A Moveable Feast

移動祝祭日。写真とムービーのたのしみ。

雨の平城宮

2006年04月05日 | 旅の破片
 朝より雨が降り続くので、朝のうちはホテルでゴロゴロしていた。
 晴れていれば、車で出かけるつもりだったが、天気には勝てず、予定変更して、平城宮へ。当時10万人くらいの首都としては、広大な敷地なり。永遠の都をつくらんとしたわけである。藤原宮の真北に位置するのは、何か意味があるのだろうか。
 大極殿と朝堂院は、奈良時代の前期、後期で、2箇所あったことが分かっている。知らなかったが、巨大な大極殿正殿が復元されるそうで、現在、工事中である。朱雀門はすでに復元されて、一般公開されている。
 雨のため、他に人気がなく、雨の平城宮というのは、なかなかいい感じだ。朱雀大路の北端(宮城の正門)が朱雀門で、南端(都の出口)が羅生門である。羅生門ならぬ、朱雀門であるが、太い柱に寄りかかり、雨宿りしていると、黒澤映画の中の登場人物にでもなったようだ。
 午後からは河内小坂へ出かけた。ここには、故司馬遼太郎の家と記念館があり、奈良からは近鉄奈良線で一本で行けることが分かったからだ。記念館は庶民的な住宅街のなかにあった。庭の方々に鉢植えの菜の花が咲いている。書斎が外から見られるが、この作家の人柄通りに、ごく普通の作りであって、凝ったものではない。それよりも蔵書の数の膨大なことは、全く驚くべきことである。一階から三階まで吹き抜けで、天にまで届くという感じで、本が収納されている。
 帰り道は迷ってしまったが、記念館の近所の家の門前に、ところどころ菜の花の鉢植えが置かれているのに気がついた。菜の花は司馬氏のシンボルであり、住民のこの作家に対する親愛の情を感じ取るべきなのだろう。