マイナ保険証に切り替えることで、河野大臣は、病院が変わっても、過去の病歴や薬の使用歴がわかって、便利になると言っていたけど、そもそも直近1ヶ月くらい前に飲んだ薬や病歴のデータは、わからないし、そういうことは紙の保険証でもできる事だったそうです。
マイナ保険証の「メリット」は“真っ赤なウソ”だった?…“政府資料”が物語る医療現場での「役立たずな実態」とは | 弁護士JPニュース
現行の保険証を廃止してマイナンバーカードに保険証の機能を統合する「マイナ保険証への一本化」が12月2日に迫っている。他方で、マイナ保険証の利用率は低調に推移しており...
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(記事抜粋)
政府がCMで「真っ赤なウソ」を喧伝
それはともかく、2024年2月16 日からテレビCMも大々的に始まりました。YouTubeや新宿の屋外の大型ディスプレイでも流れていました。ところが、そのCMの内容が誇大広告を通り越して、真っ赤なウソなのです。
民間のサービスなら、消費生活センターに苦情を持ち込めるレベルにひどいのです。
CMはいくつかのタイプがあるのですが、その一つが、「患者本人がこれまで別の病院で受けた診療内容を忘れてしまっても、マイナ保険証に紐づいた過去の診療内容を病院側で共有して確認できるので安心だ」とアピールするものです。
見逃していけないのは「過去」の診療内容を共有できるとしている点です。なぜわざわざ「過去」のとしているかというと、「最新」の診療内容は共有できないからです。
共有できるのが役に立たない過去の情報にもかかわらず、CMの最後にアニメの患者に「安心」だと言わせているのは、景表法が禁じている「優良誤認」(景表法5条1号)と言っても構わないでしょう。
ここで基本的な話をしておくと、最新の診療内容が共有できない原因は、次に申し上げるように根本の仕組み自体にあるので、ちょっとやそっとのことで解決できません。
マイナ保険証で「最新の診療内容」の共有は“不可能”
マイナ保険証で喧伝される「医療情報」とは、保険医療行為が行われたあと、その医療機関が指定の基金などに診療報酬の残り(3割は患者負担だから提供サービス価格の残りの7割)を請求した際に登録されるデータが元になっています。
この診療報酬請求のプロセスを少し詳細に見ておくと、医療機関が診療報酬点数を計算したものを診療報酬明細書(レセプト)にして社会保険診療報酬支払基金などに送り、間違いがないかどうか審査を受けます。
この際、不備がある際には差し戻しになったりしますが、審査が通ったレセプトは支払基金から管轄の保険組合(会社の健保や自治体の健保)に回り、それに基づいて保険組合が医療機関に診療報酬を支払います。
全国のすべての医療機関を横断して共有できる患者の医療情報は、このレセプトに書かれた診療内容を蓄積したデータベースが元になっています。このデータベースがマイナ保険証に紐づけられています。
レセプトの処理は1か月分をまとめて支払基金に送られ、さらに審査に時間がかかるので、診療が行われてからその医療情報が共有されるまでに、1か月半程度はかかるといわれています(この期間には幅がありますので、少し短い場合もあればもっとかかる場合もあります)。
したがって、マイナ保険証に紐づいているデータベースを見ても、少なくとも直近1か月半ほどはどのような診療を受けたか、どのような薬が処方されたのかは確認できません。
医療従事者が1か月半前のデータを見て、人命に関わる判断ができると思うでしょうか。そういう意味でよりよい医療が受けられるようになるというのはウソです。
ちなみに、このデータベースには健康保険証に記載されている被保険者番号からもアクセスできるので、仮にそのデータに便益があっても、その点でもマイナ保険証特有のものではありません。
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記事によると、リアルタイムに医療情報を共有するするためには、巨大な電子カルテシステムを作って共有する方法があるという。
しかし、肝心の電子カルテを使っている病院は、まだ全体の半分くらい(厚生労働省の資料によると、2020年の普及率は一般病院で57.2%、一般診療所で49.9%)だそう。
小規模病院や個人のクリニックなどでは電子カルテに便益を感じにくく、多額の金銭的負担もある。
また、電子カルテと一口にいっても2000年ごろから各医療機関がそれぞれに導入してきたために開発事業者が異なり、データの型がバラバラだというハードルがあり、それを標準化しなければ、医療機関を越えて共有できないのだと。
そんな事情があるにもかかわらず、嘘までついてマイナ保険証を年内に紙の保険証廃止に動く政府には、違和感しかない。
それに、そもそもが。この電子カルテシステムは、マイナ保険証とは何の関係もない、マイナンバーがないと共有できないという話ではない、というから、全くマイナ保険証を売り込むための詐欺みたいな話だ。
さらに、現実に起こっている、マイナ保険証のトラブルについて。
