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中小企業診断士への道のり⑥:攻略のコツ3,事例Ⅰ

2024-03-18 22:55:12 | 中小企業診断士
これから各事例毎の攻略のコツについて書いていこうと思う。
今回は事例Ⅰになります。

事例Ⅰは組織・人事であるが、2次試験の中でも一番の花形の事例だと思う。
問われる内容も範囲も広く、覚えておく内容もとても多いが、自分は色々な会社があるなあと与件文を見ていてとても面白く、好きな方だった。

解き方の流れとしては、まず大きく以前の記事で書いた「戦略問題」(いったんSWOTを問う問題も便宜上戦略問題とする)と「それ以外」とに分ける。
そして、「それ以外」に分類した問題を次は「組織問題」か「人事問題」かに分類する。これは明確に「組織」「人事」をすっぱり分けられる訳ではないが、一旦色を付ける程度だ。もちろんどちらの内容も書く問題もある。

その後、次の知識のフレームワークに当てはめて解いていくという流れを基本的に取っていた。


■知識
・幸の日も毛深い猫
  かなり有名な組織人事のフレームワーク。
  採用・配置、賃金、能力開発、評価、モチベーション、権限、部門、階層、ネットワーク、コミュニケーション の頭文字。「幸の日も」が人事、「毛深い猫」が組織の観点になる。
  事例Ⅰの全ての切り口要素を端的に現したもので、「解答に漏れている観点はないか?」という確認のために使っていた。

・組織構造と組織文化
 組織問題をさらに分けると「組織構造」について問うている問題か「組織文化」について問うている問題かに分かれる。
 組織構造については、「機能別組織」「事業部制組織」「マトリックス組織」の3つ。各年度でほぼ必ず出る概念だと思う。詳細は割愛する。
 組織文化については以下の組織の3要素と組織の5原則の記述を参照。

・組織の3要素と組織の5原則
 この3要素と5原則はなかなか混同しがちで自分の頭の中の整理にちょっと苦労したが、組織の3要素は「共通目的」「貢献意欲」「コミュニケーション」の3つ、5原則は「目的」「専門化」「命令一元化」「管理の幅」「権限一致」また文献によっては「例外」というのがある。
 これも詳細は割愛するが、前者の3要素は、組織について回答を書く際の切り口、後者の5原則は、問題、課題の抽出に使っていた。

 具体的な例題がなく申し訳ないが、3要素は「今後組織をどのようにしていくべきか?」というような問に対して「組織全体で共通目的を持たせ社員間のコミュニケーションを活性化させ貢献意欲を引き出していくべき」(←もっと与件内の言葉を使って具体的に解答する)といった方向性の解答を作るようにしていた。
 5原則は与件の内容を見て、この組織は「目的がないな」とか、「もっと専門化すれば効率が上がるんじゃないか?」とか「もっとやる気のある社員に権限を持たせればいいんじゃないか?」といった案を抽出するためのフレームワークに使っていた。
 フレームワークの使い方のニュアンスが分かってもらえれば嬉しい。。

・衛生要因と動機付け要因
 この切り口は従業員の採用、定着に使う。事例Ⅰでは、採用するためにどうするか?といった問が良く出る。 
 例)A 社が新規就農者を獲得し定着させるために必要な施策について、中小企業診断士として100 字以内で助言せよ。 (R4事例Ⅰ)
 この場合、衛生要因と動機付け要因から考えていくし、解答もその切り口で解答を作っていく。


■方向性
・組織は戦略に従う
 予備校A社でよく言われていたキーワード。
 会社が向かっていきたい方向性に応じた組織構造にする。と言ってもお題となる会社は規模が小さいので結果大体「機能別組織」になるが、後継者を育てたい場合とかは、「事業部制組織」的な構造にしたりもする。またここで注意すべきなのは、解答に必ずしも「機能別組織」や「事業部制組織」といった明確な組織構造を書く必要はないという点だ。事業部制組織にできる会社も規模が必要なので、規模の小さい会社は事業部制組織のエッセンスを使って、後継者を「機能別組織」の役員に据えて全体を見させるとかそういう解答にする。
 基本的に使うのは「機能別組織」や「事業部制組織」だが、たまにマトリックス組織的な「タスクフォース」を作るみたいな事例があったりした。おそらく中小企業はマトリックス組織は使わないが、タスクフォース的なプロジェクトは編成できると思う。

・組織活性化
 事例Ⅰの企業は基本的にこれを目指す。組織活性化で社員のコミュニケーションを図り正しい評価と能力開発で衛星要因と動機付け要因を向上し定着率を上げ有能な社員を権限移譲して貢献意欲を引き出し新製品(サービス)開発や新市場開拓を目指す。(←ちょっと因果が正しくないかもしれない)
 みたいなストーリーにする。

・事業承継
 事例Ⅰでとても良くあるテーマ。後継者に会社全体を見させてスムーズに世代交代を図ったり、有能な従業員に目星をつけたりしておく。
 あとは後継者の意識を前々から植え付けるようにしておくとか、後継者の得意分野を活かすようにするとか、現場の仕事を知ってもらうとか、なんかいろいろ対応があるが、重要なのは事業承継を意識した解答となっているかということである。

・M&A
 これも良くあるテーマ。シナジーを発揮しスムーズな統合を目指し組織を活性化させるという方向性。


■盛り込んでいきたいキーワード
・ダイバーシティ
 組織活性化の手段。最近はやりのダイバーシティ経営。イノベーションを起こすための目的でもある。「多様性を発揮する」とか「組織ダイバーシティを目指す」とか、このワードは入れられるといいと思う。

・権限移譲
 これも積極的に入れておくと良いとL社のK先生が言っていた。必ず各年度の事例Ⅰにはこのワードを使う機会が存在する(と思う)。組織活性化に必要な手段。

・成果主義
 これも回答でよく使う。ダイバーシティ経営でも使うし、有能な社員の登用や動機付け要因、コスト削減などにも使う。成果主義のためには公正なルールの作成や社員への事前説明、透明性のある評価が必要など、いくつか条件が必要になるが、これも覚えておくべし。
 またあえて使わない場合もあるので、デメリットもしっかり覚えておくべし。


■思い出深い年度
・R5
 もちろん合格年度。事業承継かと思いきやそれはもう終わっていてメインはM&A。以前よりお店を持ちたがっていた意識高い系社員をM&A先の意識の低いX社のトップに据え組織を活性化しようというストーリー。
・R4
 事業承継をテーマに、社長の農業に対する熱い思いを使うなど、なかなか組織人事ど真ん中の面白い問題だと思う。
・R3
 超苦手な年度。ファブレス企業にし身軽になって他社とのネットワークを活用しましょうという内容。事業ドメインについても回答させており、他の年度とはかなり異なった内容だった。
・R2
 事業承継とM&Aの複合技。システム化や暗黙知と形式知とか、組織ダイバーシティのエッセンスもあり、なかなか考える範囲が広くアツい事例。組織人事全方位にバランスが良くかなりの良問だと思う。

つらつらと書きましたが、事例Ⅰについてはそんな感じでしょうか?
今回はこんな感じで以上☆

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