中学1年の頃の話である。冬だったと思う。風を引いたのか、のどの具合がおかしかったので、近所の薬局に龍角散を買いに行った。帰り道、サイレンが鳴っている。ごく近所である。行ってみると、クラスメイトの家の隣が燃えている。早速駆けつけ家財道具を運び出す手伝いをした。そこで火事場の馬鹿力を経験したが、詳しいことは忘れてしまった。火事の恐ろしさをこの時初めて知った。
ようやく鎮火し、皆がそれぞれの関係者の家に集まると、煙で皆のどが痛いという。ポケットには龍角散があるではないか。もちろん、皆に振る舞い感謝されたことは言うまでもない。しかし、気が利くクラスメイトという噂はまったく聞こえてこなかった。特殊な状況で、たまたま役には立ったが、日常的には気の利かない奴というのは、定説になっていたようである。そのまま今に至っている。
ようやく鎮火し、皆がそれぞれの関係者の家に集まると、煙で皆のどが痛いという。ポケットには龍角散があるではないか。もちろん、皆に振る舞い感謝されたことは言うまでもない。しかし、気が利くクラスメイトという噂はまったく聞こえてこなかった。特殊な状況で、たまたま役には立ったが、日常的には気の利かない奴というのは、定説になっていたようである。そのまま今に至っている。