中高年の山旅三昧(その2)

■登山遍歴と鎌倉散策の記録■
最初に左下の“カテゴリー”を選んで,クリックして下さい.

モンブラン登頂記(24):クールメイヨール観光

2010年05月09日 02時32分28秒 | フランス・スイス;モンブラン登頂
                    <雨のクールメイヨール>

         モンブラン登頂記(24):クールメイヨー観光
              (アルパインツアー)
       2005年9月9日(日)。その1。曇ときどき小雨

■まずは朝食
 あいかわらず,夜は余り熟睡できないままである。
 5時頃,同室のフクロウがゴソゴソしだすので,私も起床する。この5日間,毎日のように、かなり歩き込んでいたので,何となく足が重いような気がする。
 今日は、モンブラン登頂の予備日である。Sガイドに薦められるままに,エギュードミディまでケーブルに乗って行く予定である。けれども,今朝は曇天。今にも雨が降ってきそうである。これまで,ホテルの窓から,綺麗に見えていたモンブラン山群は,深い霧の中である。
 6時30分,フクロウと私は待ちかねたように,1階(つまりグランドフロアー)にあるレストランへ向かう。バイキングの朝食である。ここはさすがにホテルのレストランである。沢山の料理が並んでいる。私は,昨夜の夕食で食べ過ぎている。それに,今日はほとんど歩かないので,節制しようと思う。そでれも,ついついいろいろなものをお皿に乗せてしまう。


■国境を越えてイタリアへ
 8時丁度に,私たちはロビーに集合する。
 ガイドのSさんが呼んだ7人乗りのタクシーが,もうホテルの玄関に横付けに停まっている。やや小柄な若い運転手が運転席にいる。そそくさと,タクシーに乗り込む。
 8時04分,発車。
 私たちを乗せたタクシーは,シャモニーの市街地から南西の方向にしばらく進む。小雨のために路面が濡れている。やがて,左折して,くねくねと続く九十九折りの坂道を南へ上っていく。
 8時11分,私たちを乗せたタクシーは、モンブラントンネルの中に入る。長いトンネルである。交通量は,極めて少ないように見受けられる。トンネルの幅は2車線で,やや狭い感じがする。
 8時24分,トンネルを出てイタリア領に入る。国境を越えても,パスポートのチェックはない。

<国境を越えてイタリアへ>

■ギュードミディケーブル駅
 8時27分,イタリア側のエギュードミディ行ケーブルの駅に到着する。Sガイドが,タクシーから降りて,駅の係員と何か話をしている。どうやら,山頂の天候と眺望のことを話しているらしい。ほんの1~2分で,Sさんはタクシーへ戻ってくる。
 「エギュードミディ山頂の視界はゼロ,何も見えないそうです・・・」
と私たちにSさんが報告する。
 わざわざ高いお金を出して,ロープウェーに乗って,何も見えない山頂に行っても意味がない。それならば,グールメイヨールの市内を観光する方が良さそうである。そこで,行き先を変更して,クールメイヨールを観光することになる。



■クールメイヨールへ
 8時27分にロープウェー駅を発車したタクシーは,そのまま曲がりくねった下り坂を進み,8時34分にクールメイヨール市街地の北端にある広場に到着する。ここで,タクシーから下車する。どうやら,ここがクールメイヨールの交通の要所らしい。少し雨が降っている。広場に面して,トイレや商店が入った建物が建っている。建物の中に入る。トイレは地下の長い廊下を,ずっと進んだところにあった。
 いよいよ,散策の開始である。まずは身支度を整える。
 建物の軒下に立つ。広場の向こうには,谷間を挟んで山頂を雨雲にまといつかれた山麓が見えている。風はほとんど吹いていない。しっとりと濡れた山肌を,いくつかのちぎれ雲が静かに流れている。手前には集落が見える。濡れた木々の間には,お洒落でセンスの良い建物が見え隠れしている。どことなく清涼感が漂うすてきな街である。

<クールメイヨールの交通広場>


<待合室兼食堂街>


<山を背負ったクールメイヨール>

■クールメイヨールの斜塔
 8時37分,私たちは広場を出発して,目抜き通りを南下する。歩き出してすぐに,14世紀に建てられたという古い教会の前に出る。Sガイドが,
 「隣の建物の柱と,教会を見比べてご覧。教会が少し傾いて見えるでしょう・・」
と説明する。なるほど、言われてみれば確かに教会は傾いて建っている。有名な「クールメイヨールの斜塔」である。窓が殆どない石造りの建物である。壁の表面は,黄色い泥で覆われているように見える。

