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ガルパン最終章の無限軌道杯における継続高校チームの陣容に関しては、第3話の段階ではフラッグ車のBT-42の他は軽戦車のT-26のみが出ていました。さらにヨウコ車の内部の様子からⅢ号突撃砲G型であることが推測されました。それで、この3車種のみだろうと考えたファンが相当数おられたようです。
私自身は、第3話の公開後に「継続高校チームの15輌の陣容は?」と題する記事を書きまして、他にも未登場の車輌があるかもしれない、と推測しました。
将棋に例えると、数の多いT-26軽戦車は「歩」のような駒であり、フラッグ車のBT-42が「王将」にあたります。ヨウコの車輌は狙撃を担っているようなので「飛車」または「角」に当たるでしょうか、と述べました。そして、あと2、3輌ほどの「金銀桂香」に相当する車輌が居るとみて間違いないかと思います、と結んでいます。
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第4話では、やはり「金銀桂香」に相当する車輌が登場しました。3輌のT-34/76でした。個人的には「金銀」あたりに相当する駒だろうな、と感じています。
この3輌のT-34/76が隊長車のBT-42に随伴して、澤梓率いる大洗女子学園チームの本隊を意識しての追撃および牽制にあたっていましたから「金銀」のような位置づけにあるのは間違いないでしょう。
ですが、第3話の時点では、BT-42に随伴して序盤戦を展開していたのはT-26軽戦車ばかりでした。その時期に3輌のT-34/76はどうしていたのか、という疑問が浮かび上がります。15輌のうちの9輌を占めていたT-26軽戦車が、あんこうチームが撃破され脱落するまでに4、5輌ぐらいはやられていますが、その成り行きが継続高校の作戦行動に少なからぬ影響を及ぼしていなかっただろうか、と思います。
第3話の序盤戦で、最初からT-34/76の1輌でもBT-42に随伴していれば、その後の展開は少しは違っていたんじゃないかな、と思います。装甲の薄いT-26軽戦車なら撃破されたけれど、装甲の厚いT-34/76ならば、相手の弾をはじいて反撃を行なえた可能性があります。そうでなくても、T-34/76が1輌でも現われていれば、大洗女子学園側のプレッシャーはより重くなっていた筈です。
ですが、ミカ隊長の作戦の第一が、集落内に追い込んで雪だるまに隠したT-26軽戦車で奇襲する、というものでしたから、軽快なT-26軽戦車を勢子のように動かせば事足りえたのでしょう。少なくとも第3話の時点ではBT-42の周囲にはT-34/76は居ませんでしたから、このときはヨウコ車と同じように別行動をとっていたのでしょうか。
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そして上図のユリのKV-1Eについては、前の記事にて、「KV-1であるか、他の戦車であるかは、現段階では可能性の問題に尽きるでしょう。」と述べました。コミック版の「フェイズエリカ」の継続高校チームにはKV-1Eは無かったのですが、アニメ版に出てきたというのは、前隊長トウコとの作戦方針の違いによるもの、と解釈することも出来そうです。
というのは、「フェイズエリカ」の隊長トウコの戦い方は、相手が黒森峰女学園だったというのもありましたが、中戦車クラスを主力に据えて基本的には防御戦の構えをとり、BT系列の快速車輛を別動隊となして二面作戦を謀るという形で、最終章のミカ隊長の方針がヨウコの狙撃を前提として構築されていたのとは異なっていたからです。
そしてKV-1Eはチームにおける唯一の重戦車で、護りの要にありましたから、逆に言えば後の車輛は、ヨウコ車を含めて攻めの駒として使われたのでしょう。とにかく攻めて、撹乱し、隙を突き、相手を自分たちのペースに引きずり込もうと試みたミカ隊長らしい布石であった、と思います。
ですが、ヨウコ車が撃破されて後、その護衛の任務から解かれて本隊に合流したKV-1Eの格闘のさまを見ていると、KV-1Eは最初から本隊に随伴させてミカ隊長車との連携をとって動いていたほうが、大洗側に与える打撃やプレッシャーがより大きかったのではないかな、と思います。ヨウコ車の護衛は、T-34/76でも成し得たのではないでしょうか。
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ヨウコ車は、チームでは唯一のⅢ号突撃砲G型でした。つまり、継続高校チーム15輌とは、BT-42、KV-1E、3輌のT-34/76、9輌のT-26軽戦車、そしてⅢ号突撃砲G型から成り立っているわけです。
ですが、個人的には、Ⅲ号突撃砲G型はヨウコ車の他にもう1輌ぐらいは出てくるだろうと予想していました。
なぜかというと、ヨウコはスナイパー担当なので、スナイパー以外の行動が出来ないだろう、それでもう1輌のⅢ号突撃砲G型が本来の待ち伏せ攻撃に使われて大洗側にある程度の損害を強いるだろう、と推測したからです。
ですが、実際にはもう1輌のⅢ号突撃砲G型は居ませんでした。それどころか、ヨウコは狙撃は一流だが動きながらの射撃は超下手という衝撃的な事実が判明しました。これではⅢ号突撃砲G型の利点が活かせず、ある意味持ち腐れではないだろうか、狙撃なら他の車輛、例えばT-34/76でも出来たのではないか、とも考えてしまいます。
このように、全体としてみますと、最終章の継続高校チームの15輌の陣容は、作戦目標に適した、攻守のバランスもとれた編成だったのだろうか、と思えてきます。
むしろ「フェイズエリカ」の継続高校チームのほうが、中堅戦力が分厚くて攻守のバランスも良かったんじゃないか、だから黒森峰女学園の戦車部隊ですら苦戦させられたのだろう、と考えてしまいます。
以上の事柄をまとめると、最終章の継続高校チームの15輌の陣容は、強そうに見えるけれども、ガルパンの既定路線である「大洗の勝利」を達成させるための、負けてもおかしくない編成内容であった、ということが言えそうです。サークル交流仲間のモケジョのミカさんの辛辣な言葉を借りれば、「あれじゃ絶対負けるよね」となるわけです。
もう少し、なんとかならなかったのでしょうか。最終章の継続高校チームの15輌の車輛の組み合わせ次第では、もっと面白い、手に汗握る衝撃的かつ感動的な試合を演出出来ただろう、と思います。