<ツール・ド・モンブランの情景>
ツール・ド・モンブラン(1):プロローグ(1);出発前日まで
(アルパインツアー)
2011年7月16日(土)~24日(日)
出発1ヶ月前:2011年6月11日(土)
■急にツール・ド.モンブランに参加したくなる
今から6年前の2005年9月,私は山数人と一緒にモンブラン山に登頂した.参加した山仲間5人の内,私を含めて3人が登頂に成功したが,2人は途中で力尽きて挫折した.登頂には成功したものの,当時でも私は十分に年寄りだったので,それはも難行苦行の連続であった.とはいえ熱さも喉元をす切れはなんとやらの例えのように,今になれば楽しかったことだけが記憶に残っている.
モンブラン山に登っている途中で,現地ガイドから,眼下に見えているトレッキングルートがツール・ド・モンブランだと教えて貰った.1本の道が眼下に広がる緑の平原を横切っている.私はいつの日にか,この道を歩いてみたいなと,そのとき思った.
<モンブラン山登頂証明書>
あれからもう6年も経っている.その間,私はピークハントに興味を持ち,翌,2006年には同じ山仲間とスイスのメンヒ山,ユングフラウ山に登った.これらの山はモンブラン山以上に手強く辛かった.さらに,ウイルヘルム山,ツブカル山,エルバート山など,アルパインツアー社が一般公募している登頂ツアーに毎年のように参加してきた.また,山の知人か企画したペルーブランカ山脈のピスコ山などにも登頂してきた.
とはいえ,私ももうすぐ○十歳の大台に達する.いつまでもピークハントを続けるわけにもいかないので,今年は少々趣旨替えをしようかなと思い始める.そう思い始めた頃,6年前にモンブラン山登頂の途中で見下ろしたツール・ド・モンブランのトレッキングである.
今年6月11日,私はアルパインツアー社に,次のPCメールを送った.
===============================================
貴社のホームページで,下記のツアーに残席があるようですので,参加を申し込みたいと思います. これから参加が可能でしたら,ご連絡ください.
◎申し込みたいツアー
7月16日発,ツール・ド・モンブラントレッキング9日間
数年前,御社のモンブラン登頂に参加したときから,このトレッキングコースを是非歩いてみたいと思っていました.
◎氏名・住所など
フラワーヒル
○○市○○3-31-5
PCメール XXXXXX@XXXXXX.ne.jp
電話 XXXX-XX-XXXX
携帯電話 090-XXXX-XXXX
参加可能したら,正式な申込手続きをしますので,どのようにしたらよいかご連絡ください.
よろしくお願い致します.
以上
====================================================
■正式に申し込む
アルパインツアー社からすぐに電話が架かってくる.
「・・・後、お一人、空席があります.いかがですか・・」
私は二つ返事で,
「では,参加します.よろしくお願いします」
「・・すぐに資料をと参加費の請求書を郵送致します.もう,日程が迫っていますので,手付金は結構ですから,参加費を一括で,お振り込みをお願いします・・・」
・・・ということで,私の気持ちは,6月11日の時点で,“今年はツール・ド・モンブランへいくぞ”と決心が決まる.
参加確定:2011年6月20日(月)
数日の内に,アルパインツアー社から参加申込書とツアーに関連する資料が郵送されてくる.その間,私は6月15日に五十三次洛遊会の皆様を鎌倉アジサイ見物に案内したり,元勤務先で一緒だった知人が出展している展覧会を拝見したり,さらには塔ノ岳登山,鎌っこ倉ぶ鎌倉案内,第47回鎌倉美術展に絵を運び込んだりで多忙を極めた.
そして,6月20日(月),私はなけなしの貯金を叩いて,参加費○○万円をアルパインツアー社宛に振込だ.
「賽は投げられた・・・もう参加するしかない!」
私は参加費を振り込んだ旨,アルパインツアー社に連絡する.ついでに色々伺うと,今回の参加者は私が入って13名だという.私が最後の申込者だという.
迂闊にもこのとき伺わなかったが,出発日当日に13名の内訳が分かって愕然とする.何と参加者13人の内,男性はたった2人.あとは元気な女性,つまりオバサンばっかりである.これには驚いた.世の中の男性はどうしているんだろう.
