木槿が今年も咲いた
朝に咲き夕にはしぼんでしまう一日花
儚い花の命を日本の茶人は好んだ
特に宗丹の好んだ宗丹木槿は
中心が紅い離弁花で茶人に特に好まれた
大きく成長した槿垣の家を通るときは
家人の心意気が感じられてうれしくなる
同じ葵科の葵も夏の空に似合っている
立葵の元気な風情も捨てがたいが
木槿の持つ奥ゆかしさには太刀打ちできない
底紅と言われ 内に秘めた美として好まれた
木槿の街路樹の下を通るとき幸せな気分になる
同じ花がお隣りの国韓国では
まるで違った解釈をされていることを最近知った
木槿は韓国の国花である
戦争が始まろうとしたころ
日本兵がメインストリートに咲いていた槿の木を
片っ端から切りとり日本の国花の桜を植えたという
韓国の人びとは宗丹木槿は
日本の国旗のように映るらしい
木槿の中心の紅色は血の色という
昔 日本人がおこなった行為に対する憎しみの花が
木槿であるという
韓国で長い間仕事をしていたTさんが 教えてくれた
私たちは何も知らされないで育ってきた
戦後六十一年たった今でも
何かのおりにふと溢れ出る
日本への根深い感情がなぜか
少しわかった
18. 8.15 記