◎新芽Sprout しんめ
早いところでは、すでに新芽が地中よりひょっこり芽を出し暖かい春の日差しを懸命に浴びようとして頑張っています。ブロッコリー(broccoli)の新芽、スプラウト(sprout)からのスルフォラファンの抗酸化作用について知られることとなり人気が高まっています。そのスルフォラフアン(sulforaphane)、新芽のパワーについてお届けすることといたします。
種子のあの小さな胚芽部分には、発芽する際に必要な栄養素、蛋白質、脂質、ミネラル、ビタミンB1、B2、B6、Eなどの含有量が多く、栄養価の高い部分となっています。適度な水分と気温により発芽が開始されます。
スプラウト(発芽野菜)は、発芽して3日から4日ぐらいに新芽時のパワーを全開させブロッコリーで話題となっています。、カイワレ大根、豆苗、芽タデ、発芽米、もやしもスプラウトに含まれ、またそのスプラウトが人気でソバ、マスタード、レッドキャベツ、クレソン(クレス)の新芽が市販されるようになりました。家庭菜園としても人気でまだまだ新芽の食材が増えていきそうな勢いです。きのこは、秋に発生しそのまま直ぐに食用となりこれも新芽に数えられるのでしょうか。最近ギャバを含むことが知られるようになりました。特にえのきだけに多いといいます。竹の子のパワーも見逃せませんね。
その元になったのは、1994年米国の大学のタラレー博士の研究によって見出されたものです。以前より野菜に、解毒、抗がん作用が、とりわけアブラナ科 野菜には、グルコシノレート(辛味の配糖体)が含まれており、すったり、少し熱を加えることで酵素により分解され生じた辛味の成分が抗菌、抗がん作用を持つことが以前から知られていました。アブラナ科野菜の研究を進めていくうちにブロッコリーの新芽より1997年ブロッコリーのスプラウト(新芽)に含まれるスルフォラファンの成分がピロリ菌を抑制しガン予防に効果的との発表をしています。
スプラウト10gで成長したブロッコリー200gと同等の働きをするというのです。成熟したものの20倍以上の作用があることが突きとめられました。 耐熱性ですが生で食べたほうがより吸収が高まるといいます。水に溶けやすく水溶性でスープにしてもいいでしょう。和え物、付け合せ、サラダ、スープの浮き実、味噌汁の実に利用していますね。
新芽(スプラウト)に多く特にブロッコリーの新芽に多く抗ガン作用、ピロリ菌を抑制し胃腸の調子を整えるというのです。アメリカで発見されそのブームが日本にまで押し寄せてきたのです。
スルフォラファン(sulforaphane)
1997年アメリカでブロッコリーの新芽に多いことが突きとめられグリコシノレートといわれる辛味の成分がすり下ろしたり、すり潰されることによって酵素チオグルコシターゼ(ミロシナーゼ)の加水分解作用により、破壊され、イソチアネート(イオウ化合物)の一種であるスルフォラファン(揮発性)が生じます。熱に強いが生で油と一緒に食べたほうがより吸収が高まります。水溶性でサラダ、スープの浮き実、味噌汁の実に利用でき新芽(スプラウト)に多く特にブロッコリーの新芽に多く(普通のブロッコリーの20~50倍という)抗ガン作用、ピロリ菌を抑制し胃腸の調子を整えます。抗がん作用は、ブロッコリースプラウト、貝割れ大根>にんにく、生姜、うこん>玉葱、トマト、ブロッコリー、ピーマン>きゅうり、じゃが芋、りんご、バジルの順で作用が強くなっているといわれます。
その働きは、成長したものの数十倍といわれます。新芽を発芽させるときにビタミン、ミネラルを合成し最も強い成長力をもち植物が成長のために必要な栄養素を最大限に引き出しているのです。
