・ゼラチンGelatine ぜらちん
ゼラチンは、動物の皮や骨から採ったにかわ、コラーゲンを水に溶けるまで加水分解した動物性タンパク質で、無色ないし薄黄色で熱湯にとけ、冷やすと固まります。コラーゲンとほぼ同様のアミノ酸組成であり食用60%、医薬用15%、写真用20%、工業用5%として製菓・止血・フィルムなどに用いられます。
ゼラチンの消費量は、一人当たり1970年ごろは23g程でしたが2010年には133gと5.8倍と増加傾向です。
5000年以前古代エジプトのにかわ製造にその起源を発しているといわれており、主に接着剤とし利用していたようです。コラーゲンCollagenの「コル」が「ニカワ」、「ゲン」が「もとになるもの」を意味することからも、人間がコラーゲンを意識した始まりがニカワの利用でした。工業的な規模でゼラチンを生産したのは1690年のオランダが最初と伝えられ、その後、1700年代にはイギリス、さらに1800年代には、フランス、アメリカ、ドイツでも工業化により精製度の高い食用としてのゼラチンの製造が可能となり、現在に至っています。
1800年頃までは皮が主原料でしたが、1814年にイギリスで脱灰牛骨の製造技術を確立したことにより、19世紀初頭には工業的な骨からの脱灰骨(オセインOssein)によりゼラチンの製造を開始しています。一方、日本での工業化は欧米よりも遅く、1900年代に入ってからで、日本では寒天が古来、食品素材として利用していたことがあります。戦後の食生活の欧米化、嗜好の多様化にともない、食用ゼラチンの国内での消費・生産量は、年々増加をしています。
ゼラチンの語源は、ラテン語の "gelatus"(堅い、凍った)に由来し、この名称は18世紀初めから、一般的に使われるようになったといわれています。食品としてのゼリーの歴史は古くにローマ時代にはすでにあった肉や魚のゼラチン質を含んだブイヨンから作られる煮こごり料理がゼリーの起源ではとしています。ゼリーJellyの語源もまた、ラテン語の凍る、固まるを意味するゲラーレGelareが由来ではないかとも言われます。
お菓子の世界にゼリーが登場したのは、18世紀末から19世紀初頭のフランスで当時は十分な冷蔵技術がなく、ゼラチンを多く使用したことから、かなり固めの食感だったとも伝えられます。当時、料理人として知られたマリー=アントン・カレームMarie-Antoine(Antonin)Carême:1784-1833によって作られたといわれています。
人の体内では、常にコラーゲンの分解と合成を繰り返しているのですが年齢を重ねるにつれ、合成・分解のバランスがくずれ、合成能力が衰えてくる老化現象の一つです。コラーゲンが柔軟性を失ない、しわやたるみが発生したり、軟骨の擦り減ることにより関節の痛みを生じるのです。コラーゲンを補給し、新陳代謝を促す必要があります。「コラーゲン」・「ゼラチン」・「コラーゲンペプチド」を健康食品としています。
低分子化した吸収しやすいコラーゲンペプチドの摂取は、より有効的に高血圧の予防、骨粗鬆症の軽減、関節炎の軽減などに有効ともいわれます。消化管、血管の保護、保湿作用があり血圧上昇を抑制する作用を有しています。
軟骨は、弾力性に富み 発生の初期には骨格の大部分を構成していますが、のちに骨組織に置換し 成体では関節のように骨と骨が連結する部位に多く存在します。ある程度の硬さと弾力性をもつと同時に、骨と違って内部からの膨張によって成長します。軟骨細胞と軟骨組織からなり繊維性結合組織の軟骨膜で覆われています。軟骨膜を構成する扁平な繊維細胞は、順次肥大していき、卵形ないし球形の軟骨細胞に移行するのです。軟骨細胞は、コラーゲン原繊維を含むコンドロイチン硫酸(酸性ムコ多糖類)のゼリー状の基質を分泌しつつ単独または数個の小集団として基質中に埋め込まれています。身体の中の大部分の軟骨は硝子軟骨で、関節軟骨などの骨格部分で硝子軟骨の細胞間質は半透明で、一見、無構造に見えますが微細な膠原線維が縦横に走り、間質は硫酸ムコタンパク(タンパク質とコンドロイチン硫酸[糖質部分でムチン:グルクロン酸]との複合タンパク)を含みます。水分は60~80%含みます。
軟骨における細胞外基質を、軟骨基質という。軟骨基質の主成分は、コンドロイチン硫酸Chondroitin sulfateなどのプロテオグリカンProteoglycan(糖たんぱく質)でコンドロイチン硫酸は大量の陰電荷を持っており、ナトリウムイオンを引きつけます。この時、ナトリウムの水和水が一緒に寄ってくる。このような仕組みで、軟骨は豊富な水分を含みます。
軟骨細胞は、組織液を介した拡散によって酸素や養分を受け取り不要物を排出しています。
ゼラチンの主成分は、コラーゲン由来のたんぱく質で、全体の87%以上を占め、それ以外は水分が約11%、灰分です。ゼラチン100g中でエネルギー344kcal、水分11.3g、タンパク質87.6g、脂質0.3g、炭水化物0g、灰分0.8gを含みます。アミノ酸組成で必須のトリプトファンを含まずアミノ酸スコアは、0となります。トリプトファン0g 、トレオニン1.5g、イソロイシン1.2 g、ロイシン2.5g、リジン3.5g、 含流アミノ酸[メチオニン0.6g・シスチン0g]、芳香族アミノ酸[フェニルアラニン1.7 g・チロシン0.3g]、バリン2.1gであり、グリシン(保湿作用)20g、プロリン(脂肪燃焼作用)12g、リジン3.5g(水分を保持)です。一回の可食量は、2.5g程度です。
トリプトファンTryptophanを多く含む食品は100g中で米35mg、うどん71mg、中華麺99mg、生そば120mg、青魚220~310mg、大豆520mg、納豆240mg、豆腐100mg、チーズ300mg、卵類180mg、牛・豚の赤身肉200~250mg、牛乳40mg程度、ビタミンCと一緒に取ることにより吸収が高まります。トリプトファンの成人の目標摂取量は、一般に2mg/日/kgで、体重50㎏の場合は100㎎。毎日の食事から100~200㎎は自然に摂取できるといわれています。軟骨は骨の成長にも関係があるため、栄養不良などの代謝障害では敏感に反応します。
熱中症予防に、水分補給にもゼリーがお勧めです。魚(缶詰)、肉類の摂取が効果的ですが栄養バランスを考えながらの食事としましょう。
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