米国が新次元の対中政策、中国をソ連と同じ敵性国に

2019年10月26日 | 国際紛争 国際政治 



米国が新次元の対中政策、中国をソ連と同じ敵性国に

10/23(水) 6:00配信

JBpress
米国が新次元の対中政策、中国をソ連と同じ敵性国に

米国のトランプ大統領。ホワイトハウスにて2019年10月21日撮影(写真:AP/アフロ)

 (古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)

 米国のトランプ政権が、米国内に駐在する中国人外交官の行動を厳しく規制する措置を打ち出した。米国のこの対応は、東西冷戦時代にソ連に対してとった厳しい措置と似ている。

 米国が中国を敵性国家と位置づけ、いよいよ全面対決の姿勢を明示した動きとして注目される。

■ 米国外交官の活動を規制する中国

 10月16日、米国務省は同省報道官を通じて、米国に駐在する中国の外交官が米国の政府職員や地方の州、市などの地方自治体の職員と面会したり、米国の大学や研究機関を公式訪問する際には、米国務省への事前の通告を必要とする新たな措置を発表した。

 米中両国が1979年に国交を樹立して以来、米国は在米の中国の大使館や領事館の外交官に対して、この種の規制を課したことはなかった。今回の措置は、対中政策が新たな段階に突入し、米中関係が公式に「米中冷戦」とも呼べる状態になったことを示している。

 10月17日、国務省で中国を含む東アジア・太平洋問題を担当するデービッド・スティルウェル次官補は、「この措置の最大の目的は、在米の中国外交官の活動を抑えることではなく、中国に駐在する米国外交官の活動に対する中国側からの規制や妨害を減らすことにある」と説明した。つまり、中国政府の在中米国外交官への処遇に対抗する措置だというわけだ。

 中国では、米国政府を代表する外交官が中国側の民間の機関や個人に直接接触することは厳しく規制されており、通常は中国政府による事前の許可を必要とする。また近年は、中国の主要都市にある「アメリカ文化センター」の活動にも圧力がかけられ、中国内の米国の大使館や領事館からの同センターへの運営指示が中国当局によって阻まれることが多くなってきたという。

 米国ではこのところ、政府でも議会でも、中国当局による「統一戦線工作」活動(中国共産党の敵を倒すためにありとあらゆる影響力を行使する活動)への警戒が急速に高まってきた。今回の国務省の措置もその対抗策の一環だといえる。

■ 冷戦時代のソ連と同じ敵対国に

 今回の措置についてさらに注視されるのは、その内容が東西冷戦中に米国がソ連外交官に対して課した規制と同じだという点である。

 つまり現在の中国は、冷戦時代のソ連と同じ敵対国としての扱いを米側から受けるようになったというわけだ。今回の措置は、現在の米中関係がかつての米ソ関係に等しい緊迫した対決になってきたことを意味する。

 米国上院の外交委員会有力メンバーのロブ・ポートマン議員(共和党)は今回の措置について、全面的な支援を示すとともに、「米国政府は長年にわたり、中国外交官を米国内で自由に活動させることによって、中国政府も米国外交官の中国内での自由な活動を認めるようになると期待してきた。だが、そうした相互主義への期待はまったく空しいことが証明された。中国政府は、代償を払うことの必要性を認識するまでは自己の行動を決して改善しようとしないのだ」と論評した。




中国、対米報復を誓う 米下院「香港人権法案」可決に激怒

10/17(木) 15:33配信

ニューズウィーク日本版
中国、対米報復を誓う 米下院「香港人権法案」可決に激怒

米議会に「香港人権法案」の可決を求める香港のデモ(9月8日) Tyrone Siu-REUTERS
<中国政府はデモ参加者を「暴徒」や「テロリスト」と呼び、これは人権問題ではなくアメリカの「内政干渉」だと猛反発>

