三日連続。

　午後、かかりつけの整形外科に赴き、大学病院で精密検査を受けたい由、主治医に伝えると、大学病院で精密検査をするのは予約を取るにも、何をするにも、とにかく順番待ち、順番待ちですごく時間がかかり大変だから、ここはひとまずうちで出来るだけ検査してその結果を持って、精密検査を受けてもらいたい。でないと大病院からしてみれば、

「おいおい、俺んとこ持ってくんのに、ＭＲＩも撮らずに、主治医の見解も載せずに、丸投げか？この人、どんだけ重症やねん」という事になり、非常にばつが悪い。だからそうしてほしい。

　という事でした。素直に内情を話してくれた主治医は、いい人かもしれないが保身の人です。

　だから私は明日から三日連続、右ひざ、左ひざ、腰、の三か所を、最先端医療機器、ＭＲＩで撮影しに行きます。

　何度かとった事があるんですけど、ＭＲＩ。あれは閉所恐怖症の人には無理な検査ですね。気分が悪くなった人様に、ギブアップボタンがあって、どうしても耐えられなくなった場合それを押すらしい。

　よく洞窟を潜っていく人いるじゃないですか。体がギリギリはいるぐらいの洞窟に、頭から入っていく人。その先が行き止まりだったらどうするつもりなんだろう、って思ってしまいますが。ＭＲＩの機器はまさにそんな穴に入って、だいたい20分～30分じっとしていなければならないんです。しかもその間、ぴー、ぴー、ガッガッガッガッガ、という、結構大きな音がして、今地震が起きたら、火事が起きたら、「逃げてくださーい」なんて言われても絶対聞こえない。なんて考え始めたらもう終わりです。

　まあ、私はむしろ狭いところが大好きなので、落ち着いて検査を受けてきます。でも……。

「この検査、三日連続でいくらかかるんだろう……」そんな考えが頭をよぎったら、ギブアップボタンを押してしまうかもしれません。

麗らかな日差しが射してます。

　朝の曇天から打って変わり、麗らかな日差しがさしています。今日は予定を変更して、午後はかかりつけの整形外科に行って紹介状をもらい、明日こそは精密検査をしてもらいに行きたいと思っています。三か月も経ってようやく精密検査とはなかなか悠長な事を言っていると我ながら思うのですが、精密検査となるとそれなりに時間も、あとお足もかかるもので、なかなか踏み入れないモノなんですよ。無収入の人間にとっては。それにまさかこんなに長引くとは全く予想していなかったんで。だって我慢すれば普通に歩ける程度のごくごく軽症の、ただ正座が出来ない、胡坐がかけない、走ったり階段が上り下りが困難、ぐらいの症状だから、それなりにマッサージをしていればそのうち自然に治るものだと、思うのが普通じゃないですか？

　世の中にはいろんな恐ろしい病気がや症状があるものだなぁ、と、また昨日、息子と歴代最高の野球選手はだれだ？　的な、番組を見ていたんですが、ジャイアンツの桑田真澄投手は、リハビリに二年も費やしたそうです。二年ですよ。私には絶対に許されない年月です。私がもしそんな恐ろしい症状だったら、どうやって暮らしていけばいいのでしょう。

　そうなったらもう、在宅しかないですね。それこそユーチューバーでも目指して、輪ゴムを練り歯磨きで煮たら、ミントガムになるか？とか、道路の白いところだけ踏んで大阪まで行けるか？　なんてことをやりながら。あ、でもそれ、全然在宅じゃない。

