<シャモニー散策中の日本人>
モンブラン登頂記(22):シャモニー逍遥
(アルパインツアー)
2005年9月8日(土)。その2
■ベルビュー駅へ
やがて,改札が始まる。
私たちは2両目の電車に乗り込む。乗客は,ざっと見て,座席の70パーセントぐらいだろうか,それ程の混雑ではない。ただ,列車に乗り込むときの仕草が,皆,大変ゆっくりしていて,東京の電車の乗客のようにセカセカしていない。あまりにのんびりしているので,無性に苛立ってくる。
13時25分,私たちが乗車した電車は,ニーデグル駅を発車した。
電車はすぐにトンネルに入る。車輪がレールに軋む音が,ギー,ギーとトンネルに反響する。トンネルの途中で,壁にポッカリと孔の空いたところを通過する。孔から外の光が眩しく車内射し込む。トンネルを出ると,素晴らしい鳥瞰である。美しい風景の中を,電車はギーギーと音を立てながら,ゆっくりと下っていく。
「この辺りには,トレッキングコースが沢山ありますよ」
とガイドのSさんが説明してくれる。
13時40分,ベルビュー駅に到着する。ここで下車。
今日は,天候が良くなくて,どんよりと曇っている。往路でこの駅を通ったときは,陽光を浴びて,のどかな感じがしたが,曇天の今日は,それほど,のどかな感じはしない。ちょっと坂を登って,牧場風の野原を横断して,13時45分頃,ロープウェーの頂上駅の駅舎に入る。狭い駅舎は,登山客で一杯になる。待合室の隣のレストランもお客で一杯である。
■ロープウエーでレズージュ駅へ下る
少し待って,ロープウエーのゴンドラに乗り込む。長幼の序とやらで,最年長の私は,少ない座席に座らせて貰う。13時54分,ロープウェーが発車。14時00分,下の駅,レズージュに到着する。駅前で待っていたリムジンに乗り込む。14時03分,リムジンは発車する。
■ホテルプレオレに帰着
14時12分,ホテルプレオレに到着する。 すぐにチェックイン。 ロビーで預けておいた荷物を受け取って,一旦,部屋へ入る。今夜から2日間,私はまたもやフクロウと同室である。今回は,2階の部屋である。とにかく,風呂に入る。預けておいた荷物から下着を出して,さっぱりと着替える。
「ヤレ,ヤレ・・・・ご苦労様でした」
やっと落ち着いて,自分に挨拶をする。
まずは,早速,身体を綺麗にしたい。今回も,私はフクロウと同室である。平素,フクロウがどのような生活をしているかは知らない。ただ,これまでニュージーランドへ行ったときもそうだったが,私と同室のときは,いつもシャワーを浴びるだけで,フロには入らないようである。フクロウは鳥だから,お風呂嫌いなのかもしれない。そこで,まずは先に,フクロウにシャワーを浴びて貰う。その後,私がバスタブにタップリとお湯を貯めて,ユックリと汗を流す。ついでに,今日着た下着類を洗濯する。
今日は,夕方,16時にシャモニー散策希望者は,ロビーに集合して,あてもなくその辺りを散策することになっている。そのときに,スポーツ店で登山靴を借りた消防署長と大阪のTさんは,登山靴を返却することになっている。
■お揃いの帽子
16時少し前にロビーへ降りる。前後して参加者全員が集まる。まずは,バッカール通りを北上して,進行方向左側にあるスポーツ専門店に向かう。消防署長とTさんは,ガイドのSさんに連れられて,借りた登山靴を返却する。その間,他の連中はそれぞれウインドウショッピングをしたり,ストックや防寒手袋を買ったりで過ごす。ちなみに私は何も購入しなかった。
その後,ハッカール通りを南に戻り,ホテル直前の交差点で東へ左折し,踏切を越え,さらに50メートルほど歩く。道路の右側に,かなり大きなスポーツ用品店がある。歩道には安物のウインドウブレーカーやズボンなどがハンガーにぶら下がっている。
