「騒動以降、何度も迷惑電話が…」 長野市公園廃止、「国立大名誉教授」夫妻が明かす苦悩
12/22(木) 5:56配信
デイリー新潮
「あなたとは次元が違いますよ」
コロナ禍で子供たちは屋内で遊ぶことを余儀なくされていたが、それに乗ずるように市は“公園の利用者が少なくなった”などの理由をつけ廃止を決めた。
実際、件の公園周辺には10軒ほどの民家が建ち並ぶが、住民に聞くと、
「そりゃ、遊び声は聞こえるけど、気にならないよ。子供がうるさいって大学の先生が言うかね。だったら、なぜ小学校の近くに家を建てたのよ」
別の住民もあきれて話す。
「コロナ前は地区の忘年会があって、名誉教授に“工学部の先生なんですね。私も仕事が設計屋で、工学系なんです”と話しかけたら、真顔で“あなたとは次元が違いますよ”と言われた。自分から“大学では一番人気”などと口にするような、世間話ができない人。親しい家はないと思うよ」
「威圧的に見えたかもしれない」
なかなか一癖ある人物のようだが、その言い分を聞こうと住まいを訪ねると、切々と思いの丈を語るのだった。
「大学を退職後、去年の春から自宅でリモートの仕事を始めて、こんなにうるさいんだと気付いたんです」
そう語るのは、当の国立大名誉教授氏である。14年間苦情を申し立てていたのは夫人だという。
「少子化時代、子供なんだから許すべきだとの意見は正論です。私もそう思います。公園から100メートルほど離れた家で暮らしていたら“なぜ使わせないのか”と思っていたでしょう。私自身、この家に住む前は、他の公園で〈球技禁止〉の看板を見て不思議に思っていたほどですから。けれど、目の前に公園ができて意味が分かりました。ボールの音が激しい時は“こっちにおいで”と子供を呼び、ボール遊びのルールを定めた看板のところへ連れて行き注意します。決して手を引いたりなどはしていませんが、威圧的に見えたかもしれません」(同)
「危険人物みたいに…」
傍らに控えていた夫人がこう訴える。
「危険人物みたいに思われるのは残念です。1軒だけの苦情と言われますが、隣のお宅は日中不在なんですよ。以前は主人も土日しか家にいませんでしたから、この18年間、騒音ストレスに耐えていたのは私だけ。普段、平日は15時から17時の間がピークでしたが、春休みや夏休みは午前中から児童センターが子供たちを公園で遊ばせる。家の目の前で、50人ほどの子供たちが一斉に騒ぐと、雨戸を閉めても声が響きます」
名誉教授氏が続ける。
「ここに住まないと分からないと思いますが、50人もの子供が遊ぶのは普通の範囲内でしょうか。それで今年に入って、児童センターに5人ずつ分けて遊ばせてはどうかと提案しましたが、館長は“代わる代わるなんてできるわけない”と言ったので、やる気がないんだなと思いましたね」
さらに夫人は、
「送迎車の音も響くのに、館長は注意してくれないので、私がエンジンを止めない人全員に注意し、20台分のナンバーをメモしました。そういう姿を見ているはずなのに職員も知らないふりなんです」
騒動以降、迷惑電話が
今でも新たな“騒音”に悩まされているといい、
「騒動以降、迷惑電話が何度もある。受話器を取ると“クレーマーの方ですか”って聞かれて……」(同)
名誉教授氏もこう嘆く。
「頼んでないのに、建築会社の人が“新築の資料をお持ちしました”と訪ねて来たり、東京のハウスメーカーから新築物件の資料が送られてきたりしました。知らない誰かが、勝手に依頼したんだと思います」
何とも厄介な個人攻撃にイタズラ。だが、騒動は未だ収束しそうにない。
ところで、公園廃止を“苦しい判断”と会見で語った市のトップは何を思うか。スキー・ノルディック複合団体で五輪連覇を達成し、長野五輪で日本選手団主将を務めた荻原健司市長は、4人の子を持つ父親でもあるが、取材に対し、
「全国ニュースとなり非常に関心が高いという受け止めはあります。地元の方を含め、いろいろな意味でご心配をおかけしたと思っております。子供の遊び場の確保など地域の皆さんの声を直接お伺いし、子育て環境の充実やどんな街づくりをした方がいいのかを含めての意見調整をさせていただきたい。市民の声を大事にする姿勢は見せていきたいと思います」
「週刊新潮」2022年12月22日号 掲載