木曜日は 『 プレバト 』 の日!
いつき組の云うところの プレバト ナイト
Oh yeah ~
は
「 7月の京都 」
‥さて 、早速 ‥
第5位 水連花浮いてまつ朝長い夜 (30点)
朝をまつ水連に水匂いけり
「夜長」「長き夜」 秋の季語
秋の夜長のイメージが出てくる
要らない言葉だらけ
「水連」と言ったら「花」だと分かっている 「水連花」
「水連」→→水に浮く花 「浮いてまつ朝」
朝を待っている時間は、長い夜
「水連」「まつ朝」 17音のうち8音が必要なだけで、残りの9音は全く働いていない
「朝をまつ」「水連に水匂いけり」
未明の水の匂いが微かに闇の中からしてくる
夜明けとともに映像が見えてくる
最後、嗅覚に持ってくるだけでも広がる
第4位 下駄の緒の傷み忘れる京花火 (45点)
下駄の緒の痛み花火の始まりぬ
下駄の緒の痛み京都の花火の夜
発想を夜に持っていくのは悪くはない
ただ、発想を広げたつもりでも、季語「花火」で俳句を作ろうとした時の3点セットの発想
「下駄」「痛み」「花火」
「下駄の緒の痛み」の後に「忘れる」、何故かというと「花火」が始まったからです
こういう俳句は掃いて捨てるほどある
「下駄の緒の痛み」で映像のカットを切る 「忘れる」
「京花火の始まりぬ」
花火が始まった瞬間、この人はちょっとだけ痛みを忘れるのかもしれない
これくらいのことは読み手が理解してくれる
どうしても「京都」を入れたいのであれば
「下駄の緒の痛み忘れる京都の花火の夜」
あの花火の夜の、あの痛みの思い出、あの青春のデート
そんな気分が最後の「花火の夜」というところで出る
ベタな発想に陥らない
人と違う視点が俳句上達の第一歩
しかし、発想がベタでも想像をかき立てる表現に成功すれば味わい深い一句となる
第3位 二年坂浴衣の君と優暮れて (50点)
夕暮れ優し浴衣の君と二年坂
二年坂(二寧坂) 清水寺へと続く石畳の参道
「二年坂」場所、「浴衣」季語、「君」人物、「優」「暮れて」
全部入れると字余りになる
致し方なく字を余らせる時は上五で
鉄則 字余りの場合は冒頭の上五で
「優夕暮れて」→「夕暮れ優し」と上五に
光景と夕暮れの気分がスーッと融け合ってくる
誤解されない表現を
優しく暮れていく様子を「優暮れて」として漢字を間違えたと思われるのは損
誤解されないよう「夕暮れ優し」とはっきり表現する
第2位 夏空を背負って走る空車 (70点)
夏空を背負って来る空車
「空車」 乗っていないことがこの句の場合とても大事、いい言葉を見つけた
「夏空を背おう」 ちゃんと詩がある
「走る」 向こうからううやってくる映像を描けた方が、
作者の立っている位置、空車、その向こうに夏空、という構図を描いた方が
「背おう」に臨場感がも乗ってくる
「走来る」 向こうから来る、奥の方に夏空がある
作者の立ち位置がはきりする
「背おう」→「背負う」 重量感が出る
動詞ひとつで臨場感が変わる
空車が「走る」のではなく「来る」と明確に描くことでより臨場感が溢れる1句となる
第1位 炎天に塔の影行く人力車 (75点)
炎天や塔の影行く人力車
「炎天に」 問題があるのは「に」だけ
それ以外は大変素晴らしい
写真を見た時の自分の感覚をストレートに素直に受け止めている
「炎天」 強い日差しの季語
さらに上手いのが、中七 「塔の影行く」
炎天によって塔の影が石畳や地面に映る
その塔の影の上を人力車が走っていく
走る人力車の背後に塔の実物がある
一挙に伝える、見事な描写力
「炎天にや」 上五の最後に「に」がきた時は 場所を指さす
説明的になるので要注意の助詞
炎天を強調する、カットも切れて映像がくっきりする
特待生に上がってもやっていける、特待生昇格
そして 、 ワンランク上の 厳しい査定に挑むのはっ!
特待生3級の FUJIWARA 藤本さんっ!
長刀鉾雲裂き進みぎしぎしと
長刀鉾雲裂き進むぎしぎしと
特待生らしい発想の広げ方
真ん中の比喩が良い、長刀鉾以外のものではこのようにはならない
ぎしぎしと
オノマトペ 擬音語・擬態語
丁寧に抑えながら一句を整えている
果たして 査定はっ ‥‥‥ 現状維持ーっ!
切れが悪い!
最後も切れが無い
長刀鉾の勇壮な姿を描いている句の内容に対して、調べがだらけている
しっかりと切れをいれないといけない
切れの効果はとっても大事な効果
「雲裂き進みむ」
切れ・調べ、内容に合ったものを選び取るというのは特待生の大事なこと
もう一方は、名人初段の 梅沢富美男さんっ!
朝まだき町家ににボレロ蝉しぐれ
朝まだき町家蝉しぐれのボレロ
朝まだき 早朝・夜の明けきらないころ
「朝まだき」という時間の情報、「町家」という場所
情報を住み分けしているところも確か
「蝉しぐれ」を「ボレロ」に例える、なかなかオシャレ
果たして 査定はっ ‥‥‥ 現状維持ーっ!
降格しますか?ギリギリの現状維持!
助詞の使い方に問題がある
「町家にボレロ」
ここで「に」を使うことによって、「町家」に「ボレロ」「蝉しぐれ」と単語が2つ繋がる
となると、町家にボレロが流れてきた、蝉しぐれも流れてきた、と読む人も出てくる
「ボレロ」というのは「蝉しぐれ」の比喩だと分かるようにしないといけない
「町家に」といちいち言わなくても省略できる
「に」を不用意に使うようでは名人の資格はない
「に」の1音を上手に使うと「ボレロ」と「蝉しぐれ」が同時に流れてこない状況にできる
「朝まだき町家に」「蝉しぐれのボレロ」