軍艦並み76ミリ砲、中国の海警船が尖閣諸島周辺に…1年間に355日航行
強引な海洋進出を強める中国の新たな動きが確認された。昨年12月、沖縄・尖閣諸島周辺に重武装した海警船4隻が姿を現し、宮古海峡では海警船と軍艦の共同航行が確認された。中国は領土問題などで小さな変化を積み重ね、自国に有利な状況を作り出す戦術を進めており、その一環とみられる。
接続水域航行 24年最多
尖閣周辺に中国当局の船が頻繁に姿を見せ始めたのは、日本政府が尖閣を国有化した2012年頃からだ。16年以降は4隻による領海侵入が目立つようになり、現在は4隻が接続水域(領海の外側22キロ)を航行し、繰り返し領海に入っている。
海警船が24年に接続水域を航行した日数は、過去最多の355日に上った。これまで最も多かったのは、23年の352日だった。
近年は活動量に加え、「質」も変化している。尖閣周辺では23年3月から海警船が船舶自動識別装置(AIS)を作動させて航行するようになった。「実効支配」をアピールするためとみられる。同7月頃からはSNSで尖閣沖で操業する日本漁船などを名指しし、<退去するように警告した>とする投稿を繰り返している。
24年6月には、「1万トン級」と呼ばれる最大級の海警船「2901」が尖閣周辺の接続水域をかすめるように航行した。同月からは、日常的に出没している船団の4隻全てが武装船となり、12月に姿を見せた全4隻は軍艦並みの76ミリ砲を搭載していた。
こうした動きに日本の海上保安庁は、尖閣周辺に海警船より多くの巡視船を派遣し、警備を続けている。政府関係者は「今の態勢のまま耐えること。冷静に、 毅然(きぜん) とした対応を取ることが重要だ。挑発に乗って、海保の巡視船が武装を強化するようなことをしては相手の思うつぼだ」と語る。
尖閣周辺で海警船が重武装化する動きを見せたことについて防衛大学校の中澤信一准教授は「海警船は南シナ海で対立するフィリピン船に放水銃を使っている。放水銃の方が使用のハードルは低いのに、あえて大きな砲を搭載した船を送り込むのは、尖閣周辺で力を誇示し、現状変更を試みる政治的なメッセージが込められている。現在の傾向が続くか注視する必要がある」と指摘する。
読売新聞
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