店内に入ってみる。あまり高級品は置いてないようだが,品数は豊富である。特段,欲しいものは何もない。しかし,誰からともなく,折角,フランスに来たのだから,お揃いのキャップ位は買おうということになる。1個買うと7ユーロ,2個買うと10ユーロになる。そこで,湘南カラビナ隊のメンバー全員が,お揃いの帽子を購入する。帽子の額の部分にChamonix・・と刺繍してある。
■ハッカール通りをブラブラ
再びハッカール通りに戻る。
また,ハッカール通りを南へ少し下って,道路の右側にあるスーパーに立ち寄る。私は5個のトマトが付いている枝付きトマトと桃1個を購入する。
足かけ2年にわたる努力の結果,やっとモンブラン登頂に成功した。まだ,本当には登ったという実感が涌いてこないが,それでも目的を達成した後のブラブラ歩きは,達成感があって気分がよい。こんな気分は,実際にモンブラン山頂まで行った人でないと,多分,理解してもらえないだろう。
■私の取材日記
シャモニー市内ブラブラ歩きを終えた私たちは,一旦,ホテルへ戻る。
今夜,19時に,全員,ロビーに集まるように,ガイドのSさんから言い渡されている。それまで,まだ,2時間近くの自由時間がある。その間を利用して,私は記録帳の整理をすることにする。
私は,行動中,何時もB5の厚いノートと,小さなノートを持っている。簡単なトレッキングの場合は,B5のノートを持ち歩いて,思いついたことや,行動時間などを,このノートに直接書き込んでいる。しかし,今回のように本格的な登山の場合は,大きなノートを持ち歩くのは,携行品を1グラムでも軽くしたいので,とても無理である。そんなときはB7の薄いノートをポケットに入れておく。
ノートの大きさは,丁度,健康保険証と同じである。そして,芯の直径が1ミリメートルの少々太めのボールペンを一緒に持ち歩く.どんな些細なことでも,この小さなノートに記録するように心がけている。ついでながら,ボールペンは,予備として,必ず複数本を持ち歩いている.
ノートには,100円ショップで買ってきたビニール製のカバーを掛ける。このカバーは健康保険証用のものだが,この大きさのノートがピッタリと収まる。
記録を取っていて,一番困るのが雨のときである。雨でも溶けてしまわないプラスティック用紙のノートも使ってみたが,濡れると紙同士がくっついてしまい扱いにくい.それに濡れてしまうとなかなか乾かない。そんなことから試行錯誤の結果,カバーを掛けた小さなノートが一番具合がよいことに気が付いた。雨の日でも,雨具のポケットから,このノートをサッと取りだして,素早く書き込んで,すぐにまた雨具のポケットに仕舞い込む。これが一番良い。
<メモ帳(左隅)とB5ノート>
■メモの整理
全員集合までの時間を,ノート整理に充てようと思い立つ.小さなノートのメモを参考にしながら,厚いB5のノートに,その日の出来事を整理しながら書き込んでいく。ところが,モンブラン登頂中のメモが殆どない.有っても,書いた字が乱れていて,判読できない。もちろん,天候が余り良くなかったことも,メモを十分取れなかった原因のひとつだろうが,最大の原因は,行動中に疲労が激しくて,メモをする気にならなかったことにある。
それでも,ここ一両日中の行動をいろいろと思い出しながら,一生懸命にメモに纏める努力をする。実は,このブログの記事も,薄れ行く記憶を一生懸命にメモした資料を「たたき台」にして書いている。
私がメモをしている間,同室のフクロウは,荷物をトランクから出したり入れたりしながら,荷物整理に余念がない。 そうこうしている内に,集合時間が迫ってきた。フクロウと私は,集合時間の10分前の18時50分に,階下のロビーへ向かう。
(つづく)
「モンブラン登頂記」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/1b39c2caa794e3d030636a0d330efe55
「モンブラン登頂記」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/540b41b3767a112abf81ff60ecb5e0ce
