なおじい(HOBBY:カメラ・ビデオ撮影・DVDオーサリング/資格:ラジオ体操指導員・防災士・応急手当普及員)

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先進国で唯一「がん死」が増加する日本の悲劇 早期発見できれば95%治せる病気なのに…

2018年06月19日 14時49分05秒 | 健康・病気

先進国で唯一「がん死」が増加する日本の悲劇 早期発見できれば95%治せる病気なのに…

 
2018/06/19 12:16
 

世の中には、実に多種多様な「健康書」が氾濫している。しかし医者によって言っていることも大きく違い、何を信じたらいいのかわからない。「人生100年」時代、本当に信頼できて、誰でもお金を掛けずに毎日できる簡単な健康習慣とは、いったいどのようなものなのか。

4月26日、東洋経済オンラインのメルマガでもおなじみのムーギー・キム氏の渾身の著作『最強の健康法―世界レベルの名医の本音を全部まとめてみた』(SBクリエイティブ)が、『ベスト・パフォーマンス編』と『病気にならない最先端科学編』の2冊セットで刊行された。本書は日本を代表する50名に上る名医・健康専門家による直接解説を、東大医学部で教鞭をとる中川恵一氏、順天堂大で教鞭をとる堀江重郎氏が二重三重にその正確性をチェックしたうえで制作されている。

東洋経済オンラインでは同書を元に、多くの名医たちが実践しているおカネの掛からない確かな健康法を紹介していく。最終回は、最善のがん治療法を解説する。

病気は予防するに越したことはない。それはがんも同様である。がんとは、遺伝子が傷つき、突然変異を起こした細胞が、とめどなく増殖し、臓器を侵食し、毒素を血中や全身にばらまく病気である。

発がんリスクを高める要因とは?

 B型・C型肝炎ウイルスなどへの感染も、発がんリスクを高めるという。東京大学医学部附属病院放射線科准教授・中川恵一氏はこう解説する。

 「B型・C型肝炎ウイルスが肝臓がん、ヒトパピローマウイルスが子宮頸がん、ヘリコバクターピロリ菌が胃がん、というようにウイルスや細菌などの持続的な感染によって、慢性的な炎症が起こり、細胞の遺伝子が損傷しやすい臓器環境が生じることでも、がんは発生します

 ワクチンなどによる感染予防や、治療による感染体の駆除が行われる。持続感染は症状がないことも多いため、感染の有無を知っておくことも非常に重要である。

 「がんは、早期発見できれば95%治せる病気です。日本は先進国で唯一、がん死が増えている国。アメリカに比べると1.6倍もの割合で人々ががんで亡くなっていますが、これは両国の『がんリテラシー』の違いがもたらす結果とも考えられます

 なぜ中川氏が「早期発見、早期治療、標準治療の選択、そのためのリテラシーが大事」と力説するのか。それは効果のあやしい代替・民間医療に走るがん患者が多いからだという。

 がんの「標準治療」とは、手術、抗がん剤、放射線などの科学的根拠のある治療法のことを指す。対する「代替治療」は、これ以外のすべてのがん治療のことである。

 すい臓がんで亡くなったアップルの共同創業者、スティーブ・ジョブズは、がん罹患時にいくつか手術を受けたものの、基本的には西洋的な現代医療を拒否し、菜食主義を貫きながら、鍼灸治療、ハーブ療法、光療法などの自然療法や伝承療法に関心を抱いていたといわれている。

 「実は、ジョブズのすい臓がんは、神経内分泌腫瘍というもので、すい臓がんのなかでは比較的良性に近いものです。すぐに手術を受けていれば、生きることができたでしょう」

手術・抗がん剤・放射線治療が「がん治療の三本柱」

 がん治療は毀誉褒貶が激しい。中川氏はこう話す。

 「がん治療の発展は日進月歩と巷では言われているようですが、約30年間、がん治療の研究に携わってきた私からすると、日進月歩というほどではありません。目新しい治療法が、劇的に効果を上げているとはいいがたいですね。

 もちろん、内視鏡手術や放射線治療の技術革新は進んでいますが、それはあくまでマイナーチェンジの積み重ねであり、がん治療には手術・抗がん剤・放射線治療が三本柱という本質は変わっていません」

 手術、抗がん剤、放射線治療以外で、現在、科学的に有効性が実証されているのは「免疫チェックポイント阻害剤」による治療だという。

 「がん細胞にとっては体の免疫機能が最大の脅威ですから、がん細胞から免疫細胞に、『自分を攻撃するな』というシグナルのようなものを出しています。

 免疫チェックポイント阻害剤とは、一言でいえば、そのシグナルを阻害する薬を投与するというもの。そうすることで、がん細胞に対しても免疫機能がしっかり働くようにする治療法です

 専門医の知見から、現時点で有効と考えていい新治療法は、免疫チェックポイント阻害剤くらいだそうだ。

放射線治療なら「寝ているだけでいい」

 中川氏によれば、「放射線治療は体を切り刻むことなく、入院もせず、がんを治せる治療法」だ。

 「欧米ではがん患者の6割以上が放射線治療を受けますが、日本では3割以下。放射線治療は、95%が通院による治療です。たとえば肺がんなら4回、前立腺がんなら5回の通院で、しかも1回あたりの正味の治療時間は2分程度。患者さんは痛みも感じず、寝ているだけでいいのです」

 それでは実際にがんになったら、どのように治療法を選んだらいいのだろう。中川氏は放射線治療のスペシャリストだが、かといって放射線治療一択というわけではない。

 「がんが見つかった部位によって、とるべき治療法は異なります。がんは部位によって違う病気と考えたほうがいいですね。まず、『血液のがん』と呼ばれる白血病や、悪性リンパ腫、肺の小細胞がん、精巣がんなどは抗がん剤が中心です」

 今、挙がったもの以外の固形がんは、薬だけでは治らないという。したがって手術か放射線治療かという選択肢になる。ケース・バイ・ケースとはいえ、まず一つ、目安として覚えておきたい。

 では、手術か放射線治療かとなった場合、どう選べばいいのか。これにもがんが見つかった部位による目安があるという。

 「胃や腸にできたがんには手術が向いています。これら以外のがんは、実はすべて放射線でいいと考えていいでしょう。びっくりするかもしれませんが、医療先進国である欧米では、これがスタンダードなのです。

 たとえば食道がんで手術になったとします。食道は取り除き、胃を管状に作って食道の代わりに頸部へとつなげます。すると術後たいていは、かなり痩せてしまいます。放射線治療でがん細胞を叩いてしまえば、これほどの負担は生じません」

治療法の選択次第で人生の過ごし方が変わる

 中川氏はさらにこう続ける。

 「もう一つ顕著な例を挙げるとしたら、喉頭がんのようなのどにできるがんです。これこそ手術か放射線治療かで、その後が大きく異なります。早期発見でき、放射線で治療した人は声が出せますが、進行している場合は声帯をとることになります。治療法の選択次第で、その後の人生の過ごし方は大きく異なってくるのです」

 その後の人生まで含めて考え、治療法を選び、がんになる前後の生活の差をなるべくなくしていくことが、本当にがんに打ち勝つということなのである。

 そう考えるにつけ、とにかく定期的にがん検診を受けること、そして治療法に関するリテラシーを高めて、あやしげな代替療法に安易に走らないように気をつけたいものである。


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