　早晩、私の米蔵は底を尽きます。だから今この瞬間も、生活の糧を得る方法を、ちゃんと真面目に考えないといけないんですよね。膝が悪い？それがどうした？　わしゃ、お前なんかおってもおらんでもどっちでも、いっこもかめへん。というのが世の中の、神様の正直な気持ちでしょう。それはわかっています。だから、厚かましいとか、世の中に迷惑が掛かるとか、そんな事を考える筋合いはもともとない。そんな事ばかり考えていると土台、身代なんか立てられやしない。だからあのアメリカ人の下種の極みのユーチューバーとか、ハレのヒの社長みたいになりふり構わず、自分の事だけを考えて人の気持ちも迷惑も顧みずに行動するのが正解。やったもん勝ち。逃げたもん勝ち。さぞかし気分が良かろうね。さぞかし一杯の武勇伝かかえて、あぁ楽しかった。なんてまたなんか次の事を考えているんだろう。すごいねぇ、そのアイディア。逞しいねぇ！そのバイタリティー。　生きるって本当はこういう事を言うのかもねぇ。

 

　違います。　生きるとは偏に、モラルに従う事を言うのです。

　今日の昼食はそばです。年越しそばの残りです。ありがたく頂戴いたします。

　

　

無題

 沖縄アメリカ兵の練度が低過ぎる。

ハレのヒとドタキャン。

　精密検査をするにはそれまで通院していた病院からの紹介状が、ぜひ必要だと、それがないと、それなりの金がかかりまっせ、と言われ、今日は断念……。世知辛い世の中でやんす。

　

　晴れ着のドタキャンもひどいが、宴会のドタキャンもひどい。立場は逆だけど、きつねとタヌキのバカ試合か？　化かし合い。

　まあ、モラルの欠如という事でしょうね。モラル。法律よりもずっと大事なのがモラル。これは実は重大な問題ですよ。　

　成人式はね、女の子にとっては、女の子のおじいちゃんおばあちゃんにとっては、二十年待ちに待った日なんだからね。

　

　昔務めていた、池袋を代表する大きなビルにあった宝石屋が夜逃げ同然でトン面こいた時、従業員が慌てていたのを思い出します。本当にある日突然、シャッターに張りが身一つで。しかし、

　それまでのその宝石屋の店員の勧誘がしつこくてね。パッと見りゃ、私が宝石なんか買わないの、わかるでしょ？と言いたいのに、毎朝顔を合わせるテナントの従業員にまで、いかがですか？　ダイアモンドいかがですか？って。

ノルマがあったのでしょうね。必死だったのでしょう。しかし、余りしつこいのはやっぱり迷惑でした。

　その同じ従業員が、シャッターの張り紙を見て呆然としているんです。その前の日まで、おはようございます！ダイアモンドいかがですか？　って言ってたその同じ従業員が、呆然として、私など覚えてもいない様子。

　仕事だから何をしてもいいわけじゃないんですよ。上から言われたからって、オッケーが出たわけじゃないんですよ。モラルがあれば、その辺も、うまい事抑制してくれるんでしょうが、ほとんどの会社は、集団催眠状態ですからね。わからなくても仕方がない。

　じゃあ上が責任取るのかと言うと、見ての通り。　今、テレビで甘いこと言ってました。

　騙す意思がなければ、詐欺にはならない。と。なにそれ？　また、犯罪者擁護ですか。全然要らない忖度だと思います。　ダメもとでやる、みたいなのが、勢いが当てよろしい！それが若さだ！　倒れても、倒れても、雑草のように立ち上がれ！　的な考えは、私はもとも大嫌いで、しっかり考えて、前もっていろんな場合を予測して、それからやる。用心深く、なるべく失敗しないように、失敗しても、被害は最小限にとどめるようにと、そこを一番に考えて行動するのが、どう考えても正しい。

　被害者の立場にならないと、わからないじゃあ、ダメだよね。あ、ハレのヒ、の被害にあった人達と、宴会をドタキャンした人を同じ穴の狢だと言っているわけじゃあ、決してありませんよ。　世の中全体間違っとると、また、毒にも薬にもならない事を言って締めくくろうとする、意気地のない私でした。

　