モンブラン登頂記(22):シャモニー逍遥
(アルパインツアー)
2005年9月8日(土)。その2
■ベルビュー駅へ
やがて,改札が始まる。
私たちは2両目の電車に乗り込む。乗客は,ざっと見て,座席の70パーセントぐらいだろうか,それ程の混雑ではない。ただ,列車に乗り込むときの仕草が,皆,大変ゆっくりしていて,東京の電車の乗客のようにセカセカしていない。あまりにのんびりしているので,無性に苛立ってくる。
13時25分,私たちが乗車した電車は,ニーデグル駅を発車した。
電車はすぐにトンネルに入る。車輪がレールに軋む音が,ギー,ギーとトンネルに反響する。トンネルの途中で,壁にポッカリと孔の空いたところを通過する。孔から外の光が眩しく車内射し込む。トンネルを出ると,素晴らしい鳥瞰である。美しい風景の中を,電車はギーギーと音を立てながら,ゆっくりと下っていく。
「この辺りには,トレッキングコースが沢山ありますよ」
とガイドのSさんが説明してくれる。
13時40分,ベルビュー駅に到着する。ここで下車。
今日は,天候が良くなくて,どんよりと曇っている。往路でこの駅を通ったときは,陽光を浴びて,のどかな感じがしたが,曇天の今日は,それほど,のどかな感じはしない。ちょっと坂を登って,牧場風の野原を横断して,13時45分頃,ロープウェーの頂上駅の駅舎に入る。狭い駅舎は,登山客で一杯になる。待合室の隣のレストランもお客で一杯である。
■ロープウエーでレズージュ駅へ下る
少し待って,ロープウエーのゴンドラに乗り込む。長幼の序とやらで,最年長の私は,少ない座席に座らせて貰う。13時54分,ロープウェーが発車。14時00分,下の駅,レズージュに到着する。駅前で待っていたリムジンに乗り込む。14時03分,リムジンは発車する。
■ホテルプレオレに帰着
14時12分,ホテルプレオレに到着する。 すぐにチェックイン。 ロビーで預けておいた荷物を受け取って,一旦,部屋へ入る。今夜から2日間,私はまたもやフクロウと同室である。今回は,2階の部屋である。とにかく,風呂に入る。預けておいた荷物から下着を出して,さっぱりと着替える。
「ヤレ,ヤレ・・・・ご苦労様でした」
やっと落ち着いて,自分に挨拶をする。
まずは,早速,身体を綺麗にしたい。今回も,私はフクロウと同室である。平素,フクロウがどのような生活をしているかは知らない。ただ,これまでニュージーランドへ行ったときもそうだったが,私と同室のときは,いつもシャワーを浴びるだけで,フロには入らないようである。フクロウは鳥だから,お風呂嫌いなのかもしれない。そこで,まずは先に,フクロウにシャワーを浴びて貰う。その後,私がバスタブにタップリとお湯を貯めて,ユックリと汗を流す。ついでに,今日着た下着類を洗濯する。
今日は,夕方,16時にシャモニー散策希望者は,ロビーに集合して,あてもなくその辺りを散策することになっている。そのときに,スポーツ店で登山靴を借りた消防署長と大阪のTさんは,登山靴を返却することになっている。
■お揃いの帽子
16時少し前にロビーへ降りる。前後して参加者全員が集まる。まずは,バッカール通りを北上して,進行方向左側にあるスポーツ専門店に向かう。消防署長とTさんは,ガイドのSさんに連れられて,借りた登山靴を返却する。その間,他の連中はそれぞれウインドウショッピングをしたり,ストックや防寒手袋を買ったりで過ごす。ちなみに私は何も購入しなかった。
その後,ハッカール通りを南に戻り,ホテル直前の交差点で東へ左折し,踏切を越え,さらに50メートルほど歩く。道路の右側に,かなり大きなスポーツ用品店がある。歩道には安物のウインドウブレーカーやズボンなどがハンガーにぶら下がっている。
店内に入ってみる。あまり高級品は置いてないようだが,品数は豊富である。特段,欲しいものは何もない。しかし,誰からともなく,折角,フランスに来たのだから,お揃いのキャップ位は買おうということになる。1個買うと7ユーロ,2個買うと10ユーロになる。そこで,湘南カラビナ隊のメンバー全員が,お揃いの帽子を購入する。帽子の額の部分にChamonix・・と刺繍してある。