<斜塔>

■中心街へ
 さらに,繁華街を南に進む。道は少し上り坂になり,程なくY字の三叉路に達する。石畳の路面が雨に光っている。ここから,商店街の道幅は一層狭くなる。時間が早いせいか,まだ開いていないお店も多いが,かなりたくさんの観光客が,この道を,のんびり,そぞろ歩きしている。アベックも結構多い。

<素敵な町並み>

■入口にアイゼンのあるお店
 どの店のショーウインドウも,大変凝っている。ある種の芸術性すら感じる。これらのショーウインドウの飾り付けと,建物のただ住まいが,古い時代の雰囲気を,大変よく伝えている。イタリア人のセンスの良さには,脱帽するしかない。私は,気に入ったショーウインドウを,つぎつぎにデジカメで撮影する。
  狭い道路を入ってすぐの左手に,沢山の絵はがきを売っている店がある。早速,ドッジさんをはじめとして何人かの方々がお店に入って,気の利いた絵はがきがないか探している。その間に,私は隣のお店に掛かっている看板に目を留める。この看板は,大きな長方形の木の板でできている。板の右上に,骨董品のような鉄製のアイゼンが斜めに止めてある。その下にCAFE・・ナントカとイタリア語の文字が彫り込まれている。この焦げ茶色の看板に,何ともいえないユニークさを感じる。


■おしゃれな洋品店
 さらに進むと,高級ブティックがある。大きなショーウインドウのガラスにMONCLERと青い文字が書いてある。そして,ショーウインドウの中には,きちんと折り畳んだ羽毛のジャケットが1着だけ飾ってある。黒くピカピカしたキールディングの生地が,暖かそうに光っている。

<おしゃれな洋品店>

■クライミングロープを張ったホテル
 道路の右側に,かなり大きなホテルがある。道路から大きな木が何本も生えている広場の奥にホテルが建っている。このホテルの作りが凝っている。玄関の外側の壁一面に、地上から屋上まで,ロープが張ってある。それを見つけたSガイドが,
 「あのロープ,本当にロッククライミングの練習ができそうですね・・・」
と独り言を言う。道路からホテルの敷地へ入るところに,高さ4メートルほどの巨大なポリネシア風の彫像が立っている。大きな頭で4頭身の男性像である。ユーモラスな帽子が印象的である。私は,何の脈略もなく,今春訪れたニュージーランドのマオリショーを思い出す。




■地図を購入

 道路右手に小さなお土産店が何となく気になった。私は,同行者に断って,ちょっと中を覗いてみる。お店の中にはお土産品だけでなく,ちょっとした日用品や食品を売っている。先客の中年女性が,店員と何か盛んにダベっている。お店の片隅に地図が置いてある。私は,折角,クールメイヨールを訪れたのだから,この辺りの地図が欲しかった。いろいろ探している内に,50,000分の1の地図を見つけた。即座に,この地図を買い求める。
 店を出て,同行者を追いかける。道路の両側のお店は,まだ殆ど開いていない。しかし,洒落たショーウインドウを見て歩くのがとても楽しい。


■ウインドウショッピング
 瀬戸物屋のショーウインドウが気になる。綺麗な色のマグカップや,何に使うのか良く分からない容器が小綺麗に置かれている。オモチャ屋がある。犬,ブタ,牛,富士山のような形をした青や黄色の板の前に小さな家や家畜のミニチュアが並べてある。隣の店はローソク屋である。白いもみの木のような大きなローソク,少々小振りの青いローソク,緑の芝生のような平べったいローソクなど,さまざまな色,形のローソクが,まるでお伽の国のように並べてある。
 仕立屋さんの店先には,首のないマネキン2体にヨレヨレジーンズを履かせ,ラフな格好の上着を着せてある。足下には,何か悪いことをして怒られたような仕草のマネキン犬が座っている。頭を垂れて上目使いの犬が,赤と黒の縞模様のマフラーをしている。とにかく,どの店のショーウインドウも,大変凝っている。いつまで見ていても飽きない。
 やがて,私たちが散策している商店街が,自動車道路に突き当たる。
 「この辺りで繁華街は終わりです。そろそろ引き返しましょう・・」
と佐々木さんが私たちを促す。