おはようございます。早朝、早坂ちゃん。

おはようございます。私事ですみません。また、夢を見ました。

それは潰れそうな温泉宿を湯治か何かで訪れている、膝が痛くて眠れない時にいつも見る種類の夢で、私は朽ちて棘が刺さりそうな欄干に靠れ、人影もまばらな温泉街を見るともなくぼんやりと眺めていると、襖を隔てた隣の部屋から姉の声で、「けやき坂の早坂ちゃんが年末ジャンボ当たったって！」という声が聞こえてきました。

 私はけやき坂なるグループに早坂ちゃんというメンバーが実際にいるのかどうかも知りませんし、それが何人で何という歌を歌ってるグループかも知りませんが、テレビを点けるとなるほど、ワイドショーはその話題で持ち切りのようで、メイドのようなヒラヒラとした衣裳を身に纏った女の子の集団の中から、『年末ジャンボに当たった、早坂あゆみさん』というテロップと共にアップにされたのは、一人だけものすごく大きい、それこそ白鵬ぐらいある女の子でした。顔もごっつくて、あごの筋肉が発達して、肩幅も他の子の軽く二倍近くあり、しかも一人だけ大量の汗をかいているんです。私は笑いながら、「こういう子がアイドルを目指すのは厳しいよね」と襖越しに姉に言います。

 次にその子を主役にしたと思しき、『大きい女の子は、恋しちゃダメですか？』というドラマのワンシーンが流れ、その子は、雨の中、一人悲しそうな表情でとぼとぼと歩いてくるんです。そして徐にカメラ目線になり、「私じゃ、ダメですか？」と言います。

「うわ、ダメでしょ！」と私はまた笑い飛ばします。すると、「そんな事、言うもんじゃない！」と襖越しに姉の声がします。あぁ、まあ、頑張ってるけどね、と私は言葉を濁し、そのまま笑いをこらえてドラマを観ます。女の子は振り切ったように指輪を抜いて、夜の歩道橋から投げようとしてまた、躊躇してやめます。その指輪がペットボトルのふたぐらいの大きさで私はまた爆笑してしまいます。「やっぱり、変だよ」と言うとまた隣から、「可哀そうでしょ。頑張ってるじゃない」と姉の声、あぁ、すみません。と私はまたドラマを観るのですが、そのうちドラマのセットが円谷プロダクションみたいな町のセットに代わり、その女の子は、そのビルとビルの間をのしのしと歩いてるのです。そして、戦闘機からのミサイル攻撃を受けて、「お願い！やめて！」と言っているのです。

 「これはいいでしょ！これはもうギャグでしょ！笑っていいでしょ！」と爆笑すると、突然襖が開き、そこには子牛のような女の子を抱きすくめた姉の姿が。「あゆみちゃん頑張ってんじゃない！」とすごい剣幕で私を睨みます。まさか本人がそこにいるとは思わなかった私は慌てて、「あぁ、宝くじおめでとう!」と訳の分からない挨拶をします。すると女の子は、「こんなのいらない！」と言って私を睨むのですが、その声が藤原組長のような声で、「なんだ、ドラマの声もアフレコだったのか。やっぱり、この子はアイドル目指さない方が幸せだよ」と、言葉には出さなかったけど、思いました。夢はそこで終わりました。

 見ちゃいけない夢ってあるのかなぁ、と。残酷なことなのかなぁ、と。ぼんやり思いました。

 息子がプロ野球選手を目指しているのと、早坂ちゃんがアイドル目指しているのは、同じようなものなのか。私が目指している将来の夢、ある程度の金が稼げて、年に二回ぐらい家族で旅行が出来る。息子を高校・大学と勧めてやれて、老後もそれなりに暮らせる。そんな夢も、早坂ちゃんと変わらないのか。

 今日から息子は新学期、私は、接骨院をキャンセルして、精密検査をする予定です。それでも、やっぱり、幸せに向かわざるを得ないのを、笑ってはいけない。早坂ちゃんには悪いことしたなぁ、と思っています。

 ところで、けやき坂に早坂あゆむって子、います？