以下に抜粋します。
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救急医療の足を引っ張るマイナ保険証
ここまでマイナ保険証を活用しても、医療の質が向上しないことを説明してきました。しかし、問題はそれにとどまらず、医療の質を低下させる事態も起こり得ます。
それは、マイナ保険証を「救急医療」に利用することによって生じる事態です。
マイナ保険証の救急医療への利用とは、交通事故や心筋梗塞、脳梗塞などで救急車が出動した際、「傷病者が意識のない状態であっても、マイナ保険証でマイナポータルにログインすれば資格確認もできるし、過去の診療履歴や投薬履歴を得られるので、適切な救急活動が迅速にできる」というものです。
しかし、これが「外に出して恥をかく前に誰か止めなかったのかな」と思ってしまう話なのです。
すでに述べてきたとおり、マイナポータルにログインしても、最新の診療履歴も投薬履歴も得られません。最も新しい場合でも1か月半前の情報です。
直近1か月半の間に、どんな医療を受けて、どんな薬を飲んでいたかわからないような情報は、使い物になりません。
また、一刻を争う緊急事態にあって、資格確認なんて必要ないでしょう。マイナ保険証をカードリーダーで読んでマイナポータルにログインする作業は救急活動のじゃまになります。
認証に時間がかかりますし、エラーが出る場合もあり得ます。病院に到着するまでの搬送中に、できうる限りの救急処置を施さなければならない救急隊員が、マイナ保険証を扱っている暇などありません。
そもそも傷病者が全員、マイナンバーカードを携帯しているかどうかもわかりませんし、マイナンバーカードを持っていてもマイナ保険証に登録しているかもわかりません。
その一方で、全国のすべての救急車にカードリーダーを搭載しなければならないという大きなコストも発生しつつ、緊急時にあるかどうかもわからないカードを本人の身体からガサガサと探さないといけないのです。
なんらメリットがないだけでなく、救急活動を阻害し、医療の質を低下させるのは目に見えています。
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記事はこのあと、「マイナ保険証のせいで救急隊の活動が「6分26秒」も遅延」という事実を突きつける。
消防庁が実施に向けて、実際の救急活動においてマイナ保険証を活用した実証実験を2022年度に行った。
そして従来の救急活動と、マイナ保険証を利用した救急活動を比較するというもの。
詳しくはリンク記事に任せますが、その結果。
救急車が現場に到着してから出発するまでの時間が、マイナ保険証を利用したほうが6分26秒長くなるということが実証されてしまったのだと。
全く何のためのマイナ保険証なのか、一分一秒を争う救急医療においては、不便極まりない、本末転倒ではないですか。
※尚、上記記事の内容は、北畠淳也著 「マイナ保険証6つの嘘」を元にしてまとめられているそうです。
↓
マイナ保険証 6つの嘘 北畑 淳也(著) - せせらぎ出版
今の日本は政治や社会の劣化が進む危機的な状況にあります。その劣化が具体的にどういうものかを確認する上で、マイナ保険証をめぐる話題は象徴的な問題であり、その他の問...
版元ドットコム
そう言えば、余談ですが、世界に先駆けてデジタル化を進めた教育先進国フィンランドでは、今、教育現場で「脱デジタル化」が始まっている、つまりノートと教科書の勉強に戻ってきたようです。
理由は、デジタル化によって、逆に子どもたちの学力が下がってしまったから。
フィンランドの学校で始まった「脱デジタル化」 ノートPC無償配布も、学習成果は低下(ロイター) - Yahoo!ニュース
近年、学校教育現場のデジタル化が世界的に進んだ。先進的な取り組みと良好な結果で世界的に高い評価を得ている、フィンランドの公教育制度ももちろん例外ではない。ところ...
Yahoo!ニュース
ねえ、こうなったでしょうやっぱり。
デジタルの子どもへの影響をもう少し考えてから進めるべきでしたね。
→子どものスマホ・学力に差が出る?
→スマホは脳の機能に害があるby東北大加齢医学研究所所長
日本はデジタル化が遅れていると言うけれど、他国の失敗を見て学ベばいいのではないか。
(レプリコンワクチンにしても、なんでそんなにあせるのかって思います)
良いことも悪いことも、他国で起こっている、いろいろなパターンを知ることで、臨機応変に対応することだってできるのではないですか。
台湾のデジタル大臣オードリー・タン氏の言った「システムは一番弱い人に合わせる」良いこと言いますよね。
政治には、人々をすくい上げる「やさしさ」がなければならないと思う。
今の自公の行っている「経済こそ政治」という考え方には、賛成できません。
権力と経済界が結びついたら、ますます弱者は見捨てられる。選挙の時だけ殊勝なことを言いながら、当選したら裏金や汚職がまた出てくる。
政治は、何につけても、強者のおごりではなく、まず弱者への優しさを視点の真ん中において欲しいと、強く思います。