とばっちり;2011年7月12日(火) 猛暑
■久々の研究会
7月9日(土),横浜商科大学で開催された某学会の研究会に出席する.猛暑が続いている.京浜急行生麦駅から汗をかきながら急な坂道を登って横浜商大のキャンパスに辿り着く.この急坂,俗に“定年坂”というらしい.この急坂が登れなくなった先生は丁度定年になるという.大汗を吹きながらお二人の先生方の研究発表を伺う.
久々に格調高い発表を伺って,頭の中が“山”ばかり私は,随分と心地よい刺激を受ける.
■お鉢が回ってきた
研究会終了後,よせば良いものを誘われるままに懇親会に出席する.その懇親会で,次回,9月の研究会で,このロートルの私に,“何か発表しなさい”とお鉢が回ってくる.ちょっと飲んだアルコールの勢いで,
「ああ・・良いとも! じゃ~ぁ・・何か発表するよ・・」
と安請け合いしてしまう.
懇親会が終わって,帰りの電車の中で正気に返る.研究報告を安請け合いしたことを思い出して,途端に青くなる.小さな研究会とはいえ,報告内容は学会の記録として正式に残ってしまう.
「こりゃ~ぁ・・モンブランどころじゃないぞ・・参ったナ!! どうしよう?」
私の頭の中は,モンブランは消し飛んで,次回の研究会が心配で,心配でたまらなくなる.
出発4日前;軽登山靴のテスト;2011年7月12日(火).猛暑
■チビたボロ靴
実は,昨日(11日),藤沢のコージツで,ツール・ド・モンブラン用の軽登山靴(というよりはトレッキンシューズ)を1足購入した.まさか手許にある重登山靴を履いていくわけにもいかないし,現在,塔ノ岳に登るときに履いているいい加減な靴も大分チビれてしまい,靴底のギザギザがほとんと潰れている.登山道の勝手が詳細まで分かっている塔ノ岳なら,このチビた靴でも大丈夫だが,ツール・ド・モンブランが,どの程度,手強い所か全く分からないので,あえて新調することにした.
■新しい軽登山靴
コージツで散々迷った末に,幅広のSIRIOの軽い靴を購入した.どうせ,登山に100回程度履けば使えなくなる.ここ1年程度は,この軽い靴で間に合わせることにしようと思う.とはいえ,いきなり本番のツール・ド・モンブランで使うのは危険なので,まずはこの靴を履いて塔ノ岳を往復してみることに決める.
このときの参考記録は塔ノ岳(今年30 回目)として,このブログでも紹介済みだが,とにかく暑くて参った.ただ,新調した軽登山靴は快調だった.
「これならば,ツール・ド・モンブランも大丈夫だ・・」
私は漸く安心する.
<SIRIOの軽登山靴>
出発2日前:2011年7月14日(木)
■天園ハイキングコース
今日も,丹沢塔ノ岳を往復したかったが,猛暑の上,いくら何でも出発2日前に塔ノ岳行もなかろうと思いとどまる.とはいえ,出発前に新調の軽登山靴で,もう少し歩き込んでおきたいと思う.そこで天園を一回りすることに決める.
昼前に家を出て,山ノ内,北鎌倉を経由して天園ハイキングコースを一回りする.猛暑の時期なので,ハイキングコースですれ違う人も少ない.昼過ぎに天園峠の茶屋に到着する.茶屋の女将に,
「おや・・暫く振りね,死んじゃったかと思っていましたよ・・」
と冗談を言われる.
何時ものように,ご常連のEさんが,仲間と一緒に飲んでいる.私も,近くの席に座って,一寸だけお付き合いする.Eさんとの雑談は,どうしても好きな山のことになる.
30分ほどで峠の茶屋を後にする.特段変わった道を歩くこともないので,貝吹地蔵,北条首ヤグラ付近を経由して瑞泉寺登山口に下山する.
■ユーロを買おう
永福寺跡,鎌倉宮,鶴岡八幡宮を一回りして,鎌倉駅前の三菱東京UFJ銀行に立ち寄る.ツール・ド・モンブラントレッキングに参加するために,当座の現地通貨ユーロが少しばかり欲しかったからである.
まあ,せいぜい1万円相当ぐらいユーロがあれば良いなとおもう.フロアーの行員に,
「すみません・・ユーロを購入したいんですが・・」
と尋ねる.行員は愛想良く,
「こちらへどうぞ・・・」
と私を妙チキリンな機械の前に案内する.
ところが,この機械,購入できる金額は最低3万円から.私のように1万円程度を希望する人間は,クズ扱いである.
