■「鞆の浦」工事差し止め=景観「国民の財産」と初判断-調査、検討不十分・広島地裁(時事通信) - goo ニュース
広島県福山市の景勝地「鞆(とも)の浦」の埋め立て・架橋計画について、住民ら約160人が歴史的景観が損なわれるとして、県を相手取り、埋め立て免許交付の差し止めを求めた訴訟の判決が1日、広島地裁であった。能勢顕男裁判長は鞆の浦の景観は「国民の財産というべき公益」と指摘、事業の必要性に関する調査、検討が不十分だとして、被告側に許可しないよう命じた。
アニメ『崖の上のポニョ』のモデルになった町、広島県福山市鞆(とも)の浦の「開発か、歴史的景観か」という裁判。司法は景観を守るべきという、結論を出しました。
まずは、本当によかったと思います。
しかし、ニュースを見ていて思ったことは、この問題は単なる開発や環境問題というより、車社会の弊害がもたらした、車社会問題なのだということです。
そもそも、この景観をあえて壊してまで海を埋め立て、橋をかけようとしたのは、昔ながらの狭い街並みに、観光客の車があふれかえって慢性的な渋滞が起こり、緊急車両すら入れないという、その問題からだということです。
上から見た、鞆の浦(写真:毎日jp)
上から撮った写真を見ると、海に向かって四方八方から車がやってくれば渋滞が起こらないわけがないという動線だと、素人なりにも思えますから。
ですから、この渋滞問題を解決しない限り、たとえ司法が決着をつけても住民の中に不満がくすぶり続け、住民同士のしこりが消えるわけではありません。
たとえば、ディズニーランドの中では、怒りながら歩いている人を見たことがありません。あれは、商業的な非日常な夢の世界だからと言えば、それまでですが、すべてとは言わなくても、ディズニーランドのやり方はものすごく参考になると思います。
ディズニーランドの中まで車で乗り入れ可で、もし観光客の車であふれかえっていたら、うんざりでしょう。
あそこでは、車のストレスがないから、子供たちがどの道を走り回っても親は、目を吊り上げて「飛び出すな~!」と叫ばなくてもいいのです。
古民家の軒先に掲げられた「崖の上のポニョ」ののれん
ゆったり歩ける街じゃなければ、住み心地も悪い
(写真:広島県福山市で毎日jp)
パーク&ライドとは、途中まで車で来て、その町に入る際は車を降りてバスなり電車なりの公共交通に乗り換えることです。
東京ディズニーリゾートも、この方式に近いですよね。ディズニーランドや、ディズニーシー、ホテルなどを結ぶのは、ミッキーの顔の形の窓の付いているモノレール。
また、施設内では、ポップなバスやレトロな船が人々の移動を助けてくれます。
もちろん一般住民が住んでいる町と商業施設を同じにすることはできませんが、発想をちょっと転換すれば、アイデア次第で、もっと車の総量を減らすことができるはず。総量を減らせば、渋滞だけじゃなくて、排気ガスもCO2もストレスも減らせるし。
住民の方たちには、カーシェアリングという手もある。
とりあえず、みんな考えることかもしれませんが、ポニョのお船はかわいいでしょうし、宮崎駿さんつながりで、猫バス仕様のバス(あるいはポニョ仕様)がいつも巡回していたら、観光客は、町の中に入る前に自分の車を降りて、喜んで乗ってくれるんじゃないでしょうか。
でも、まあ、海を埋め立てて、車のための橋をかけるというくらいの巨額な予算があるなら、知恵を絞れば、もっとよいアイデアは出てくるでしょう。
ポニョの作者、宮崎駿さんも、「鞆の浦の問題だけではなく、今後の日本をどのようにしていくかを決める判決だ」と、述べていました。
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■「勝った負けたでなく、双方が話を」=「ポニョ」構想の宮崎監督-鞆の浦訴訟(時事通信) - goo ニュース
私もこの判決が日本のターニングポイントとなり、今後の鞆の浦の町づくりが車社会からの脱却のモデルケースになればいいなと願っています。