■ハッカール通りをブラブラ
再びハッカール通りに戻る。
また,ハッカール通りを南へ少し下って,道路の右側にあるスーパーに立ち寄る。私は5個のトマトが付いている枝付きトマトと桃1個を購入する。
足かけ2年にわたる努力の結果,やっとモンブラン登頂に成功した。まだ,本当には登ったという実感が涌いてこないが,それでも目的を達成した後のブラブラ歩きは,達成感があって気分がよい。こんな気分は,実際にモンブラン山頂まで行った人でないと,多分,理解してもらえないだろう。
■私の取材日記
シャモニー市内ブラブラ歩きを終えた私たちは,一旦,ホテルへ戻る。
今夜,19時に,全員,ロビーに集まるように,ガイドのSさんから言い渡されている。それまで,まだ,2時間近くの自由時間がある。その間を利用して,私は記録帳の整理をすることにする。
私は,行動中,何時もB5の厚いノートと,小さなノートを持っている。簡単なトレッキングの場合は,B5のノートを持ち歩いて,思いついたことや,行動時間などを,このノートに直接書き込んでいる。しかし,今回のように本格的な登山の場合は,大きなノートを持ち歩くのは,携行品を1グラムでも軽くしたいので,とても無理である。そんなときはB7の薄いノートをポケットに入れておく。
ノートの大きさは,丁度,健康保険証と同じである。そして,芯の直径が1ミリメートルの少々太めのボールペンを一緒に持ち歩く.どんな些細なことでも,この小さなノートに記録するように心がけている。ついでながら,ボールペンは,予備として,必ず複数本を持ち歩いている.
ノートには,100円ショップで買ってきたビニール製のカバーを掛ける。このカバーは健康保険証用のものだが,この大きさのノートがピッタリと収まる。
記録を取っていて,一番困るのが雨のときである。雨でも溶けてしまわないプラスティック用紙のノートも使ってみたが,濡れると紙同士がくっついてしまい扱いにくい.それに濡れてしまうとなかなか乾かない。そんなことから試行錯誤の結果,カバーを掛けた小さなノートが一番具合がよいことに気が付いた。雨の日でも,雨具のポケットから,このノートをサッと取りだして,素早く書き込んで,すぐにまた雨具のポケットに仕舞い込む。これが一番良い。
<メモ帳(左隅)とB5ノート>
■メモの整理
全員集合までの時間を,ノート整理に充てようと思い立つ.小さなノートのメモを参考にしながら,厚いB5のノートに,その日の出来事を整理しながら書き込んでいく。ところが,モンブラン登頂中のメモが殆どない.有っても,書いた字が乱れていて,判読できない。もちろん,天候が余り良くなかったことも,メモを十分取れなかった原因のひとつだろうが,最大の原因は,行動中に疲労が激しくて,メモをする気にならなかったことにある。
それでも,ここ一両日中の行動をいろいろと思い出しながら,一生懸命にメモに纏める努力をする。実は,このブログの記事も,薄れ行く記憶を一生懸命にメモした資料を「たたき台」にして書いている。
私がメモをしている間,同室のフクロウは,荷物をトランクから出したり入れたりしながら,荷物整理に余念がない。 そうこうしている内に,集合時間が迫ってきた。フクロウと私は,集合時間の10分前の18時50分に,階下のロビーへ向かう。
(つづく)
「モンブラン登頂記」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/1b39c2caa794e3d030636a0d330efe55
「モンブラン登頂記」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/540b41b3767a112abf81ff60ecb5e0ce