■小さな博物館
 ここから,今来た道を引き返す。少し戻ったところに「MUSEO ALPINO」と書いてある建物がある。どうやら山に関係のある博物館らしい。博物館は,ビルの2階にある。とにかく中に入ってみる。小さな博物館である。中に入ると左手が事務所である。中年の女性が受付をしている。代金と引き替えに貰った入場券は,半分ほど千切ってある。
 「ヨーロッパでは,券を半分ほど千切って,入場させるところが多いですよ」
と佐々木さんが言う。
 私は,入場券を記念に持って帰りたかったが,半分近くまで破れてしまい残念である。
 館内の説明は,全てイタリア語だけである。どの展示を見ても皆目何のことか分からない。その内に,Monte Biancoという単語がやたらに多いことに気が付く。どうやら,これはモンブラン山のことらしい。
 先ほどお土産屋で買った地図を広げてみると,これがモンブラン山のことだと 確認することができた。
 モンブランに始めて登ったナントカという有名なアルピニストに関連のある登山用品や写真がたくさん陳列されている。部屋の真ん中には,極めて精巧に作られたモンブラン山塊のジオラマが置いてある。私たちは,このジオラマを見ながら,私たちが登った登山道の位置や,メールドグラスの流れなどを確認し合う。
 古い防寒着や革製の手袋,それに粗末な防寒靴や重そうなアイゼンなど,数々の登山用品が展示されている。説明文は皆目分からないが,それでも大変見応えのある品々が揃っている。




■自己主張が強い建物群
 10時10分に博物館を出る。そして,表通りの商店街から右折して裏通りに入ってみる。裏通りを少し中にはいると,周りの建物が地味になる。いろいろな形の建物が入り組んで建っている。
 「イタリア人は自己主張が強くて,皆,周りのことを考えずに,勝手気儘に自分の家を建てているんです・・」
と佐々木さんが説明する。
 確かに,どの建物も自己主張が強い感じがする。そのためか,街全体は何となく雑然とした感があるのは否めない。とはいえ,一つひとつの建物のデザインは素晴らしいと思う。それに,雑然としているとはいえ,日本の普通の都市よりは,ずっとマシなような気がする。 裏通りを進むと,街角に,古い水飲み場のような施設がある。側の立て札にイタリア語の説明が書いてあるが,何か良く分からない。とにかく何かの遺跡のようである。洗濯場か,馬の水飲み場か,それとも公衆浴場か,まあ,多分,水を利用するところだろう。

<個性的な建物>


<細い路地>


<馬の水飲み場>

■シャモニーへ戻る

 10時36分,私たちは再び広場に戻る。広場に面した建物の中にあるコーヒーショップに入る。他のメンバーも,私に続いてお店に入ってくる。お店には,私たちの他に1組の先客がいる。私は,冷蔵庫の中にある棚から,スプライトを1本取りだして,カウンターで代金を支払う。私の仕草を見ていた仲間が,つぎつぎに好きなものを購入する。
 私たちが休んでいる間に,Sガイドはタクシーを探している。どうやら,ここでは7人乗りのタクシーが見つからないらしくて,シャモニーのタクシー会社に,大型タクシーを回してくれるように手配をしているようである。
 もし,Sガイドが居なくて,自分たちだけで旅行していたら,こんな場合,一体,どんな処置をしただろうと想像すると,ガイド付きの旅行がいかに楽か実感できる。
 11時48分,シャモニーから回送されたタクシーが広場に到着する。すぐに乗車する。私はタクシーの中で,たまらなく眠くなる。ウトウトとしている内に,いつの間にかモンブラントンネルを抜けて,フランス側に戻っている。
 12時18分,シャモニー市内のSATUKIという日本食屋の前で,タクシーから降りる。寝ぼけ眼の私には,今,私たちがシャモニーのどこに居るのか良く分からない。この日本料理店で,遅めの昼食を取ることになった。

<待合室でタクシーを待つ>

                          (つづく)
「モンブラン登頂記」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/540b41b3767a112abf81ff60ecb5e0ce
「モンブラン登頂記」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/8e49d2e84edf1783c25a7e531210f867


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。