■はじめに
今回から数回に分けて、攻略のコツとして2次試験について自分が学んでいった内容や考え方、自分の理解を攻略のコツとして書いていこうと思う。
2次試験はもちろん答えが公表されておらず、記述問題なので、決まった解答が存在せず、必ずこれ!といった解法があるわけではないので、あくまで自分の考えに基づくものとして記載する。
ちなみに攻略のコツの内容は以下の通り全体→詳細にブレイクダウンして数回に分けて記載していこうと思う。
1,全体を通して ←今回
3,事例Ⅰ
4,事例Ⅱ
5,事例Ⅲ
6,事例Ⅳ
7,その他
■全体を通して
試験全体を通して意識していたのは次の通り。
a)設問に答える
解答を書く際、設問に解答を記入する上での指針?というかヒントが書いてあることが良くある。
例)
・今後、どのような事業を展開していくべきか。競争戦略や成長戦略の観点から100字以内で助言せよ。(R5事例Ⅰ)・女子の軟式野球チームはメンバーの獲得に苦しんでいる。B 社はメンバーの増員の ために協力することになった。そのために B 社が取るべきプロモーションやイベントについて、100 字以内で助言せよ。(R5事例Ⅱ)
この場合、~や~と書いてあっても、必ず、どちらも答える解答を作成する。前者の場合、「競争戦略は~、成長戦略は~」の骨子、後者の場合、「プロモーションは~、イベントは~」の骨子を作り、それぞれに50文字ずつ割り付け解答を作成する。
こう機械的に判断していくとそれぞれの記述を与件から見つけに行くという動きになるので、解答の方向性もすぐに固まる。
なので設問に聞かれていることをオウム返しに「~は」とすぐに解答骨子を作ることを意識していた。
b)基本的に与件文から答える
解答は与件文からピックアップすることを基本としていた。与件文にない内容はまず解答に書かない。一般的な解答を書くとそこでアウトになってしまう。
アウトの例として
・A 社は、小規模ながら大学や企業の研究機関と共同開発した独創的な技術を武器に事業を展開しようとする研究開発型中小企業である。わが国でも、近年、そうしたタイプの企業が増えつつあるが、その背景には、どのような経営環境の変化があると考えられるか。120 字以内で答えよ。(H26事例Ⅰ)
この問に対して、自分は「クラウドファンディング等の制度拡充による資金調達の多様化があるため」と書いた。そんなに的外れではない解答だとは思うが、これは「(そんな言葉は)与件に書いていない」との理由で一蹴、0点だった。与件文からしっかり要素を拾って解答しないと点数にならないのだ。
最初は、こういう一般的な答えを書いていたこともあったが、添削をしてもらっていく上でこういう回答はダメなんだと身をもって知ることができた。
こういう一般的な回答をしてしまい点数が取れないというのはフィードバックがない分独学をしている方程良くあると思う。
※なぜ与件に書かれていない一般的な回答がダメなのかの根拠をもうちょっと掘り下げた内容は別途最後に細かく記載する。
「基本的に」としているのは、もちろん与件文にない文言から答える問題も存在するからだ。それは「発想問題」と呼ばれるものである。発想問題は事例Ⅱによく出題され、例としては以下のような問である。
例)
・低学年から野球を始めた子どもは、成長やより良い用品への願望によって、ユニ フォーム、バット、グラブ、スパイクといった野球用品を何度か買い替えることになるため、金銭的負担を減らしたいという保護者のニーズが存在する。B 社は、こうしたニーズにどのような販売方法で対応すべきか、プライシングの新しい流れを考慮して、100 字以内で助言せよ(ただし、割賦販売による取得は除く)。 (R5事例Ⅱ)・女子の軟式野球チームはメンバーの獲得に苦しんでいる。B 社はメンバーの増員のために協力することになった。そのために B 社が取るべきプロモーションやイベントについて、100 字以内で助言せよ。 (R5事例Ⅱ)