「3万円分も要らないんです.1万円程度で良いんです・・」
行員は困ったなと顔をしかめながら,
「そうですね~ェ・・・ここでは3万円単位でしか扱っていませんので・・・当行の横浜支店では少額でも扱っていますが・・」
という.
私は,出発日当日,空港でユーロを購入することに決める.
銀行から外に出る.まだ,ここからバスで帰宅するには歩き足りない.私は,鎌倉駅前から,銭洗弁天,源氏山公園,鎌倉中央公園を経由して自宅に戻る.
出発前日;2011年7月15日(金).猛暑
■大船へ買い物に・・
今日も滅多矢鱈に蒸し暑い.やっと,旅支度をする気になる.もっとも,なにがしかの現金とパスポートさえしっかり持参すれば,あとは何とかなるという気楽な考えも,どこか心の奥底にある.でも,やっぱり,なにがしかの品物は買い足したいので,午後から,蒸し暑い最中,大船まで出掛ける.よせば良いものを,バスを使わずにわざわざ歩くつもりである.それも,つい先日買い求めた軽登山靴を履いて・・・
大船近くの気温は,アスファルトの反射熱が影響してか25.5℃にも達している.湿度も高く実に嫌な天気である.汗をかきながら,まずは大船駅近くのY電機へ.そして,かねてからバックアップ用に1台欲しいなと思っていた安価なデジカメを1台入手したい.
デジカメ売り場をくまなく眺めて,5000円ちょっとのデジカメを見つける.P社製のデジカメで,バッテリーは単3電池2本,SDカード使用である.海外に持って行くのに都合がよい.
店員に,
「何でこんなに安いの・・?」
と聞く.
「これは展示品で,型落ちの機種ですので,随分と安くなっています.展示品ですから,沢山のお客さんが手にとって見ていたものです.それが気にならなければお買い得です・・もちろん,お求め頂けるのでしたら綺麗に掃除します・・」
とのこと.
私は,そんなこと一向に構わないので,購入を決定.15分ほど掃除の時間を待って,このカメラを購入する.
<5千円余りで購入した型落ち展示品>
■ギリギリになってパッキング
家に帰って,いよいよ持参するものをキャリーバッグとリュックに詰め込む.今回は登山ではないので,アイゼン,ピッケル,ゴーグル,カラビナ,スリング,シュラフ,それに極端な話,ヘッドランプすら不要である.従って,準備は随分と楽である.また,その分,着替えなどを少々余計に持参することができる.
私は,これまでの経験から,次のような品物を持参することに決める.
入れ物
キャリーバッグ 1個 大部分の荷物を入れる(機内に預入れる)
リュック 1〃
ウエストベルト 1〃 パスポートなど貴重品を入れる.
ズボンの中に入れる薄手のもの.
小型折たたみバッグ 1〃 ホテルから着替えを転送するときに使用する
ナップザック 1〃
財布・小銭入れ 1組 ユーロ用
パスポート 1冊
予備写真 2枚
パスポートのコピー 1〃
障害保険証と説明書 1式
旅行関連資料 1〃 (ツアー会社から送付されたもの)
通貨など
日本円 若干
ユーロ 〃 成田空港で手配
ドル 〃
トラベラーズチェック 〃 ドル建て
クレジットカード 数枚 VISA,Master
ANAカード 1枚
衣類
半袖シャツ 4枚 ダクロン製,1枚は着用
長袖シャツ 3〃
フリース(防寒) 1〃
パンツ 4〃 1枚は着用
ズボン下 1〃
〃 (防寒) 1〃
ズボン(長) 2本 1本は着用
CWX 1〃
靴下 4足
手袋(冬用) 2組
〃(夏用) 2〃
バンダナ 2枚
手ぬぐい 2本
登山用品
雨具上下 1組
帽子(冬用) 2個
〃(夏用) 1〃 着用していく
サングラス 2組
眼鏡紐 2本
ストック(2 本) 1組
スパッツ 1〃
コンパス 1個
地形図 1式
軽登山靴 1足
運動靴 1〃 普段履き
スリッパ 1〃
ヘッドライト 1個
〃 予備電源 1本
〃 予備電球 2個
身の回り品
テルモス(500ml) 1個
ボトル(1l) 1〃
コップ 1〃
歯ブラシと練歯磨 1セット
石けん 1個
電動ひげ剃り 1台
爪切,針,糸など 1式
時計
登山用 1個
普通(アナログ) 1〃
医薬品類
ツムラ68 若干
〃 17 〃
イチジク浣腸剤 〃
目薬 1個
膝サポーター(使い捨) 1組
絆創膏 若干
三角巾 1枚
包帯 1巻
キネシオテープ 1〃
文房具
ノート(B4) 2冊
〃 (b6) 3〃
ボールペン黒(1.6mmφ) 数本
〃 黒(0.5mmφ) 〃
ボールペン赤(0.5mmφ) 〃
万能ナイフ(ハサミ付) 1式
瞬間接着剤 1本
細引き 数m
乾電池(単3) 数本
ビニールケース(地図用) 2枚
多目的ビニール袋 若干枚
カメラ類
小型デジカメ 2台
SDカード(2MB) 2枚
嗜好品
菓子類 若干
塩飴 〃
ポン酢 1本
醤油 1〃
その他
防水袋 数枚
眼鏡(バックアップ) 2組
参考資料 各種
錠前 3個
トランクベルト 2本
ネームタグ 数枚 旅行社から送付されたもの2枚を含む
名刺 〃
これらの品物をキャリーバッグと機内に持ち込むリュックに分けて入れる.キャリーバッグは携行品として機内に預ける.