米下院で10月15日、香港での人権尊重と民主主義の確立を支援する「香港人権・民主主義法案」が全会一致で可決された。これに激怒した中国政府は、報復を宣言した。

【動画】ジョシュア・ウォンら活動家を迎え入れるナンシー・ペロシ米下院議長

超党派の支持を得た同法案は米大統領に対し、香港で自治権の侵害や人権弾圧に関わったとみなされる人物に制裁を科すよう求めている。また米国務省に対しても、貿易上の優遇措置を継続するかどうかを判断する上で、香港で人権と法の秩序が尊重されているかを毎年検証するよう求めている。

BBCによれば、同法案は発声投票で可決された。これは賛否が明らかな場合に用いられる投票方法。香港警察がデモ隊に向けて使う可能性のある催涙ガスやゴム弾など殺傷力の弱い武器の輸出を禁じる「香港保護法案 Protect Hong Kong Act」も可決された。

法案は今後、上院の採決とドナルド・トランプ大統領の署名を経て成立するが、下院が全会一致で可決したことは外交的圧力になる。

中国は香港人権・民主主義法案について、受け入れがたい内政干渉だと猛反発した。法案の可決を受けて中国外務省の耿爽副報道局長は16日、「米下院でいわゆる香港人権・民主主義法案が可決されたことに、強い憤りと断固たる反対を表明する」と声明を出し、報復措置を取る考えを明らかにした。

<無視され続けたデモ隊の要求>

耿爽はさらに「香港の現在の状況は、人権や民主主義とは関係のない問題だ」と主張。「真に重要なのは今すぐ暴力を終結させて秩序を回復し、法の秩序を守ることだ」と述べた。

香港では6月から毎週末、大規模な抗議デモが展開されている。きっかけは、中国本土への容疑者の引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」の改正案だった。反対派は、同改正案によって「一国二制度」の下で香港に認められている自治が損なわれることを恐れ、中国による(香港在住の)反体制派の迫害に道を開くことにもなると主張した。

しかし香港政府がなかなか同改正案を撤回せず、警察がデモ隊に暴力的な対応を取ったことで、香港政府や中国政府に対する不満の声はますます高まり、デモは激化の一途をたどっている。デモ隊の要求も、逃亡犯条例改正案の全面撤回を含む「5大要求」に拡大した。

林鄭月娥行政長官は、最終的に同改正案の撤回を表明。だが残り4つの「警察の暴力に関する独立調査委員会の設置」、「身柄を拘束されたデモ参加者の釈放」、「デモを『暴動』とした認定の取り消し」「普通選挙の実現」については、応じない姿勢だ。



<「偽善と悪意」に満ちた法案>

香港政府と中国政府は、デモ参加者を「暴徒」および「テロリスト」と見なしている。中国外務省の耿は16日、米議員たちは「放火や店舗の破壊、警察官への暴力などの重大な犯罪を人権や民主主義の問題だと言って、事実をねじ曲げている」と批判。米下院の姿勢は「露骨なダブルスタンダード」であり「アメリカの一部の者の間に、人権や民主主義の問題についての極端な偽善と、中国の発展を阻むために香港の繁栄と安定を弱体化させようという悪意があることを露呈している」と主張した。

「中国は、アメリカの誤った決定に対して断固たる措置を取り、自国の主権、安全・発展上の利益を守っていく」と耿はさらに述べた。

耿はまた、「香港問題は完全に中国の内政問題であり、外国勢力によるいかなる干渉も受け入れない」と強調。「アメリカには、状況を的確に把握し、香港関連法案の審議を直ちに取りやめ、中国への内政干渉をやめるよう忠告する」というメッセージを出した。

一方、香港の民主化を求める活動家たちは、香港人権・民主主義法案が可決されたことを歓迎した。アメリカを拠点とする非営利組織「香港民主主義評議会」は米議員たちを称賛。同組織のサミュエル・チュー代表は同法案を「香港市民へのこれまでで最も力強い支持表明」と評した。

著名な民主活動家で民主派政党「香港衆志」の共同創設者でもある黄之鋒(ジョシュア・ウォン)も、米下院の指導部に対して感謝の意を表明した。

(翻訳:森美歩)

デービッド・ブレナン





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