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ミラクルボディ 第一回 世界最強の人魚達(2)

2016-07-18 20:40:12 | 最近の出来事
NHK テレビ ミラクルボディ よりの抜粋

二人の身体的能力と技術を解き明かすプロジェクト

が始まる。

国立スポーツ科学センターのシンクロプールに、

今回特殊撮影のカメラを取り付けた。

水上も水中も同時に撮影できるツインズカムと言う

カメラ。 

動きの詳細を高画質、超スローモーシヨンで写し出

す4Kハイスピードカメラ。 最新鋭のカメラを

駆使して二人の動きを捉えていく。

プールに現われたイシェンコ ペヤ、オリンピック

に向けた最新のプログラムをカメラの前で演じる

のは是がはじめて。あらゆる角度からの撮影と

科学的分析によって技により磨きを掛けたいと

二人は今回の取材に応じた。

タイトルは ”人魚姫”

人間にあこがれ、葛藤する人魚の心を表現する。

序盤から二人は高い技術力を見せ付ける。

細かく複雑な足の動き,つま先までシンクロして

いく。 ツインズカムで見てみると体の軸を保ち

ながら高速スピン。支えのない水中を強く蹴り、

上半身を躍動させる。

中盤は一転。おだやかな海を自由に舞う人魚を

表現する。

シンクロでは技術だけではなく芸術性も採点の

対象となる。

水中の力強い足が水上の華麗さを支える、二人が

複雑に交錯する難易度の高い演技です。

動きに狂いはない。

終盤最大の見せ場、肉体の限界に挑む技をたたみ

掛けてくる。

水中から高く飛び出す倒立回転。腕の力だけで

横に動く足技、そして最後に持ってきたのが猛

スピードの大技、ロシアンルーレット。


二人が早速ツインカムで撮影した映像を見に来た。

ロマーシナさん

”いやだ。このカメラ。ミスがばれちゃう。

 水の中を実際に見るのは面白いわ”

イシェンコさん

”練習に役立つわ”

イシェンコ ペアの武器はダイナミックな足技。

しかしそれを増やせば水中での無呼吸時間が長く

なる。

演技中での無呼吸時間を計算してみた。

1分47秒。 全体3分12秒のうち、実に

半分以上も呼吸を止めていた。

注目は疲れがピークに達する終盤にあえて

足技を固めている事だ。

イシェンコ ペアの演技は世界のトップ選手と

比べてどれだけ身体の負担が高いものなのか

過去オリンピックで2大会銀メダルのスペイン

ペアと比べてみた。

スペインペアは スペインらしい情熱的な演目

終盤には早い足技を入れてきた。

ところが、ロシアとスペインでは水中での

無呼吸時間に違いがでて、スペイン1分29秒

ロシア1分47秒。20秒近い差が出た。

特に終盤の差が大きい。

イシェンコペアの 演技が如何に常識離れした

ものか浮き彫りになった。

スペイン ヘマメングアル 選手

”いったいどんなトレーニングをすればあんな

 に激しい演技ができるようになるのか驚きです。

 しかも、始まってから終盤までまるで精密な

 器械のように ミスを全然しない。本当に人間

 離れしています。”

無呼吸状態でのイシェンコ ペアの激しい動きが

何故可能なのか、アスリートの心肺機能の専門家

イギリスのベンジャミン ジョーンズ博士に分析

を依頼した。

”足技を行うには、太股の筋肉を早く大きく動かす

必要がある。其のエネルギーの源は酸素だ。

呼吸によって酸素はまず、肺にためられる。その後

血液とともに心臓から太股に送られる。いわば肺は

酸素タンク。心臓はポンプの役割だ。潜水中はこの

タンクの中の限られた酸素で筋肉を動かさなければ

ならない。無呼吸状態で足技を続ける時、筋肉の中

の酸素はどう変化したのか、体内の酸素の割合を

測定出来る装置(酸素飽和度測定器)を太股につけ

る。同時に、心拍数を計る装置(心拍計)つける。

普段はクールな女王イシェンコさんもはじめての

測定に興味しんしん。

 イシェンコさん

 ”みいらみたいに巻かれてる。”

銀メダリストのスペイン選手にも同じ測定を行った。

まづ、スペイン選手のデータ。

太股の筋肉の酸素が急速に減っている。足を大きく

動かすために太股の酸素が消費されているからだ。

不足した酸素を補うために、ポンプとなる心臓の

動きを早くし、たくさんの酸素を太股に送る必要

がある。しかし心臓の働きを示す心拍数は下がり

続けている。これは人間が水中に居る時の潜水徐脈

という生理現象で、潜水中はタンクとなる肺の中の

酸素が限られているため心拍数を落とし、もっとも

大事な脳以外に送る酸素を制限しようとするのだ。

息継ぎで酸素が肺に入ると心拍数はいったん回復

する。しかし、水潜るとまた、節約モードになり

心拍数は下がってしまう。心拍数が下がれば、筋肉

の中の酸素の割合は落ちてしまう。是では早い足技

は出来ない。しかしイシェンコのデータは違って

いた。潜水中でも心拍数は下がらない。

節約モードどころか、170近くまで上がったのだ。

心拍数が上がったことで酸素の割合も回復、是なら

早い足技もを続けることも可能だ。パートナーの

ロマーシナもイシェンコと同様の結果だった。

しかしよく見て欲しい。このとき二人は呼吸が出来て

いない。タンクである肺に酸素が補給されないのに

何故心拍数が落ちないのか、酸素タンクの大きさ

つまり肺活量に違いがあるのか、だが、スペインと

ロシアどちらも肺活量に大きな違いはなかった。

ロマーシナ  5・66  イシェンコ  5・8

スペイン   4・81  5・64

エセックス大学スポーツ生理学教授ベンジャミン

ジョーンズ博士

 ”潜水中の酸素量には限界がある。あの足技に

 必要な酸素をどうやって手にいれ体内の酸素不足

 を解決していたのか其の仕組みは想像以上複雑な

 ようです。今回の測定だけではまだ説明が出来

 ません。


プールでの撮影が終わると旺盛な食欲を見せる二人、

いったん陸に上がると親しみやすい普通の女性、

しかし、心肺機能の専門家も解けないなぞを持った

二人は水の中に居るときはいったい何処から酸素を

手にいれているんだろうか、私達は手がかりを求め

て、イギリスのある研究者を訪づれました。

(つづく)