胃生検の小部屋 Cottage for Gastric Biopsy

胃生検からはじまる消化管病理の美しい世界

大腸腺癌の粘膜内病変(この細胞で腺癌を疑う理由)

2011-04-02 | 大腸腫瘍
 先ほどの粘膜下層浸潤癌の粘膜内病変を何カ所か示しています。上の写真で、核の多くは不整な類円形に腫大し複数の核小体を持っています。私は若い先生に「芽の出た不揃いな男爵芋の様な核は怪しい」と教えています。欧米基準でもhigh-grade dysplasiaとしたいところです。
 下の写真は、粘液産生の目立つところです。前の記事の、粘膜下層に浸潤した腺管も同じ様な形態を示しています。粘液が豊富な腫瘍細胞は一見異型性に乏しいですが、よく見ると類円形に腫大した不整な核が認められます。また、緊満感のあるような杯細胞型(あるいはgloboid型)の細胞が腫瘍腺管内に目立ち、その高さや方向が揃っていない時は明らかな癌(あるいはhigh-grade dysplasia)と言えないまでも、それを疑うようにしています。
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4 コメント

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大腸癌 (臨床検査を学ぶ大学生)
2011-04-12 23:11:40
大腸癌の見分け方がいまいち大学の講義ではわからなかったのですが、この写真を見て理解することができました。
ありがとうございます。
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炎症性腸炎異形成 (Chie)
2011-05-24 21:19:25
ulcerative colitisの長期follow upの症例:
ランダム生検の検体でgoblet cellの形態異常は非常に大事な所見である症例を経験しました。内視鏡では検出できない病変で、現在高度異形成ないしAIS(goblet cell ocarcinoma)としてfollow upしていただいています。
核内にはP53の強い発現がありました。
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大腸の低異型度?腺癌 (真(病理猛勉強中の若手医))
2011-07-30 07:51:19
クッシー 先生

今までこのような腫瘍を「これは腫瘍だ」と言われても、よくわからなかったのですが、先生のご説明で非常に良くわかりました。

本当にありがとうございます。
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Unknown (ドクトル・クッシー)
2011-07-30 13:12:32
真先生。ご来室ありがとうございます。本例はかなり低異型度なのに浸潤しているものです。逆に生検などで過剰診断にならないようご注意下さい。
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