ブロッコリーは、アブラナ科、地中海沿岸を原産地とします。イタリアでの栽培、利用が多くイタリアンブロッコリー、日本ではミドリハナヤサイの別名があります。キャベツの変種でカリフラワーの仲間でもあり蕾を食用とし11月から翌年の3月を旬とされます。茹でて彩りとしてサラダに用いられることが多いですがシチュー、バター炒め、付け合せとしも利用されています。
以前から市場に出回っている貝割れ大根、その他の新芽のパワーをご紹介します。
貝割れ大根 かいわれだいこん
アブラナ科、大根の種子をまいて発芽し貝を割ったような子葉(双葉:ふたば)がでてきた状態の長さ10cmになって2週間ぐらいで収穫される。土壌を使用しない工場で大量生産の水栽培がなされ年中出回っていて大根の辛味がありスプラウトととして人気がありサラダ、付け合わせ、和え物、汁のみ、お浸しに利用されている。イソチアネート(イオウ化合物)の一種のスルフォラファンが、含まれており熱に強いが生で食べたほうがより吸収が高まり、水に溶けやすい性質をもっている。新芽(スプラウト)に抗ガン作用、ピロリ菌を抑制し胃腸の調子を整える働きがある。
大根 だいこん(すずしろ)
アブラナ科の根菜類。地中海沿岸が原産地といわれ日本では全国各地、四季を通じて栽培され、年中出回ってそれぞれ春大根、夏大根、秋大根、冬大根として親しまれ野菜の中で最も多い産出量をほこっている。初冬に収穫される秋冬大根が一般に好まれ、その中でも青首大根の栽培が多い。地面より出ている中まで緑の大根がありビタミンCとクロロフイルの抗酸化、脂肪分解作用をも兼ね備え、葉っぱも緑黄食野菜としての価値があり、おろし、刺し身のつま、酢のもの、漬物、煮物、味噌汁の実、切干大根に毎日の食卓に欠かせない食材としている。
辛味成分(生育初期、根の部分に多い)は、イソチオシアネート(脂肪分解・ピロリ菌撃退作用がある)で、おろして組織が壊された時に遊離し辛くなる。アミラーゼの消化酵素がおおい。その他にオキシターゼ(ポリフェノール酸化酵素:蛋白質、脂質分解、発ガン物質抑制〈こげ〉、解毒作用)、カタラーゼ(酸化還元酵素)、グリコシターゼ(配糖体加水分解酵素:栄養の吸収をよくする)の酵素を含んでいる。
100g中(0は最小記載単位の1/10未満と未検出、trは最小記載単位以下、(0)は含有が0が推定され未測定)
ブロッコリースプラウト100g中生でエネルギー19kcal、水分94.3g、タンパク質1.9g、脂質0.6g、炭水化物2.6g、灰分0.5g、ナトリウム4mg、カリウム100mg、カルシウム57mg、マグネシウム32mg、リン60mg、鉄0.7mg、亜鉛0.4mg、銅0.03mg、マンガン0.37mg、ビタミンA:120μg、ビタミンD:(0)μg、ビタミンE:1.9mg、ビタミンK:150μg、ビタミンB1:0.08mg、ビタミンB2:0.11mg、ナイアシン1.3mg、ビタミンB6:0.2mg、ビタミンB12:(0)μg、葉酸74μg、パントテン酸0.52mg、ビタミンC:64mg、食物繊維1.8g(水溶性0.3g・不溶性1.5g)
ブロッコリー生100gでエネルギー33kcal、水分89.0g、タンパク質4.3g、脂質0.5g、炭水化物5.2g、灰分1.0g、ナトリウム20mg、カリウム360mg、カルシウム38mg、マグネシウム26mg、リン89mg、鉄1.0mg、亜鉛0.7mg、銅0.08mg、マンガン0.22mg、ビタミンA効力:130μg、ビタミンD:(0)μg、ビタミンE:2.5mg、ビタミンK:160μg、ビタミンB1:0.14mg、ビタミンB2:0.20mg、ナイアシン0.8mg、ビタミンB6:0.27mg、ビタミンB12:(0)μg、葉酸210μg、パントテン酸1.12mg、ビタミンC120mg 食物繊維4.4gを含みます。
アブラナ科野菜は、ほかに
