忙中閑あり

日々のこと、ぽつぽつと綴っていきます‥

【俳句】猿と温泉

2016-01-23 | 日記

木曜日は 『 プレバト 』 の日! 

いつき組の云うところの  プレバト ナイト

Oh yeah 

 は

 「 猿と温泉 」    

長野県 地獄谷野猿公苑からー 

 

‥さて 、早速 ‥

 

第4位 山猿や我が家の風呂で初湯かな (45点)

      山猿が我が家の風呂に来て初湯

     「風呂」「初湯」が重なっている、というのは普通に思うこと

     この句の場合、強く訴えたいのは

     「私の風呂に事もあろうに」という思い

     あえて「風呂で」と言って、「初湯」という季語

     「風呂」は捨て石のような効果は持っている

     「や」「かな」 強い切れ字が二つ入っている

     ↑ すぐ上の言葉を強調する

     二つのことを強調すると感動の焦点がブレる

     = 嫌われる形

     むしろ、どちらもいらない

      山猿が我が家の風呂に来る初湯

     「何と私の風呂を猿が覗きに来ましたよ」

     ところが、「本当に風呂に入っていた」ことを言いたい

     ならば、1字変えて

      山猿が我が家の風呂に来て初湯

     こうすると猿は風呂に入ります

     「来る」だと「初湯」に掛かる

     「来て」だと「来て○○をする」という意味に繋がる

     「来て初湯をする」となる

     = 猿は完全に湯に浸かっている状態になる

 

第3位 湯にほてる猿がかぶるや雪帽子 (50点)

      湯にほてる猿や雪帽子のてんてん

      帽子はかぶるもの

      「かぶる」の3音がいらなくなったらそれをどうやって使うか

      「猿や」で1回カットを切る → 「湯にほてる猿や」

      湯に浸かった猿の映像はちゃんと確保できる

      そして 、この4音で猿の数を言うことができる

      「雪帽子の三つ」 → 「猿の親子かもしれない」

      「雪帽子のてんてん」 → 「お湯に散らばっている浸かっている」

       言葉の無駄遣いをしない

 

第2位 君想うひとひらの雪頬伝う (55点)

      失恋やひとひらの雪つたう頬

     少なくとも映像は描けている

     もったいない一点

     最後に動詞が入ると動きに焦点が行く

     「君」「雪」がクローズアップされた方が良い

     「伝う頬」とひっくり返した方が印象的な光景になる

     「つたう頬」とすると 、さらに優しい感じになる

      強調したい時は 体言止め

 

 

最下位 お湯と雪負のスパイラル落ちにけり (35点)

      浸かる湯と舞う雪の負のスパイラル

     「負のスパイラル」なら落ちていくはず

     「落ちにけり」はいらない → その字数で映像をつくる

 

ランキング 1位  は NON STYLE 石田さん

 湯の猿の群れの頭に積もる雪 (70点) 

 湯の猿の群れや頭に積もる雪

夏井いつき先生の解説~ 

当たり前の光景を当たり前に書いただけ

当たり前に映像を描くことすら出来ない人が凡人以下

丁寧に映像化している

自分がどう思ったかは全然入れないで

見た写真をそのまま見ていない人の脳の中にそのまま写し取る

これがやれるようになるまでに時間がかかる

「湯」があって「猿」がいた

「群れ」を作っていた

頭には積もっている雪がある

2カットの映像にすると空気が変わる

「湯や」 → 「湯の光景」だけがまず写ってカットが切れて「猿」がいる

「湯の猿や」 → 「湯」と「猿」が同時に1カッと目にあって

          それが「群れ」だと次に分かる

「湯の猿の群れや」 → 「猿の群れ」の光景まで映してカットを変えて

               頭に積もっている雪がクローズアップされる

切り方で効果が変わる

湯の猿の群れや頭に積もる雪

 

そして 、 今回も 特待生の昇格試験がっ!

ワンランク上の 厳しい査定に挑むのはっ!

特待生5級の キスマイ 横尾さんっ!

湯に浸かり人も猿も佳き元旦

夏井いつき先生の解説~ 

猿の写真から 、元旦と言う新年のおめでたい

華やぎも格調もある季語を見つけ出す 、これが特待生

中七・下五のところに 調べの技が入っている

「人も猿も」=6音 「佳き元旦」=6音 、中七・下五で12音

上五は五音 、全部足したら17音になっている

技にチャレンジしている 、 特待生としてちゃんと勉強している 

果たして 査定はっ ‥‥‥ 現状維持ーーっ!

言葉の無駄遣いは厳禁!

「湯に」と言ったら 「浸かっている」はず

湯に人も猿もこよなきお元日

いらん言葉入れちゃいかんよ 、特待生!

      ※ 「こよなき」 この上ない 格段に優れている 

もう一方 、ワンランク上の 厳しい査定に挑むのはっ! 

特待生4級の 梅沢富美男さんっ!

神が降りてきているそうでございますよっ!

湯気ましろましらましろよ雪見の湯

夏井いつき先生の解説~ 

「ましら=猿」を知っているだけでもポイントがある

「湯気」「真っ白」 当たり前のことだけど

「ましろ」「ましら」「ましろ」と調べを優雅に作り出している

最後に「雪」が出てきて「湯」があると分かる 、光景が整っていく

「湯気」の「ゆ」、「雪見」の「ゆ」、最後の「湯」

「ゆ」の音の韻も散らしてある

果たして 査定はっ ‥‥‥ ワンランク昇格ーーっ! 

何かのカタチでズルズル落ちろと思ってたけど ‥ 落ちない 、富沢さん

上を見る時のヒントとして1か所だけ

「雪見」は雪を愛でる遊び 、 「花見」や「月見」のように

この季語の中に 人間の存在が入ってきてしまう

この句の良い所は 、湯気の白と 猿の真っ白と 湯の透明感

色彩が綺麗で静かな存在が綺麗なのに

ここに人間の存在が入ると もったいない

「雪の出湯」 くらい納めておくと 粋

粋 、という最後のところが

このおっちゃんには 永遠に分からなければ良いな 


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