きれいな層構造のみられる印環細胞癌です。ESDの適応拡大症例でみられたものです。「未分化型」とかdiffuse typeとされる印環細胞癌で、非腫瘍の胃腺管と同様の分化傾向(層構造)がみられることは、既に1980年代前半、伊賀流一門の先代当主が一流英文誌で発表し、受け継がれています。
核異型が乏しく、この構造が保たれている限り、印環細胞癌は横方向へ広がり、深部浸潤傾向はあまり示しません。ESDの相対適応条件を拡大するために注目する所見のひとつであることを、現施設の先代当主のグループが報告しています。
核異型が乏しく、この構造が保たれている限り、印環細胞癌は横方向へ広がり、深部浸潤傾向はあまり示しません。ESDの相対適応条件を拡大するために注目する所見のひとつであることを、現施設の先代当主のグループが報告しています。
私は類器官分化していると所見に記載しています。
粘膜内のsignet ring cellを浸潤とかく先生がおられますが、いかがなもんでしょう?
(細胞異型の乏しい)ものは非腫瘍の幽門腺管を模倣するかのように上部に粘液の豊富な細胞(典型的な印環型の細胞:腺窩上皮型の粘液を持っている)が分布し、深部にはそれよりは小型の細胞(幽門腺型の粘液を持っている。少し赤みを帯びていることが多い)が分布します。この組織像を2層構造と言ったり、間にある未熟な細胞を含めて3層構造と言ったりします。MUC5AC, Ki67とMUC6の抗体を使って染めるときれいに描出されます。印環細胞癌でこのような構造が保持されているうちは、癌は水平方向に進展しますが、深部浸潤傾向には乏しいです。