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いかるがパークウェイ(斑鳩バイパス)が全通メドなしの背景

世界遺産法隆寺の門前を東西に通過する(GoogleMapはこちら)国道25号は、奈良県の平野部の東西拠点(奈良市・大和郡山市・王寺町周辺)を結ぶ幹線道路ですが、平面の2車線道路が延々続くためキャパオーバー状態で慢性的な渋滞が発生しており、早くから法隆寺周辺を含む斑鳩町中心部を回避するバイパス道路の必要性が認識されていました。

その斑鳩バイパス<総延長4.7km>は1967年に都市計画決定し、1972年に事業化しましたが、

https://www.kkr.mlit.go.jp/nara/jigyou/kaichiku/ikaruga.html

実際に用地買収に着手したのは事業化から四半世紀後の1998年度であり、その際に「いかるがパークウェイ」という愛称が設定されました。

まず2001年に僅か0.4kmのモデル区間について工事に着手し、2004年3月に開通しました。その後、モデル区間の西側に連なる区間の整備が進み、2014年3月に0.7km・2020年8月に0.4kmと開通したことにより、渋滞スポットの1つであった竜田大橋交差点を回避することが可能になりました。

しかし、残り3.2kmは事業化から50年以上経過しても供用開始のメドが立っておらず、特にJR法隆寺駅北側から東の2.4km区間は実質未着手の状態です。近畿地方整備局奈良国道事務所のサイトには「いかるがパークウェイ整備状況」のコーナーが設けられていますが、2020/12/28(2020年8月に部分開通した区間の側道部等の工事完了)以降は更新されておらず、モデル区間の東側に連なる部分の工事が全く進んでいないことの傍証となります。

計画区間は部分的に都市化の進んだ平野部であり、事業進捗の最大のネックは、もちろん計画区間周辺の住民の大反対です。

近畿地方整備局の平成25年度第2回事業評価監視委員会で諮られた資料によれば、

https://www.kkr.mlit.go.jp/plan/ippan/zigyohyoka/ol9a8v000000dfxl-att/10.pdf (7ページ目の「3.事業進捗の見込みの視点」参照)

事業化翌年の1973年度に沿道10自治会による「斑鳩バイパス計画白紙撤回要求協議会」が設立され、1979年度に国・県・町からなる「斑鳩バイパス関連三者会議」が設置され調整を進めたものの、1989年度に開催した沿道自治会説明会は7自治会について開催が拒否される始末でした。それでも西側区間(9工区区間)については徐々に沿線自治会の態度が軟化し、2013年段階で強硬に反対しているのは実質2自治会(竜田川の西側と法隆寺駅の北側)のみとなっていました。

その3年後に開催された平成28年度第4回事業評価監視委員会で諮られた資料によれば、

https://www.kkr.mlit.go.jp/plan/ippan/zigyohyoka/ol9a8v000000cey9-att/12.pdf (6ページ目の「前回評価時の附帯意見への対応」参照)

竜田川の西側の自治会が反対運動から離脱したことにより「斑鳩バイパス計画白紙撤回要求協議会」は解散となったものの、残る法隆寺駅北側についてはこの時点でも引き続き強硬に反対を継続しており、東側半分の8工区は未着手のままでした。この資料によれば、8工区区間の整備を取りやめる代わりに並行区間の現道を4車線化するなどの対案も出されていますが、結論としては当初計画通りに進めることになっています。

そして、さらに5年後に開催された令和3年度第4回事業評価監視委員会で諮られた資料によれば、

https://www.kkr.mlit.go.jp/plan/ippan/zigyohyoka/ol9a8v000004b2je-att/no.6.pdf (11ページ目の「4.前回評価時の附帯意見への対応」参照)

反対する1自治会への住民説明会は2019年に開催できたものの、反対の姿勢は崩せていません。

そして、上記資料時点では「2016年~2021年の間に全体の事業進捗率は約31%から約46%に、用地進捗率は約40%から約54%にアップした」とはいうものの、東側半分の8工区は相変わらず「地元設計協議を推進」の段階で工事には何も着手できていません。

ということで、2023/11/4に9工区区間に赴きました。追って当ブログで報告予定です。

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