないだろう。適当にゴマかすような対策・方策を出してくるだろう。「さあこのとうり言ったことは実行しただろう。それ以上のことは現実的ではない。実現可能なことで満足すべきだ」と開き直るだろう。

彼は第1目標として大統領選に勝つためだけのスタイルを着てショー・タイムを演じた。その選挙に勝利したので第1目標のスタイルは脱ぎ捨て、今度は第2目標のいい大統領になるだろうと国民に錯覚させるスタイルに素早く着替えたのだ。散々非難し罵倒していたオバマ大統領やクリントン候補への歯の浮くような労いや賛辞に切り替えたのはそのスタイルを演じているからだ。彼は素晴らしい着替えの巧いショーマンである。政治家の素質が垣間見えたというバカなコメントは止めたほうがいい。教養や優れた素質、知性が一瞬で切り替わって獲得できるわけがない。

ヒストリーCHの「ドナルド・トランプとは何者だ?(THE MAKINNG OF TRUMP)」では、彼の生い立ちから現在の共和党の大統領候補に至るまでの足跡を辿っている。彼は不動産開発事業で成功した父親フレッドの控えめで倹約家の好ましい性格を引き継がなかったようだ。金持ちの2世にありがちな目立ちたがり屋で自信家、ハッタリの上手な人間へと成長した。トランプ氏の性格を評したあるマガジンの共同創刊者の言葉。「彼は自分と自分を好きな人は偉大で、それ以外は無能だと思っている」 
またドキュマンタリー映画「ホール・イン・マネー!大富豪トランプのアブない遊び」を観れば、彼の強欲で傲慢な姿を発見するだろう。彼は手荒で杜撰なビジネスで何度も破産しかけた。その度に父親フレッドが救いの手を差し伸べ息子の窮状を救った。トランプ氏をビジネスの成功者、素晴らしいビジネス手腕の持ち主と見るのは早計で、相当割り引いて見たほうがいい。

トランプ氏は重要な人事で失敗するかも知れない。主要な公職のポストに親族を多く配置するようなことになれば、アメリカを私物化するのかという非難を浴びるだろう。親族を重視するのは他人を信用しない猜疑心の大きさの現れであり、トランプ氏のおこぼれや蜜に群がってきた取り巻きとの間に軋轢を生む要因となる。また政治家としての経験や知識がないので、重要ポストへの適材適所を誤る可能性がある。能力やこれまでの経験を判断してではなく、支援者や功労者の要求に応じてポストを分け与える愚を犯す可能性がある。

行政・政治手腕もビジネス交渉とは違うので、失敗する可能性が高い。抜本的な法案ではなく相反するどちらの勢力にも迎合するような足して2で割るような中途半端な政策を打ち出すことが多くなるかもしれない。外交でも相手国の分析評価情報に基づく冷静な判断より、自分の好悪の印象や気分で判断や決定を優先する可能性がある。

トランプ氏に大統領の資質がないと見抜いているアメリカ国民は彼の失敗やゴマかしを看過しないだろう。もしそのような反発や非難に我慢できなくなったトランプ大統領が、権力を盾に圧力や妨害を始めたら大変な事態に発展するだろう。

映画「ハンガー・ゲーム」の主演女優でオスカーを獲得したジェニファー・ローレンスは、去年(2015年秋)、その若く鋭い感性で語った。「もしドナルド・トランプが大統領になったら、世界の終わりになる」。「トランプ氏はTVのリアリティ番組が見せる単なるエンターティメントに過ぎない」同感です、ジェニファー。