米不法移民の送還費は10年で150兆円、日本の国家予算の1・3倍 摘発者は1万人突破
不法移民対策をめぐり、トランプ米大統領が大幅な予算の増額を求めている。トランプ政権の国境警備責任者は860億ドル(約13兆円)以上の予算が必要と言及。1100万人と推定される全不法移民の送還には、10年余りで日本の国家予算を上回る約150兆円が必要との民間試算もあるが、責任者は「長期的には納税者の負担減になる」と理解を求めている。
勾留用ベッド10万台に増設
米移民・税関捜査局(ICE)の公式Xによると、不法移民の摘発は1月23日の公表開始から31日までの9日間で計1万3031人にのぼっている。このうち逮捕者は計7314人で、各州や地方政府に対し拘置所や刑務所に勾留・収監中の不法移民の引き渡し要請は計5717人という。
英ロイター通信によると、トランプ氏は1月27日、フロリダ州で開かれた共和党下院議員団の会合で演説。不法移民対策の予算を増額し、国境警備隊員の増員をはじめICE職員や国境警備隊員のボーナスをまかなうべきだと訴えた。
また、増額された予算でより多くの勾留用のベッドを増やすほか、南部国境沿いでの不法移民の「国境の壁」の完成にも充てられるべきだとも述べた。
同政権で国境警備責任者を務めるホーマン元ICE局長代行は米メディアに対し、勾留用ベッドを現在の数万台から10万台まで増やすなど、不法移民の大量強制送還を実施するには860億ドル(約13兆円)以上の予算が必要と公表。「高額だが、長期的には納税者の負担を何十億ドルも軽減するだろう」と述べている。
持ち家率4割、進む定住化
非営利組織「米国移民評議会」のサイトによると、米国内の不法移民は2022年時点で推定1100万人で、総人口の3・3%、移民人口の23・8%を占めている。
不法移民で最も多いのはメキシコ出身者で全体の43%。カリフォルニア、テキサス、フロリダの3州に全米の不法移民のほぼ半数が住んでいるといい、テキサス州では州人口の6・4%にのぼっている。
また、不法移民の58%は英語を上手に話し、2022年には不法移民世帯の持ち家率が39%にのぼり、不法移民の定住化が進んでいるという。
同評議会は米国内の不法移民を年間100万人ずつ強制送還するとしても、今後10年余りで9679億ドル(約149兆円)の費用がかかると試算。これは今年度の日本の国家予算(一般会計歳出)約112兆円の1・3倍に相当する。
産経新聞
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