きゃべつ、芽キャベツ、カリフラワー、キャベツ、大根、白菜、小松菜、チンゲン菜、かぶ、からし菜、京菜、菜の花、わさび、クレソン(クレス)、ケール(葉ボタン:青汁)があります。
アブラナ科以外で市場に出ている新芽、発芽食材があります。露地栽培では発芽してくると、太陽からの直射日光に当たることになります。紫外線の影響を受け活性酸素が活性化します。日光からの紫外線を浴びる植物の自己防衛の酸化防止に作用し抗酸化力のあるビタミン類の増加がみられます。
萌 もやし
マメ科、一般に多く市販されているもやしは、緑豆もやしといわれ、グリーンとブラックの2種ある。豆もやしといわれるは、大豆を発芽させたものであり、アルファルファモヤシは、牧草の種子を発芽させており細くて柔らかい。大麦(イネ科)のもやしは、いわゆる麦芽といわれるもので醸造、水飴を作るときの原料となっている。
豆苗 とうみょう
マメ科、中国野菜ともいい、えんどうの20cm程度にのびた新芽の柔らかい葉と茎を食用としたもの。春先に出荷量が多い。少し青臭さがあるが、みそ汁の実、炒め物、和え物、お浸しに利用する。
芽タデ めたで
タデ科、新芽として利用されるやなぎたでは、辛味が舌をただれさせるといわれ「タデ食う虫も好きずき」のことわざがあり好きでなければ食べられないほどで魚の臭み消し、薬味として用いることが多く、主に芽が出たばかりの双葉が使われ紅タデ、青タデがあり刺身のつまとして用いられる。日本各地の湿地に成育するが畑作が多く行われている。
蕎麦の新芽 そばの新芽
タデ科、そばの芽(紅芽そば:茎がベニ色)のルチンがそば粉より多量に含むことがわかっている。特異成分ルチン(ポリフェノール〈苦味の成分〉ビタミンP・水溶性)の高血圧予防に役立ち蕎麦湯として茹で汁を食後につけ汁とあわせ飲む習慣がありますね。ダッタンソバに日本ソバの100倍ものルチンが含まれ注目されている。ルチンは、ソバ、トマトなどに含まれフラボノイド系淡黄色色素、血圧降下、血管強化、脳細胞の活性化作用、疲労回復によく紫外線による肌荒れに有用なことも認められてきている。
発芽玄米 はつがげんまい
イネ科、玄米は、白米に比べてビタミン、ミネラル、食物繊維が多く栄養価は高いが、ぽそぽそとして噛み応えがあり食感、食味、消化、吸収が悪く敬遠されてきた。発芽玄米は、玄米よりも更に有効成分を引き出すとして最近は、発芽米と称して玄米を水につけて1mmにも満たないぐらいの発芽をさせてその眠っていたエネルギー、栄養価を引き出した米が店頭に並ぶようになった。
以前から知られていたが、保存状態がよくなく、カビの発生、取り扱いが不便な事もありあまり普及しなかった。家庭で玄米を必要量白米を炊く1日(24時間)以上前に吸水させて置くと発芽玄米ができますのでやってみてもいいですね。発育の為の養分が絡み合ってより有効な成分が見出されているというもの。発芽米からはギャバ(ガンマーアミノ酪酸)が、降圧作用に関係してきていることがわかってきている。ギャバ(GABA)は、動植物に含まれているアミノ酸で中性脂肪の抑制、高血圧予防、肌荒れ(しみ、しわ)、ストレスの改善、血流改善、脳細胞の代謝促進、更年期障害、老化防止によく身体の不調を整える作用がある。
山菜も新芽ですね。この時期に取りたい食材です。あくが強いものは灰、又は重曹(じゅうそう)0.2~0.3%で茹で上げ水に晒(さら)してあく抜きしてから調理してください。
山菜 さんさい
のびる、じゅんさい、せり、たらの芽、ぜんまい、ふきのとう、わらび、つくしなど一般に山で採られていた食用とされる山草といわれていますが特に明確な区別がなくなってきています。
