天皇、皇后両陛下と皇族方が出席されて行われた「歌会始の儀」 =1月18日、皇居・宮殿「松の間」
長年の記者生活を終えてからというものは、「歌会始の儀」のテレビ中継を家でゆっくりと見るのが新春恒例の楽しみになった。一昨年はコロナの感染拡大で3月下旬に延期された歌会始だが、今年は予定通りに先週18日、皇居・宮殿「松の間」で開催された。
平等の精神
私たち一般国民が、和歌(短歌)という伝統文化を仲立ちに皇室と親しく結ばれるのは、歌会始の大きな意義に違いない。ただ、それが現在のように皇族や側近など宮中縁故の人々だけでなく、一般からも詠進できるようになったのは明治7年のことである。以来さまざまな改革が加えられ、昭和25年には詠進歌の中でも特に優れた「選歌」の作者(預選者)にも式場への列席が認められた。明治以降の歴代天皇が常に国民に寄り添おうとなさったからこそ実現できた改革ではなかったかと思う。