<グレートサンドデューン砂漠>
ロッキー山脈紀行(10):第2日目(2):グレートサンドデューン国立公園
(アルパインツアー)
2010年8月19日(木)~28日(土)
第2日目:2010年8月20日(金) (つづき)
<第2日目の地図>
<コロラドスプリングスからグレートサンドデューン公園へ>
■気怠い車内
公園で昼食を終えた私たちは,再び2台の専用車に分乗,12時24分に発車する.運転席の窓を通して,先ほど登ったパイクスピークが見えている.やや気怠い車内の雰囲気を察してか,ガイドのネイトさんが何となく話を始める.
「・・・パイクスピークの意味,知っていますか・・?」
と一寸英語訛りの日本語で話し出す.
「・・最初,パイクスという人がこの山に登ろうとしましたが,ダメでした.その後,ジェームスという人が,この山に初めて登ったので,最初はジェームスピークという名前がついていたんですよ.でも,ジェームスナントカという地名が沢山あったので,パイクスピークと呼ばれるようになりました・・」
ネイトさんの話を伺っている内に,時差が十分取れていない私は,何時の間にか熟睡してしまう.
小一時間居眠りをした後,13時25分頃,目が覚める.
専用車は広々とした平原を走っている.雲一つない青空.気怠い景色が続く.思わず大きなアクビが出る.
■ガソリンスタンドACORNで休憩
13時48分,ガソリンスタンドACORNに到着.ここで10分ほどトイレ休憩.
辺りは寂(さび)れた感じのする小さな町である.町の名前は良く分からない.ガイドの説明によると,ここの人口は約8000人.昔,鉱山があったところだという.この辺りの標高は約1800メートル.結構な高所である.
■雄大なスパニッシュピーク
休憩を終えて,再び平原を西へ向かう.
14時21分,前方に双耳峰の大きな山が見え始める.ネイトさんの説明によると,この山の名前はスパニッシュピーク.西峰は標高3866メートル,東峰は標高4153メートルだという.
■何処までも続く1本の電線
前方には,平原の真っ直中を真っ直ぐな道路が延びている.進行方向左手には,道路と並行して木製の電信柱が真っ直ぐ続いている.広い平原には,この一筋の電信柱の隊列以外に,全く電信柱がない.電信柱が次々に後ろに過ぎ去っていくのを,ボンヤリと眺めている内に,若い頃夢中になって読んだ宮沢賢治の「月夜のでんしんばしら」を思い出す(宮沢(編),1969,p.250).
“ドッテテドッテテ,ドッテテド,
でんしんばしらの軍隊は
はやさ世界にたぐいなし
ドッテテドッテテ,ドッテテド
でんしんばしらの軍隊は
きりつ世界にならびなし.”
今,私たちは月夜ではなく,真っ青に晴れ渡った青空の下をドライブしているが,宮沢賢治のこの詩がピッタリの情景が続く.
■ブランカ山
14時35分,標高2720メートルの峠を越えて,サンディーンズバレーに入る.
ネイトさんの説明によると,この辺りの年間降水量は50ミリメートル程度で,極度に乾燥している地帯である.
車窓右手,つまり北側には,標高4372メートルのブランカ山が聳えている.
ブランカ山は,ロッキー山脈群の一つで,南北に連なるサングレデクリスト山脈(Sangre de Cristo Mountains)の南端に位置している.
私たちの専用車は,サングレデクリスト山脈の南端を回り込むようにして,ルート160号線から右折して,ルート150号線に入る.
<グレートサンドデューン国立公園>
■公園入口のモニュメント
15時19分,グレートサンドデューン国立公園入口のモニュメントに到着する.ここで自動車を停めて,モニュメントの前で記念写真を撮りあう.
辺りは広大な平原である.とても,とても日本では味わえない広さである.
モニュメントの足許は歌壇になっている.花オンチの私には,花の名前は全く分からないし,伺ってもすぐ忘れるので,ここでは綺麗な花とだけ書いておこう.紫色,黄色の花が乾燥しきった土地で懸命に咲いている.
でも,まあ,親切な方がお節介に教えてくれた花の名前をメモしたので,一応,紹介しておこう.
写真の紫色の花はミルキーファイヤーリア.
黄色い花はブラックアイドスーザン,つまり“黒い瞳のスーザンさん”という意味なんだろう.
