「わたしは好き勝手にするけれど、おまえの好き勝手は許せない」
世にある数多のもめ事を突き詰めれば、結局はこういうことなのだと悟りました
勝手、買って、飼って、狩って、勝って…
誰しもが自分勝手な世の中でござる
自分勝手…
それは生きとし生けるもの全てに通底する、初期設定…幼い心だと悟りました
もちろん拙者も他聞に漏れず、自分勝手の上級者でござる
そのことが素直に認められるまでに、三十年以上もかかった愚か者の上級者でもあります
しかし世の中の大半の人々は拙者以上の上級者でもありました
世間は他人の自分勝手を敏感に察知し、他人の自分勝手は厳しく攻撃します
御自身の自分勝手さは完全に棚上げにして、薄っぺらな正論にもならない無茶な論を盾にして、騒々しいヒステリーを簡単におこしてしまいます
私たちは自分自身の未熟さを素直に直視し、自分自身が成長しない限り、他人にどうこうしても、何をやっても空虚で寒々しく、欲求不満だけが募りまくる…そんな不幸から絶対に逃れられません
自分自身を素直に直視することは、実際は本当に難しく大変で…それだけにやりがいのある、大きな価値のあるチャレンジです
ありのままの自分探し…そんな甘っチョロいおとぎ話とは、完全に次元が違うお話でござるよ
今、外は雨が降っています
いつもの騒々しい車の音や人々の雑多な話声や生活音は、全て雨音が覆っています
静かに目を閉じて、雨音の中に隠れる静寂を見つけ…………
……よう、としているものの、心は、おさるさんのように落ち着きなく、過去にあった嫌な事、未来に対する不安、ありとあらゆる妄想をでっち上げ、今この瞬間の平和を見失いーーーそうになることに気づきます
心は止まることを知りません
いつでもどこでも
心は常に連想し続けています
それはまるで、群れの中で仲間の発する無意味な鳴き声に、いちいち振り回され右往左往するヒヨドリのようです
しかしそんな付和雷同から逃れ、落ち着き払っているヒヨドリもいます
彼は自分自身の目で、本物の危険が有るのか無いのかを常に確認しています
故に無益な虚に踊らされることもなく、平和です
彼に習って私も雨音に隠れる静寂、今この瞬間に起こる平和に戻ります
何度おさるな心に振り回されようとも、その度に何度でも戻ります
よい一日を
230 拝