国道57号から国道251号が分岐する地点から先、愛野森山バイパスは2013年12月に、吾妻愛野バイパスは2017年12月にそれぞれ開通しています。
ただ、GoogleMapを見ればわかるように、吾妻愛野バイパスの(諫早側から見た)終点のランプは「雲仙グリーンロード」という2車線道路に接続しており、その道路はそのままゆるかやなカーブを描きながら雲仙の北麓を島原市方面に延々と通じています。そして、地図上では島原市街地の北西の三会ICから道なりにそのまま「がまだすロード」につながっているように描かれています。
愛野森山バイパス・吾妻愛野バイパスおよび雲仙グリーンロードとの接続付近のGoogleMap
したがって、このブログを書いている時点でも島原道路はこの「雲仙グリーンロード」を介してつながっている形ですが、島原道路を紹介する道路関係の部署のサイトでは表現されていません。それもそのはず、これは農業関係の予算で整備した「広域農道」だからです・・・ 手元にある2000年現在の九州の道路地図でも既に完成済になっていました。
Wikipediaでは、広域農道は「農村地域に散在する農地を一つの団地と捉え、集出荷・加工プロセスの一元化などにより産地としての市場競争力を高めることを目的とした農道。都市に対する環状道路もしくは幹線道路に対するバイパスとしての機能を持つこともあり、農村における生活水準の改善に資するとされる。この事業を「広域営農団地農道整備事業」と言い、その道路を一般に広域農道とよぶ。」と解説されています。雲仙グリーンロードは島原半島一円の農業の活性化のために整備されたもので、その主目的は農産物や農業資材などの効率的な輸送への寄与ですが、農業関係以外の自動車の通行を拒絶するものではなく、実質的には人口が集積する海岸沿いを通り交通量の多い国道251号のバイパスとして20年以上機能しています。
ただ、カーブやアップダウンの多さ、それに他の道路と平面交差が基本なため速度面や安全面で高規格道路に比べれば大きく見劣りしており、道路行政の立場では「ミッシングリンク」以外の何物でもありません。
さて、そのミッシングリンクの西側約6kmに相当する瑞穂吾妻バイパスは2016年度に事業化されており、2021年6月に創刊された「瑞穂吾妻バイパス 通信」の第4号(2022年12月発行)によれば、既に10箇所で工事が進められており、吾妻西IC付近では既に用地買収が完了しているとのことです。
そして、南側約3kmに相当する出平有明バイパスは2013年に事業化されており、2021年度の国土交通省による再評価結果によれば、用地取得率83%、事業進捗率57%とのこと。長崎県のサイトでは出平ICの完成予想図やIC定点写真が掲載されていますが、これは現在の三会IC付近とその南側の道路を改築して新たに出平有明バイパスと既開通区間(がまだすロード)を接続するために立体交差の本格的なインターチェンジを建設するもので、三会IC付近のストリートビュー(2022年9月時点)は、上で紹介した2018年4月時点のものと同じ場所には見えません・・・
一方、中間部約10kmの有明瑞穂バイパスは、2020年度に事業化されたばかりで、まだ本格的な工事には着手されていないようです。
(おわり)
なお、西彼杵道路については、2023/2/18の日並IC~時津IC間の開通後に連載開始予定です。
https://www.pref.nagasaki.jp/press-contents/589972/index.html