妻のサバ味噌煮を食べてご満悦。しょうが焼酎のお湯割りを飲んで、もういつ寝てもいいわ。
甘え腐った生活にもそろそろピリオドだ!と失業者はおもう。それに考えていた以上に、失業者って忙しいんです。
まずは四週に一回、職安からの呼び出しを食らい、「あんた、ホンマに、仕事する気あるんでっか?チンタラやってたら、しばくど、ワレ!」と叱られ、それに応じた活動をしていないと、失業手当が貰える日時が、どんどん遠くなっていくんです。 万が一にですが、私が、5月以降も今の様によちよち治療生活なんかしてたら、それこそ我が家はちょりちょりに渇いてしまいって、目も当てられません。だから絶対、失業手当は必要で、そのためには、いまから、どうせ膝が痛くて就職などできないなぁ、と内心では思いながらも就職活動の、履歴を作らなければならないのです。思えばおかしなシステムです。所得税の関係か?まさにケツの毛も抜くシステムです。
今日も風呂に入っていて息子に、「父ちゃん、無職?」と訊かれました。ヒロシです、ヒロシです、ヒロシです……。
ヒロシはまだ、一山当てたからその頃の人脈やいろいろ伝手もありそうだけど、こっちは膝が治ってもぶっつけ本番で、誰も知らないところに半ばヤケクソの道場破りで、「ちぇーす、中年の未経験です!」と門をたたかなければならない。これは或いは、ヒロシよりヒロシです。
あなた、十一年も料理人やってきたなら、料理すれば?と言われそうですが、やっていた人ならわかると思うのですが、料理業界は雇われているうちは未来がありません。自立開業のみが明るい未来を切り開く道。 そりゃ、十一年もやってたんですから私だって料理で、店出して、妻と、「お前さん!」「あいよ!」なんて、小さいながら活気のある店を出来れば、これに越したことはありません。
しかしそれには、売れるモノ、金になるアイディア、あと元手が、私には圧倒的に不足しているんです。単にバイタリティーが不足しているんでが、「やるやつはやるやろ!」と言われれば確かに、やるやつはやりますよね。でもそれを言ってたら自殺者は減りませんよ。
長々とやってみてわかった事ですが、実際に現場に踏み込んで、先輩から技術を盗むなんて非効率な事をするよりも、きっちり金払って、料理学校に行く方が基本から学べて絶対いい。それに反論する人はよっぽどのドМか、その世界で苦労したことを免罪符にして、伝統の名の元に非効率なやり方を繰り返して何も感じない、アンセンスで無責任な野郎です。
「先輩の厳しさの中に、世の中の礼儀を知った!」なんてのは単なる個人の感想。 経営の神様、松下幸之助さんは、それこそ丁稚奉公からの叩き上げ、みたいに言われて、「そら見た事か!現場で苦労した人間が一番実際を知ってるんだ!」 みたいな安易な結論にたどり着いく場合が多いようですが、
実際あのオイルショックの時、会社が軒並み倒産し、失業者が激増した時に松下幸之助さんは「松下の社員は誰一人クビにするな!」と言われたそうです。あの時代、キャッチアップの名の元に無茶苦茶に繰り広げられた過当競争の中で、いかに人の上をいくか、前を行くかという偏狭な風潮に、駄々流されていただけの人間が出来る発想では、絶対にありませんね。これは。
その時その時代の矛盾や嘘に、いち早く気付きそれを解消すべく未来に対してアクションを起こす。これが本当の先覚者。指導者の姿。まさに経営の神様とはこういう姿をしているのです。
だから、私はもう料理界の人間ではありませんが、あの世界にも、松下幸之助の様な先覚者が、末端から一日も早く表れて、今も戦後さながらに駄々はびこっている、『厳しい』と『無理強い』、『伝統』と『馴れ合い』をはっきり区別する物差しを示す人が現れたらいいのにね、と思います。
私はハローワークの希望職種にも飲食業とは書きませんでした。調理師免許は持っているので、もし紹介があれば、シューカツの一環として、面接ぐらい受けなくはないですが。実際、今だって食べ物を作るのは大好きなので。でもそれならば、やっぱり自営業で、「お前さん!」「あいよ!」でやっていきたいわけですよ。実際それ以外で理想的な飲食業って、私には想像つきませんもん。元料理人としての、私。
だから、子供の手が離れて、そんなに稼げなくても、美味くて、安くて、簡単で、安心なモノを作って夫婦でよちよちやってく。そんな感じでよければ、飲食業もまた考えてみようかなと思っています。 いや素敵な商売ですよ。飲食店。変な気位とプライドと金金金の畜生道を捨てれば。どっちに転んだって、飲食はサービス業なんですから。
だから、客を叱る店とか、店の都合で一方的なルールを決めたりする店は、個人的にはクソファックです。
「うちの味が気に入らなきゃお代は要らねぇ、どうぞお引き取り下さい」だの、「素人がゴタクを並べねぇで、黙って食やいいんだ!」なんて言っちゃうような、自信に託けて、批判にビビりまくってるチキン野郎の作る料理は、目の前で×××を、思いっきり×××してやろうと思います。
出来れば来月内に、膝痛い通信をフィナーレしたい。 そんな小さな目標も持ってます。
がんばれ、膝。俺は絶対お前を見捨てない。だからお前も俺を見捨てるな。いつか一緒に、飲食店やろうな!
じゃあ、一足先に、お休みします。明日が皆様にとって最高の一日でありますように。 おやすみなさい。