”思い”は五行論で「土」に配当されます。
生まれた時にはまだ”思い”は存在しない。そう、生まれた時には「土」は存在しない、という考えです。
五臓では「土」は「脾」に配当されます。
「脾」の働きですが、「脾」は「胃」と一体となって働き、飲食物の消化や吸収を司ること。そして後天の精を取り出すこと。
これは生まれた後に必要になってくること。
脾土を考える時に思い出すのが安藤昌益。
フランスの思想家であり哲学者であるジャン・ジャック・ルソーと並び称される事のある江戸時代の社会思想家です。
安藤昌益は陰陽五行論を否定しています。
彼は五行を対等なものとは考えませんでした。
土を根源的な存在として、木・火・金・水の四元素を表裏合わせて八気とし、宇宙・自然を解き明かそうとしました。
東洋医学ですが、理論の運用について、言ったもの勝ちのところが多分にあります。
だから安藤昌益のように五行論を否定するといった人物が現れるわけです。
どの理論も正解であり正解でなし。
東洋医学のレシピがほぼ目分量で書かれているから、色んな解釈が出てきて当然、そしてそれは必然なんだと思う今日この頃。
経験則からの治療体系、フィクションとノンフィクションの狭間での治療思想の再構築、患者さんの治療のための新たな物語作り、今でいいんだ、そして治るんだといった話の主人公に患者さんになってもらう。
その心理状態への誘導も鍼灸の仕事の一つなのかと。
それこそエビデンス治療からこぼれ落ちたニッチな部分を補完する場でもあるのかと思う次第。
柳下先生の「治療家として患者の心理状態も考えながら治療しなければいけない」という言葉を肝に銘じて、今日もがんばります!
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