前者は発想問題というか知識問題である。後者は単純に発想を問う問題。これらの解答に使う文言は与件文には書かれていない。前者は「サブスクリプション・サービス」(「ダイナミック・プライシング」もいいかも)になるが、これは過去の1次に問題として出ていたらしい。後者のイベントは「〇〇と協業し、〇〇についてのイベントを開催し、〇〇に対して〇〇を図る」、プロモーションは、「SNS上で〇〇をし、〇〇に対して〇〇を図る」みたいな解答を書く。
後者は色々な発想ができるが、特に奇抜な回答は必要なく、イベントやプロモーションを活用した一般的な解答(発想問題は一般的な解答でOK)でいいらしい。イベントは商品説明会とかプロモーションはチラシを配るとか、一般的なもので、実施主体と実施内容が妥当であれば、満点とはいえないが部分点はもらえるようである。
なので発想問題かそうでないかを判別し、発想問題であれば、与件のワードは使わなくてよいが、1次で出てきた知識問題、または与件から関連して発想できる一般的な解答を書くという対応となる。
c)SWOTが出発点である
事例Ⅰ~Ⅳ全てで、必ずSWOTを意識する必要がある。SWOTがしっかりできなければ点数は安定しない。SWOTの内容が間違っていると、解答の前提がそもそも間違っていることになるからだ。
なので、SWOT分析は全ての事例においてしっかり、確実に行う。問題によってはWがなかったり、OやTが書かれていないことも良くあるが、基本Sは必ず聞かれるので確実に与件から拾う。SWOTの内容が問1でそのまま聞かれることも良くあるので、それはそのまま書けばよい。
ちなみにSWOTではなく3C分析で書けいうのも事例Ⅱには出てきたりするが、それも結局はSWOTである。顧客(Customer)がO(機会)、競合(Competitor)がT(脅威)、自社(Company)がS(強み)とW(弱み)に当たるだけなのだ。
なので、3Cを問われたときには問われた順にSWOTの内容を書き、自社には強みと弱みのどちらも書くことを意識していた。よく言われるのが、自社は強みだけ書いてはダメで、弱みも書かなければ点数はしっかり入らないと言われている。
d)強み×機会を今後の戦略とし、弱みを解決する
事例Ⅰ~事例Ⅲには基本的に戦略問題というのものとそれ以外に分けることができる。戦略問題は「今後どのように〇〇を進めるべきか」といった今後の戦略について問う問題である。
これはパッと見あまり捉えどころがない問題のように見えるが、この回答の方向性には明確な指針が存在する。
それは強みを強化し機会に投入する、また弱み(課題)を克服するというものだ。それが中小企業が勝ち抜ける唯一の方法だからである。
戦略問題の解答に必ずこの2つを入れる必要はなく、別の設問で弱み(課題)を克服する問題があったら、別の設問では強み×機会だけを書けばよい。
基本戦略問題はこの内容を書けばよいので、問題を解く内に戦略問題と判断できたら書く方向性が決まっているので比較的内容が抽象的な問題でも、特に慌てず書けるようになった。
e)全体の整合性を取る
これを意識していくようになって2次の問題の取り組みが変わっていったかと思うが、問題には必ず「流れ」が存在するのだ。
例としてR4の事例Ⅰは比較的単純かと思う。問1:強み、弱みの列挙、問2:弱みAの克服、問3:弱みBの克服、問4:強みを活かし(or強みを発揮できる体制にし)機会に投入する
といった流れである。
こんな感じで事例企業の強み、弱み、機会、脅威が全て設問の中で解決され、全体として解答の繋がりが今後の会社がとるべき戦略として一本の線になっていくのだ。
なので設問の解答毎に矛盾のある内容にしてはいけないし、事例に出てきた弱み(または脅威)が全て解決されなければいけないのだ。
これを考えていくと、解答の中で自分の漏れている観点を洗い出すことができるし、解答の妥当性もある程度推測することができる。
f)わざわざ表現に気を付ける
