田圃の稲も首を垂れて秋らしくなってきました。既に稲刈りが始まった所もあるようです。
そこで良寛の秋の歌を探してみました。
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秋の雨の日に日に降るにあしひきの山田の爺(をち”)は晩稲(おくて)かるらむ
(秋の雨の毎日毎日降り暮らしている中で、山田守りの老爺は、苦しみつつ、晩稲を刈っているであろう*)
さびしさに草のいほりを出てみれば稲葉おしなみ秋風ぞ吹く
(心さびしさのあまり、草の庵を出て眺めると、田圃の稲を靡け吹く風はすでに秋の風だなあ*)
あしひきのやま田のかがし汝(なれ)さへも穂ひろふ鳥を守(も)るてふものを
(秋の田んぼに、ぼろをまとって阿呆らしく突っ立っている案山子よ、お前ですらも、稲穂を拾って食べる鳥の害を防がんものと懸命に番をつづけているのに、悲しいかな、自分は世の中のために何のなすところもない身である*)
この岡の秋萩すすき手折りもて三世(みよ)の仏にたてまつらばや
(この岡の秋萩や芒を手折って、過去・現在・未来三世のもろもろの仏たちに捧げよう*)
秋の夜はながしといへどさすたけの君と語れば思ほえなくに
(秋の夜長と昔からいうが、あなたと物語りすれば、たのしさについ時の経つのを忘れ、一向長いとは思われない*)
秋萩の花咲く頃は来て見ませ命またくば共にかざさむ
(秋萩の花咲く時分には、どうかまた来て下さい、お互いに無事息災でしたら、いっしょに萩の枝を手にかざして遊びましょう*)*:吉野秀雄
良寛さんは、いつも心静かですね。
このような気持ちに少しでも近づきたいものです。