人間が生きるために食べ物が必要であるのと同じように、宗教は、必ず人間にとって、必要なものです。
小さな子供が母親を必要とするように、その母親にも、頼ることのできる大きな力を持った存在が必要です。
困ったときに、友達や家族や近所の人達が、あなたを助けてくれるかもしれませんが、その人達の援助は限定されていて、常に彼らと一緒にいられるわけではありません。あなたが必要なときに、その人はもしかしたら忙しくて連絡が取れなかったりして、いないかもしれません。
私達には、常に一緒にいて、助けてくれる大きな力が必要です。
あなたを守ってくれ、いつでもそこに帰ることのできる安心できる存在、それは誰でしょうか？それこそが、アッラーです。あなたが、母親の胎内にいたときに、小さな肉片であったあなたを、胎児にまで成長させた力、それが、アッラーです。その力には、意志があります。
例えば、一枚の紙に文字を書いて、それをちぎって投げたとしたら、そこに意志がない限り、その文字が、文章や物語にはなりえません。同様に、肉片が人間へとなるには、そこに意志が不可欠です。その意志が、私を創り、私に舌を与え、話すことができるようにし、頭を与え、考えることができるようにしてくださいました。私達には、その力といつも一緒にいる事が必要です。
イスラームは、ムハンマド（彼の上にアッラーの祝福と平安あれ）の宗教ではありません。彼は私達はがどうやってその大きな力といつも一緒にいる事が出来るかを教えてくれた方です。
残念なことに、今のムスリムは、両親がムスリムだから自分もムスリムだというだけで、本当のムスリムいううのが、とても少ないのです。医者の家に生まれたからといって、勉強せずに医者になることができないのと同様、ムスリムの家に生まれたからといって、勉強せずに本当のムスリムにはなれません。
イスラームで、一番最初に知るべきことは、アッラー、私達を創られたアッラーを知ることです。そして、アッラーを愛することです。
全ての行為をアッラーを感じて、アッラーのためにすることに意味があります。
ムスリムの中には、アッラーを恐れて、礼拝や断食をしなければいけないと、それらをしている人達がいますが、その人達の心の中に、アッラーに対する愛情がなかったらどうでしょうか。
「信仰する人」は、全ての行為をアッラーへの愛情によってします。
「ムスリム」は、悪事を犯すことができますが、「信仰する人」には、悪事を
犯すことができません。
自分を創ったアッラーがいつも一緒にいて、自分を見ているということを知っている人には、悪事を犯すことができないのです。
ある時、預言者ムーサー（س）が、アッラーに尋ねました。
「あなたは眠らないのですか？」と。
アッラーは、彼に「明かりを両手に持って、立ち続けてみなさい。」と言いました。ムーサーは、しばらくそうしていましたが、ふと眠気を感じて、一瞬目を閉じた途端に、明かりが床に落ちて、割れてしまいました。
アッラーは、「もし、私があなたのようにであったなら、この世はその明かりのようになってしまいます。」とおっしゃいました。
アッラーは、この世をお創りになり、それを守ってくださっています。アッラーは、この世を守るために、この世に蓋のような物をなさいました。容器に蓋をして、汚いものが入らないようにするのと同じです。その蓋が、イスラームです。ハラーム（禁じられる事）と、ハラール（許されること）があるのは、それが、人間と社会にとって、有益だからです。
アッラーが、これはハラームだと言われるのは、それが人間にとって害があるからです。嘘や盗みなどはハラームである等、アッラーは、私達に害がないように、ハラームとハラールを教えてくださいました。
宗教は、このアッラーとつながりを持つことです。ムスリムであるということは、自分に、アッラーに対する信頼があり、私はアッラーに従いたいという気持ちがあるということです。
朝夕、毎日、アッラーと話をしてください。
「アッラーよ、私はあなたのことが好きです。どうすればあなたに辿り着くことができるのか、どうか私にお教えください。」というドゥアー（祈願）を毎日繰り返しお願いしてみてください。アッラーは、とてもあなたに近く、あなたの言うことをいつも聞いていますから、アッラーに尋ねることが大切です。アッラーは、必ず、あなたに答えてくださいます。
アーニサ・イマーン先生の講義の要約
（イスラームに入信しに来た女性に向けて）
ダマスカスにて
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