2024年10月15日の朝は快晴でした。ゆるキャン群馬キャンプ編二日目ルート聖地巡礼の四日目のコースは伊香保温泉でした。この日の宿も伊香保温泉なので、聖地スポットの再訪の他は温泉入浴と温泉街の散策と食べ歩きをゆっくりと楽しむ予定でした。
それで、この日は8時過ぎまでゆっくりと寝て、前日の野反湖ハイキングの疲れも癒しておきました。朝食をとりに一階ラウンジへ降りた時には、既に朝食バイキング会場の混雑は解消していてテーブルについているのは数名だけでした。食後も部屋でゆっくりと休み、チェックアウトしたのは9時半過ぎでした。
上図は出発時に撮った、宿の玄関口の標識です。
数分でJR高崎駅に移動し、西口の南側にある上図の上野三碑(こうずけさんぴ)のレプリカ展示を見ました。
上野三碑とは、古代の飛鳥時代から天平時代までに建てられた、漢文が刻まれた3基の石碑のことです。三碑とも高崎市内に伝存し、山ノ上碑(山上碑)、多胡碑、金井沢碑と呼ばれます。
いずれも国の特別史跡に指定されており、私も平成八年(1996)の夏、大学時代の群馬県の友人Mに誘われて、碓氷郡松井田町の彼の実家へ遊びに行った折に上野三碑も案内してもらって実見しています。
古代の石碑は国内でも18例しかなく、大変に貴重な文化財ですが、上野三碑はそのなかでも最古の石碑群として知られます。それらの実物大レプリカが高崎駅西口の駅そば店舗の横にあるよ、とMに教えられたので、立ち寄ったわけです。
上野三碑のレプリカ展示を見た後、高崎駅西口のベデストリアンデッキにあがり、上図の写真を撮り、バス乗り場へ向かいました。
バス乗り場は、毎度おなじみの西口2番乗り場です。ゆるキャンの群馬キャンプ編の聖地となった榛東村、榛名湖、そして伊香保温泉の全てに行くことが出来ます。
9時54分、バス乗り場に着きました。まだバスは来ていませんでした。
時刻表を確かめました。今回は10時5分発の水沢・伊香保温泉経由箕郷営業所行きに乗ります。その前の便は8時55分発で、それが伊香保温泉に立ち寄る最初の便であるようです。
9時58分、バスが来ました。10時5分に出発、高崎市街から水沢観音門前街を経て伊香保温泉への約1時間半のバス旅を楽しみました。途中で有名な箕輪城跡の近くを通りましたが、お城まつりがあるようで、街中のあちこちに幟がはためいていました。それから水沢観音の門前街のうどん屋の並びを見ましたが、平日なのにどのお店も行列が居て、水沢うどんの人気の高さがうかがえました。バスの旅は、とにかく楽しいです。
もともと私はバスの旅が好きで、太川陽介さん蛭子能収さんの「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」シリーズのファンでもあったので、各地への旅行でもなるべく鉄道やバスを利用していかに目的地にたどり着くか、のプランを楽しみながら懸命に考えたりします。
京都へ凱旋移住して車を手放してからは、ゆるキャン聖地巡礼を含めた全ての旅行が公共交通機関利用メインになりましたから、とにかく鉄道やバスを利用し、それらが無い地域では太川陽介さんばりに徒歩での移動を頑張ります。健康にもいいし、普段の生活でも歩き回っていますから、足腰が丈夫になって、悩んでいた腰痛も解消し、30分ぐらいの徒歩移動なら普通にこなせるようになりました。
11時31分、目的地の「伊香保案内所」バス停で下車しました。前夜にMに電話して「伊香保温泉街を散策する場合はどこのバス停で降りたらいいか」と聞いたところ、「源泉の露天風呂を勧めるんで、最寄りは「伊香保案内所」だな」と教えられたからでした。
Mが言うには、バス停から南へずっと坂を上っていくと源泉の露天風呂があるが、その途中に伊香保温泉発祥の地とされる、渋川市指定史跡の「千明元屋敷跡」があるので是非見て行ってくれ、との事でした。どんな遺跡か、と訊ねたら「行けば分かる」とだけ返されました。
それで、元の計画ではバス停「伊香保案内所」から北に下りて温泉街に入る形であったのを、逆の南に進んで長い登り坂の車道をたどることになりました。思ったよりも急で距離があり、地図で見直すと約600メートルはあるようでした。登り切った時には汗だくになっていました。
車道の脇に上図の石積みと看板がありました。たぶんこれだな、と思って近づきました。
間違いなく、Mが教えてくれた渋川市指定史跡の「千明元屋敷跡(ちぎらもとやしき)」でした。中世戦国期に現地の湯元を支配していた土豪の千明(ちぎら)氏の屋敷跡です。源泉のすぐ下に位置し、屋敷の周囲の川沿いにもとの温泉街があったそうです。これを天正三年(1575)に武田勝頼が真田昌幸に命じて北麓に移転させて新たな温泉街を整備したのが、現在の石段街の始まりとされています。
この移転により、千明氏も石段街に移転しましたが、伊香保温泉の有力者としての立場は維持して、引湯権を所有して温泉旅館を営んできました。いまの「千明仁泉亭」がその後身で、伊香保温泉屈指の高級旅館として知られます。 (続く)