2023/10/26付の「乗りものニュース」に、「「芸備線と伯備線ショートカット道路」一部開通延期へ 国道183号の峠部 そもそもどんな道路に?」という記事が掲載されました。
記事のもとになった中国地方整備局三次河川国道事務所の2023/10/23付のリリース文はこちらです。
これまでは全区間について2025年度開通予定としていたのが、広島県側の区間で大幅な法面対策工が必要となり、それに3年程度の期間を要するため開通見込みが取り消しになったとのこと。
この「鍵掛峠道路」は、現在の国道183号を改良する形で整備中の広島県備北地域と鳥取県西部を連絡する地域高規格道路「江府三次道路」の一部で、鳥取・広島県境のトンネルを中心とする「鍵掛峠区間」と広島県側の急勾配・急カーブを回避するための「高尾三坂区間」からなります。
https://www.cgr.mlit.go.jp/miyoshi/michi/ro06.html
2021年度末の「再評価結果(令和4年度事業継続箇所)」によれば、
https://www.mlit.go.jp/road/ir/ir-hyouka/r3sai/2_r3_113.pdf
全体事業費=約333億円
用地進捗率(2021年3月末時点)=97%
事業進捗率(2021年3月末時点)=38%
となっています。
鍵掛峠区間のほうが高尾三坂区間より4年3か月も遅い2005年3月に整備区間に指定されましたが、進捗は現時点では長大トンネルを含む鍵掛峠区間のほうが順調で、今回の工期見直しでほぼ確実に(トンネル工事で大きなトラブルが発生しない限り)先に開通することになりました。走行する車両(特に冬期の大型車)にとっては、標高の高い峠区間の回避のほうがよりありがたいはずですね。
また、高尾三坂区間のルートを見ると、(山陰側から走った場合)猫山スキー場入り口付近から南は現在の国道183号と全く異なるルートを取り、JR芸備線の道後山駅付近で国道314号に突き当たり、右折後そのまま4kmほど国道314号を走ってようやく備後落合駅付近で現在の国道183号と交わる形となります。したがって、対庄原市中心部・三次市中心部であれば、走行距離は現在より長くなりそうです。
ちなみに、国道183号の単独区間は全て県管理となっており、江府三次道路の鳥取県内区間の整備は県の事業です。うち生山道路4.6kmは2005年開通、次いで2005年に事業に着手した江府道路4.1kmは延長約2.6kmの久連トンネルがメインで2023年4月時点の進捗状況は約5割程度となっています。一方、鍵掛峠道路は全区間国が代行する形で事業が進められており、開通し次第鳥取・広島の両県に引き渡されるものと思われます。