耳順庵日記

60歳を超えて、生き馬の目を抜く首都圏の生活にカムバックした。
浦安太郎が見た、都会の意外な側面を綴ってみたい。

医者に殺されない47の心得

2013年05月22日 15時32分35秒 | 都会の人たち
 「医者に殺されない47の心得」という本を買った。
近藤誠という慶応病院の医者が書いた本だ。著者は、従来のがん治療に反論を展開し、
医療情報の公開を主張している異端の医者である。



 新聞に「ロスト・ケア」という推理小説の広告が出たので、近くのショッピングセンター
に買いに行ったが、まだ入荷してません、というので、近くに積んであった本を買った
のが、これである。

 筆者は放射線科の医師で、がん放置療法という独自の考え方を展開し、菊池寛賞を
受賞している。
 この本によると、本物のがんは、発見された時には既に全身に転移しているはず
だから、手術は愚かどんな治療も間に合わない。必ず死に至る。だから、何もしない
ほうが良い。
 日本人のがんの9割は、病院で治療するほど、命を縮める。放っておいたほうが
元気で長生きできる。がんで苦しんで早死するのは、がんのせいではなく、不必要で
有害な「がんの治療」のせい、と言い切る。

 そう言えば元気な人が、検診でガンが発見され、入院したらそのまま帰って来な
かった、という事例は多く見聞する。最近がん死した何人かの歌舞伎役者も、病院に
行かなければ、長生きしたに違いないと思われる。


 ガンだけではない。病気の9割は医者に掛かったからといって、治るわけでも、
回復が早くなるわけでもない。そして副作用や後遺症のリスクはとても大きい、
という。

 一般に信じられている健康法についても、異議を唱えている。コレステロール、
体重を減らしてはいけない。血圧140は高くない、脂っこいものを食べて、1日2合
の酒を飲み、コーヒーをたくさん飲むのが良い、と。



 私は、近くのJ病院の泌尿器科に1年半通わされた。

 あるときちょっと飲みすぎた。その夜、尿意で目が覚めたが、トイレでいくら
頑張っても排尿できない。翌朝酒が抜けたら元の戻ったが、又苦しむのは嫌
なのでJ病院に行った。
 今後良くなる事はないが、悪化を防止するために薬を飲み続ける必要がある、
として「フリバスOD錠」という薬を毎日飲むよう、更に薬は一ヶ月分しか処方
できないから、毎月受診するように、申し渡された。
 半信半疑ながら言い付けを守ったが、症状は良くも悪くもならないので、この本
を読んだあと2週間ほど服用を止めてみた。案の定、何も変化はない。検査の結果
も却って良いくらい。思い切って、医者にもう止めたい、と申し入れた。

 医者は、「飲み続けるよう強くお勧めしますが、そう仰るんなら仕様がありません」
と、最後は引き下がった。
 結局私は、治療を受けた、というよりデータ取りのための、試験台になっていたの
ではないだろうか。いやそんなことはあるまいが、そんなことを感じさせる幕切れで
あった。

 右肩が痛くて、手が上に挙がらないので、これもJ病院の整形外科に通っている。
これも処方される湿布薬を貼れば、メンソールが利いて気持ちは良いが、痛みは
良くならない。手術という手もありますよ、と医者は言う。しかし考えてみれば
もう歳なのだから、あちこち痛くて当然であろう。痛くて可動範囲に制約はあるが、
日常生活に大きな障害が有る訳ではないので、このまま痛みを墓場まで持って
行っても、それもまた人生ではないだろうか。

 この間に、左足ふくらはぎの肉離れをやったが、これもテーピングして湿布薬を
貰っただけで整形外科を1回受信したら、治ってしまった。


 骨折したとか、包丁で手を切ったとか、病院を頼りにしなければならない場面は
有るだろう。しかし、医者に掛からなくても、いや掛からない方が良い事の方が多い
ような、そんな気がしてきた。
 退職してから、風邪で病院に行ったことはない。一晩暖かくして寝汗をビッショリ
掻けば、大体乗り切ることができるからだ。

 このまま、枯れる様に死んで行ければ、理想的ではないか。



 その後「ロスト・ケア」という推理小説は買うことができた。市立図書館で借りよう
と思ったが、数百人の待ち行列だったので、自腹を切ることにした。

 家族や回りの人達に多大な迷惑と負担を強いている、認知障害がある要介護老人達
を対象とした大量殺人事件というテーマが時流に乗っていて、面白かった。高齢者の
死亡事例を統計処理して、傾向を分析して犯人を絞り込むという手法も目新しかった。



       生き続けるということが、どういう意味を持つのか、
      考えるべき年齢に近づいて来たのかも知れない。



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