長野県池田町は臨時休校を、国の要請通りの2日からではなく、2日遅れの4日から実施する。

 同町の竹内延彦教育長(53)は、自身のフェイスブック(FB)で国の方針に反する決定に至った背景や理由などを詳細に説明。全国から反響が相次いだ。朝日新聞の取材に「ささやかな抵抗かもしれないが、上意下達にそのまま従う気持ちはなかった」と振り返った。

 国の要請は突然だった。2月27日夜、首相が表明したことを伝えるニュースを聞き、翌28日午前、急きょ甕(もたい)聖章(きよあき)町長、竹内教育長、町内の小中学校校長3人らが集まった。出した結論は「4日から」。この時点では「他市町村も2日からの実施は難しいだろう」と考えたという。

 2日間の猶予を持たせたのは「まず子どもたちに少しでも気持ちの準備をさせたかった」からだ。「年度末ギリギリの3月に突然『学校は明日でおしまいです』と言われた子どもたちの気持ちを想像するに、国に言われるがままに『月曜から休め』とは、私はとても言いたくない」

 現場の先生たちにも「2日からは乱暴すぎる」、保護者にも「仕事の調整などの準備期間が最低限必要」と考えた。「2日から休めば、保護者に『国や県がそうしろと言っている』という以外の答えは思い浮かばず、私の信条に反する」。結果的に国の方針に反したが、現実的な判断ができたと考えていると話す。

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 FBには29日明け方に投稿。県内外から400近いシェアがあり、これまで多くても10~20だっただけに反響の大きさに驚いたという。竹内教育長はこう強調した。「私自身の言葉で保護者や地域の方々にしっかり説明したかった。その思いですよ」

 竹内教育長は東御市出身。筑波大と同大学院で臨床心理学を学び、フリースクールや企業、NPO法人、長野県職員を経て、2019年1月から池田町の教育長。