「虚」と「実」に観た日本文化の世界
精進料理とウナギのかば焼き 「虚」と「実」
―記載を省略―
ウナギのかば焼き 「虚」と「実」
江戸時代から日本人に親しまれてきた「かば焼き」は、毎年「土用の丑の日」に食する習慣が日本文化として根付いています。
姿かたちは同じくすれど、その実の中身は別物というのが茲での「虚」と「実」の食文化に見て取れます。
【報告書例文】新入セミナー「lk5179」
さんまのかば焼き 虚と実
[コメント]
「虚」の方は「ウナギのかば焼き」である。
見た目は、「鰻の蒲焼き」に似ているが味は全然違う。
作り方もうなぎと同じように、「かば焼き」風味にしている、この調理方法という点では一緒だが食材の魚自体が「さんま」と「うなぎ」と異なっています。いわゆる、「鰻の蒲焼き風秋刀魚の蒲焼き」となっています。魚は魚でも別々の食味を捉えて見ました。
【評価コメント】
夏真っ盛りのスタミナ源の食として、国産鰻の値段が高い故に、少しでも安く食そうと輸入うなぎを使って食すことも行われてきましたが、大坂では鰻味の「なまずの蒲焼き」(近畿大学農学部研究所)が開発されてきたりしています。まだ、「さんま」より食感が「鰻の蒲焼き」に近いこともあって、今後、更に注目される食材となっていくことではないでしょうか。食通の方々にとって此の「鰻の蒲焼き」はどう受け入れられ行くのでしょうか。とりわけ、海外の人にとって、この食文化をどう見詰めていくのかが今後の課題ともなりましょう。(萩原義雄記)
鰻よりおいしい?! ナマズの蒲焼き
http://www.asahi.com/and_M/interest/SDI2015052650911.html
文 関口一喜 2015年5月27日
写真:蒲焼きの鰻(上)とナマズ(奈良県大和郡山市の「うなぎの川はら」)
蒲焼きの鰻(上)とナマズ(奈良県大和郡山市の「うなぎの川はら」)
写真:二〇一四年十一月、近畿大学水産経済学研究室に届いたナマズを調理する有路准教授(左)と和田好平さん
二〇一四年十一月、近畿大学水産経済学研究室に届いたナマズを調理する有路准教授(左)と和田好平さん
写真:養殖ナマズ
養殖ナマズ
写真:サンデー毎日(毎日新聞出版)5月31日号
サンデー毎日(毎日新聞出版)5月31日号
クロマグロの完全養殖に成功した近畿大学が、今度は養鰻(ようまん)業者と共同で鰻(うなぎ)味のナマズの蒲(かば)焼きにチャレンジして、食べられるまでになったらしい。奈良県内の老舗「うなぎの川はら」で試験販売を始めて、一日限定10食が午前中に売り切れる日もある人気だという。うな重は3200円、“ナマズ重”は2000円という安さもあるが、客からは「見た目は変わらない」「味はあっさりしていておいしい」と好評だ。
『サンデー毎日』(5月31日号)が〈鰻のような「近大ナマズ」は土用丑(うし)の主役になるか〉と開発の舞台裏を伝えている。ナマズは、あの不細工な風体からはちょっと想像できないきれいな白身で、川魚料理店では天ぷらのタネとして重宝されてきた。ところが“鰻の蒲焼きもどき”ではその淡白さがネックになった。近畿大学水産経済学研究室の有路(ありじ)昌彦准教授が二年間探し、たどり着いたのが琵琶湖の北側で捕れるナマズだった。
「鰻よりおいしいと思った。漁師にお願いして捕まえて、蒲焼きにしてもらいました。焼いている間に炎が上がるくらい脂が乗り、食感はふっくらしていました。これはいける、と思いました」
別の産地のナマズでも試したが、独特の生臭さが強くまずかったという。そこで気付いたのが、水やえさなどの生育環境で味が全く異なることだった。有路准教授はテレビのワイドショー番組でこう話している。「三百種類ある市販のえさの中から成分をいろいろ調べていくわけです。『脂の乗りを良くするえさ』『肉をしっかりさせるえさ』と、複数のことを考えて7種類のえさに絞ったんです」
淡水魚用のえさを海水魚用に変えると、脂の乗ったこってりしたナマズの蒲焼きになった。
「えさで脂質とたんぱく質をコントロールして鰻に近づけました。蒲焼きにして再現できなかったのは、小骨がないことくらいでしょうか」(有路准教授)
今年の土用の丑は七月二十四日と八月五日だが、大手商社が間に合わせられないかと検討しているという。商品名はどう付けるのだろうか。「うなま」か?
近畿大学がウナギ味のなまずの蒲焼の開発に挑戦!