近頃での山菜といわれるものの多くは、ハウス栽培、輸入によってどんどん季節の先取りがされています。山菜と呼ばれるものは、一般にあく強く茹でて水にさらしてぬくことができますが、またそのあくが持ち味を生かしてもいるので適当に残っているのがいいわけです。ハウス栽培されたものではあくがかなり少なくなってきていますし、あく抜きされたものが多く出回っています。本当の味わいは、自宅で茹でたものを食べるのが一番美味しいかもしれませんよ。1度は試してみたいものですね。
年中食べるものでもありませんし、水に晒(さら)すので水溶性のミネラル、ビタミンの流失が相当あるので栄養的には、食物繊維の整腸、食欲増進作用になります。2、3簡単に紹介します。
芹 せり
セリ科、春の七草のひとつ。水中に育つセリに毒セリがあるので注意を要す。香りを楽しむがシャリシャリした触感も良く湯ですぎないほうが良い。ピラジンが肝機能を強化する。
たらの芽 たらのめ
ウコギ科、日本全国各地の日当たりのよい山野に春先群生をしているが最近は、栽培もされている。3~5月に採集される。独特の苦味と風味があり、天ぷら、味噌汁の実、和え物がよい。
土筆 つくし
トクサ科、早春の野草でスギナの繁殖機能のある胞子を持ってるのをつくしといいます。はかまを除いて茹であく抜きをして佃煮、和え物、酢のものにされるがビタミンB1分解酵素アノイリナーゼを含んでいる。
春のいぶきを感じさせる山菜は、私達の心の扉まで開けてくれるようで新鮮さを感じさせてくれます。こころゆくまでどうぞ適度にご堪能下さい。
茸類 きのこるい
菌類のうち子実体(しじつたい:茸の傘で菌糸の集まり)をつくるものの総称をいう。種類は、数千にも及ぶが食用になるのは、数百種という。世界3大栽培きのこは、マッシュルームが半数以上を占めしいたけ、ふくろたけ(中華料理)の順となっている。子嚢(しのう)菌類(あみがさたけ)、担子菌類(椎茸、松茸など)に分けられ食用とされるものは、担子菌類に多い。 木(き)の子でもあり、木のそばに生(は)えていることが多く、生物は、動物、植物、菌類に分類されきのこは菌類に属し、木など他のものに寄生し葉緑素がない。本当に食べられるきのこかどうかを見分けるには、きのこそのものについての正しい知識を得ている事が必要であり安易な判断は禁物です。また毒きのこ(しゃぐまあみがさたけ)でも一度茹でて毒をお湯に溶かし出してしまい食用とされるものもある。生態系の重要な役割を果たしおり腐葉土(動植物の排出物)に発生し有機物を無機質に変える働きをする。食物繊維、βーグルカン(繊維細胞)、エルゴステリン(プロビタミンD)を比較的多く含むものが多く、抗ガン、血圧降下、コレステロール低下、抗酸化作用があり注目される。ギャバ(γーアミノ酪酸:脳の血流改善)がきのこにも含むことが知られるようになり特にえのきだけに多く含む。環境汚染の影響を受けやすく汚染物質(金属類)の吸収をし人体に悪い影響を与える物質を蓄積させていることもあるので環境の衛生状態のよいところで自生、栽培されているものを利用するのがよい。
野菜売り場には、ぞくぞくと新芽(スプラウト)食材が進出してきています。今までに記載してまいりましたブロッコリースプラウト、カイワレ大根、発芽玄米、モヤシ、豆苗が、ソバの新芽、マスタードのスプラウト(ピリッとした辛味)、レッドキャベツ(茎の深紅色が特徴)、ルッコラ、ひまわり、小麦等‥が登場してきています。家庭でも手軽に栽培できるようになってきて種子が園芸センターで販売されているようですが、食用とするものは、殺菌消毒剤がコーティングされてないものを選んでください。3~7日で食べられるまでに成長するといいます。それぞれに胚芽から発芽したエネルギーを私達の身体にも取り込ませていただきましょう。
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