刃物,液体類,ストックなどは機内に持ち込めないので,キャリーバッグへ.軽登山靴もキャリーバッグだ.また,機内持ち込みが可能かどうか怪しいものは全部キャリーバッグに突っ込む.結局,機内持ち込みのリュックには,防寒具,洗面具(歯ブラシとタオルだけ),資料,貴重品,スリッパ,デジカメ1台だけ.残りの品は身につけているかキャリーバッグに収める.
これでキャリーバッグの重量を調べると,バッグを含めて16キログラム程度である.重量には十分余裕がある.
<使用するキャリーバッグとリュックサック>
■孫と一緒に夕食
そうこうしている内に,夕方になる.
北鎌倉に済んでいる長女が,我が家を訪れる.夏休みになった孫たちが2~3日泊まっていくとのことである.まあ,それも良いだろう.
娘一家と一緒に夕食.賑やかなことは良いことだ.
夕食後も,荷物を出したり入れたりしていると,瞬く間に時間が過ぎ去る.もう好い加減なところで,やめにしようと思う.時計を見ると,20時30分.
■蒸し暑い夜
明日は寝坊できないので,早々と就寝.室温が高いのか余りよく眠れない.冷房を入れればよいのだが,どうも冷房は気に入らない.
「私の冷房嫌いは,典型的な年寄り症候群かもしれない・・でも,まあ,寝ている間に,熱中症になったら,それも運.なるようになるさ・・・」
で冷房なしで過ごすことにする.
こうして,出発日の前日は慌ただしく過ぎ去った.
いよいよ明日は出発である.
(つづく)
「ツール・ド・モンブラン」の前回の記事
(なし)
「ツール・ド・モンブラン」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/4b43a75e7fa69b4e7f00c0f9bdd9ccc0
「ツールドモンブラン」の目次
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/4a4c5fb759853b8b140c4d3944095d8c
最新の画像[もっと見る]
- 精密検査から戻って;長女が老夫婦を日比谷花壇大船フラワーセンターへ招待・・・ 4年前
- 精密検査から戻って;長女が老夫婦を日比谷花壇大船フラワーセンターへ招待・・・ 4年前
- 精密検査から戻って;長女が老夫婦を日比谷花壇大船フラワーセンターへ招待・・・ 4年前
- 精密検査から戻って;長女が老夫婦を日比谷花壇大船フラワーセンターへ招待・・・ 4年前
- 精密検査から戻って;長女が老夫婦を日比谷花壇大船フラワーセンターへ招待・・・ 4年前
- 精密検査から戻って;長女が老夫婦を日比谷花壇大船フラワーセンターへ招待・・・ 4年前
- 精密検査から戻って;長女が老夫婦を日比谷花壇大船フラワーセンターへ招待・・・ 4年前
- 精密検査から戻って;長女が老夫婦を日比谷花壇大船フラワーセンターへ招待・・・ 4年前
- 精密検査から戻って;長女が老夫婦を日比谷花壇大船フラワーセンターへ招待・・・ 4年前
- 精密検査から戻って;長女が老夫婦を日比谷花壇大船フラワーセンターへ招待・・・ 4年前