与件文の中に、「わざわざ表現」が存在する。これは「なお、」「ただし、」「一方、」など、付け足した感じの接続詩で言いまわされている内容と、ちょっと変わった言い回しで表されているものがある。
これは、解答の方向性を暗示していたり、解答に入れろと出題者がわざわざ入れている言い回しなので、特に注意する。
また「近年」というのも時制を意識させるわざわざ表現であるので、これも必ずチェックしておく。
例としては、前者の接続詩での表現はR5事例Ⅰでいうと
・ただ、近隣の原材料の仕入れ業者の高齢化によって、原材料の仕入れが不安定になり、新たな供給先の確保が必要となりつつある。・他方で、先代経営者の下で働いていたベテランの厨房責任者が厨房リーダーを務め、厨房担当の若手従業員を育成する役割を果たした。
などがある。
その他の年度の事例だと
・データベースはリピーターである重要顧客からなる100 件強の小規模なものであるが、1件の情報は非常に詳細なものとなった。(H29事例Ⅱ)
とかが記憶にある。
後者の変わった言い回しでは同じくR5事例Ⅰだと
・接客リーダーは、全体を統括する役割を担い、A 社経営者からの信任も厚く、将来は自分の店を持ちたいと思っていた。
と、この部分だけ不自然に主観的な言い回しになっている。
その他の年度の事例だと、
・店の中に入るとさまざまな土産物が所狭しと並んでいる。中庭のやや燻いぶした感じの石造りの酒蔵だけが、今でも蔵元であることを示している。(R2事例Ⅰ)
とかでしょうか?
読んでいて気になる言い回しはわざわざ表現として必ずマークしておくべきである。(自分は紫色のマーカーでマークしていた)
で、わざわざ表現は基本的に解答に入れておけるといいが、ここで罠が存在する。上記の(H29事例Ⅱ) のわざわざ表現について、自分はあからさまな表現だったので、必ずこの部分を解答に使おうと思って考えたが、100件の内1件だけ詳細なデータが取れた所で、何に使うのかが全く分からず、時間だけ過ぎてしまい、他の解答ができずに壊滅状態で終わった時があった。なので、わざわざ表現の使い道を考えても分からない場合はそれを無視して解答するという判断も時には必要になる。
なお上記のわざわざ表現の使い道は今でも分からない。。(正解が分かる人がいたら教えてください)
全事例に共通するポイントとしてはこんな感じでしょうか?
色々気にする点はあるが、自分はこれらのポイントをまずは意識して問題を解いていったのであった。
こんなん当たり前の内容だろうと思った方はすみません、一旦問題を解く上でのベースの考え方を書かせていただきました。
何か新しい発見や考え方が得られた方がいたら嬉しく思います。
最後に上記※の箇所、なぜ一般的な回答がダメなのかの考察について書く。
中小企業診断士の2次試験は、相対評価と言われ、上位2割程の合格者を毎年出している。毎回割合が決まっているため、合格者をその割合に調整していると思われる。そのため2次試験は基本的に「拾い上げる試験」ではなく「落とす試験」なのだ。
そのため、「落とす」という線を引くためには、採点者に明確な採点のルールがあるはずで、おそらく解答に「キーワード」が入っているか?といった判定が大きくあると思われる。これはふぞろいを見ていると推測できると思う。
その「キーワード」は、与件に出てきた内容はもちろん、1次に出題された問題や、2次の与件や設問に出てきた言葉だったりする。そのため、意図した「キーワード」が入っていない解答は点数が付かないと思われる。
そのため、「キーワード」にない一般的な解答を記述してしまうとアウトになるのである。
そもそも与件に書いていない内容を書かれたところで「与件見てないね」ということで、一番に落とす対象となるだろうことは安易に想像できる。。
そんなんで、与件が絶対。与件が神様と思って問題に向き合っていくべきなのである。。
今回はこんな内容で以上☆
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