公開日: 2015/05/16 : 未分類 ナマズ, 奈良
マグロの養殖技術で注目されている近畿大学が、今度は「ウナギ味のナマズ」を開発しているという。
近畿大学農学部・有路准教授と鹿児島の養殖業者が取り組む「ウナギ味のナマズ」は和ナマズに脂質の多いエサを与え、もともと淡白な味のナマズを日本人好みの脂がのった身へと成長させるというもの。蒲焼として加工されたナマズの食感はウナギとほとんど変わらないといわれている。
もともとウナギの代替品として以前よりナマズは注目されていたが、天然のナマズは棲息環境やエサで焼くと生臭さが残る事も多く、養殖の研究は生育環境の違いにも及んだ。
ウナギの代わりにナマズを使うメリットは価格面の安さと安定供給のしやすさだ。世界的な不漁で二〇一一年に1キロあたり250万円と高騰したウナギの稚魚のニュースは記憶に新しい。現在は漁獲高も回復し価格も落ち着いているが、いつまた不漁になるかは分からない。その点、稚魚の管理のしやすい和ナマズは完全養殖が容易だ。
この「ウナギ味のナマズ」は二〇一五年五月より奈良県内の二つの店で一日二〇食限定で食べる事が出来るという。
気づかないところで案外、口にしているナマズ
ナマズは白身魚として提供される事が多く、主にフライなどに加工されてファーストフード店などで提供されている事もあり、実は日本人の舌にもすでに馴染んでいる魚。また日本だけでなくナマズは北米、南米をはじめ世界中で食べられているポピュラーな食用魚です。
管理釣り場での対象魚としてのナマズ
水温が上がる夏場(6月~9月中旬頃)の営業の対象魚としてナマズが期待された話は過去に何度か話に聞いた事があるが、現在でもなかなか定着してない所を見ると残念ながら管理釣り場での対象魚としてはあまり向いていないようだ。もともと日中より夜行性の性格もあって釣果にムラがあり、リリースの抵抗力も見た目よりは強くないようだ。
また、ニジマスをはじめとする渓流魚とナマズを同棲させてしまうと渓流魚が警戒心を抱いてしまうため、渓流魚の釣果が落ちてしまうという。
参考URL
近畿大学農学部
うなぎの川はら 大和郡山店・奈良店三条家
ナマズ
標準和名:ナマズ
学名:Silurus asotus
口ひげは四本(ただし幼魚では六本)。体長30~60cm。雌の方が雄より大型になる。日本のほぼ全土、台湾島、朝鮮半島を含むアジア大陸東部に分布。体色は通常全身が濃い褐色だが、周囲の状態によって多少体色の変化を呈する。鱗はなく体表は粘液に覆われウナギに近い。
本種は日本産ナマズ類三種の中では最も広域に分布する種である。河川、水路等にすむものは概ね本種である。日中は沿岸部、水草地帯、石垣の間などに潜み、夜間に活発に遊泳して小魚やエビなどを捕食する肉食魚である。
本種は地震の前に異常行動をとるとされているが、これは地震の前に地下で岩盤がずれる際に生じる微細な電流(地電流)を、この魚がいち早く察知するためと考えられている。
絶滅寸前ウナギに代わるのは、ナマズのかば焼き
ホントが知りたい食の安全 有路昌彦
日本経済新聞 2013/7/26 6:30
土用の丑もあり、ウナギのかば焼きが食べたくなるシーズンです。
しかし、実は今ウナギの資源は絶滅寸前。一番多かったときの10%を切る状態です。
消費者側から見ると、値段は上がったけれど、外食でもスーパーでもウナギは売っているので「本当になくなるの?」と思うかもしれません。
ウナギはもともと、滋養強壮のためだけに食べるものでした。ウナギがここまで当たり前に食べられるようになったのは、稚魚のシラスウナギからの養殖の確立に加え、マーケティングに成功したという側面があります。
丑の日だから「う」がついて精力のつくもの、ということでウナギなのですが、バレンタインデーのチョコレートのように記念日に関連づけたのがマーケティング成功の1つのカギです。もう1つは、蒲焼きのあの味を、作るのは難しいことが理由に挙げられます。
■世界のウナギが乱獲、10年はウナギを禁漁にすべき
日本ではなくてはならない存在になってしまったうなぎですが、日本以外ではウナギはポピュラーな食べ物ではありません。実は世界のウナギの7~8割は日本人が消費しています。
つまり、世界のウナギが乱獲された先は日本人の胃袋だったわけです。これがウナギが絶滅寸前に至った大きな理由の1つです。
2つ目の理由は、親となるウナギの生息環境が奪われたことにあります。ウナギは河川、湖沼、海を頻繁に行き来する魚なので、途中に堤防などの構造物があると生息域は一気に狭まります。川や用水路の石や岩の隙間にいるので、ここが三面ばりコンクリート側溝になると、住めなくなってしまうわけです。
3つ目の理由は、海流変化です。エルニーニョやラニーニャという現象によって海流が変わり、シラスが日本にたどり着けず死んでしまうケースが増えてしまったのです。
成魚ウナギの完全養殖は成功しているので、コストの壁を突き破って実用化してほしいと期待しています。しかし、実用化までにはまだ10年くらい時間がかかるでしょう。
だからこそ、この10年間は本質的には成魚もシラスも禁漁にすべきではないかというのが、資源分野の研究者としての見解です。しかし、禁漁しても密漁は後を絶ちません。なぜならば少なくなれば、少なくなるほどその値段は上がるため、密漁する人のインセンティブ(やろうとする意欲)は高まってしまうからです。
jk1234萩原義雄「わたしはウナギだ」お国話
http://www.unasige.com/unagizatugaku-tennen-syurui.html 「うなぎ雑学」を参照
魚扁に秋の旁字で「ウナキ」釣(つり)」の語として見えている。