■ビジターセンター
15時33分,モニュメントの前から出発する.ほぼ真っ直ぐな道を北上する.そして,15時40分,公園ゲートでネイトさんが一括して入園料を支払う.
15時40分,ビジターセンターに到着する.立派な建物である.中に入る.沢山のお土産,写真などが並んでいる.
<公園ゲート>
<ビジターセンター>
■国立公園パスポート
ネイトさんが,私たちに『国立公園パスポート(Passport to your National Park)』を1冊ずつプレゼントしてくれる.中にはアメリカの国立公園の所在を示す大きな地図と,各公園の簡単な説明があり,その後ろに記念スタンプを押すページが付いている.なかなか気が利いた小冊子である.
まずは,グレートサンドデューン国立公園のページを開いて,記念スタンプを押す.
本当は,売店で大型の記念シールを買い,それを台紙に貼って,スタンプで割り印をするという仕掛けのようだが,私には記念シールを買うのも馬鹿馬鹿しいので,お付き合いに直接スタンプだけを押してオシマイにする.
■砂丘で遊ぶ
16時11分,飲み水を持って(私はリュックをそのまま背負って),ビジターセンターから砂丘散策に出掛ける.
歩き出してみると,砂丘の砂に足を取られて,なかなか大変である.まだ,本番のエルバート山登山が終わっていないので,妙に疲労がたまると困る.私は慎重にビリの一団に加わって,ユックリ,ユックリと砂丘散策を楽しむ.
目の前に大きな砂丘の山が見えているが,その山裾まで行って,往路を引き返す.
昨年訪れたモロッコのサハラ砂漠では,至る所にラクダの分が落ちていて気分が悪かったが,グレートサンドデューン国立公園の砂漠では,環境が実に清潔に保全されていて気持ちがよい.
ガイドの説明によると,環境保全のためにさまざまな規制が設けられていて,訪れる人たちにその規制を遵守するように強く働きかけているという.そんな話をしていると,立派な馬に乗った保全係員が入口から砂丘の方に近付いてくる.馬上の係員に許可を得て写真を撮らせて貰う.
雄大な砂丘に向かって馬に乗った係員が進む後ろ姿は,まるで西部劇の世界である.
ちなみに,この砂丘は,周囲を山に囲まれた盆地の中を,風が渦を巻いて吹き続けるために,風に飛ばされた砂塵が堆積して生成されたもだという.
<三人のスタッフ>
<砂漠にイタズラ:でも,風がすぐに消してしまう>
(つづく)
[引用文献]
宮沢清六ほか(編),1969,『宮沢賢治童話集』実業之日本社
参考HP:http://translate.google.co.jp/translate?hl=ja&sl=en&u=http://www.nps.gov/grsa/&ei=Ao-ETMjiD43-vQPS9-TGBA&sa=X&oi=translate&ct=result&resnum=1&ved=0CCgQ7gEwAA&prev=/search%3Fq%3Dgreat%2Bsand%2Bdunes%2Bnational%2Bpark%26hl%3Dja%26rlz%3D1T4ADRA_jaJP358JP359%26prmd%3Dmi
「ロッキー山脈紀行」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/10c8bfa23be4ad232416fdeda7cbb1ac
「ロッキー山脈紀行」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/2aa07caf635edd64889fa0165b0c8e0c
[編集後記]
2010年9月6日(月)
本当は,9月4日(土)か5日(日)のどちらかで,丹沢塔ノ岳詣でをしたかったが,土曜日に長女一家が我が家を訪問.そのまま一泊,翌,日曜日は長男一家が我が家を訪れる.
孫4人を含む大家族が期せずして一緒になる.
塔ノ岳へは行きそびれたが,可愛い孫どもと一緒に丸2日間も過ごせたのは何よりも幸いである.
ただ,今年は,何だかんだで,塔ノ岳詣での回数が大分減っている.9月初旬で塔ノ岳詣では,たった25回.例年ならば,40回程度になっている筈なのに・・・今年は塔ノ岳50回詣でも,どうやら達成不能のようである.
「ぼやいていないで,今日,丹沢へ行けば良かったじゃないか・・」
「ごもっとも・・・でも,夜中に目が覚めて,二度寝したら寝坊してしまったんです・・」
「しょうがないな・・何でお前は,いつもピリッとしないんだ!」
私は心の中のもう一人の私に叱られる.
でも,まあ,いいか・・・
(ぼやき終わり)
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