かすむ専守防衛
官邸主導で攻撃兵器選定
13日の東京新聞1面トップより
かすむ専守防衛 官邸主導で攻撃兵器選定
東京新聞 2018年11月13日
「いくらか分からないのに、われわれが予算承認しなければならないのはおかしい。国民の税金だということを考えろ」
昨年12月、自民党本部で開かれた国防部会。数日前に小野寺五典(いつのり)防衛相(当時)が導入を発表した、三種類の長距離巡航ミサイルの単価を答えない防衛省幹部に、議員らが口々に怒りをぶちまけた。
戦闘機F15に搭載する米国製の「JASSM(ジャズム)」と「LRASM(ロラズム)」は射程が900キロと長く、日本海から発射しても北朝鮮に到達する。F35に搭載するノルウェー製の「JSM(ジェイエスエム)」の射程は500キロで、最新鋭のF35はレーダーに映りにくい。
昨年8月の防衛予算の概算要求には入っていなかったが、同年11月のトランプ米大統領の来日後、与党議員への説明もそこそこに導入が発表され、国防族の怒りを買った。
荒れる国防部会。「予算を簡単にもらえると思うなよ。NSCとの関係はどうなんだ。説明しろ」。不満の矛先は、安倍政権で発足した国家安全保障会議(NSC)にも向けられた。
NSCは2013年12月、首相、官房長官、外相、防衛相を中心に組織された。翌年1月、実動部隊の国家安全保障局(NSS)が内閣官房に置かれると、防衛省からの積み上げで決まってきた兵器選定の主導権は事実上官邸に移った。
巡航ミサイルは相手ミサイルの射程圏外から攻撃でき、離れてにらみ合うという意味から「スタンド・オフ・ミサイル」とも呼ばれる。防衛省は「離島やイージス艦などを防衛するため」と強調するが、敵基地攻撃が可能なため、これまでの政権は専守防衛の観点から導入に慎重だった。
元航空自衛隊空将の織田(おりた)邦男氏は「スタンド・オフ・ミサイルの導入は(自民党と旧社会党の)55年体制なら絶対無理だった。それを軽々と超えてしまうのは、NSSができたメリットだと思う」と語る。
NSSには防衛、外務、警察の各省庁を中心に約70人が出向する。元外務次官の谷内(やち)正太郎局長を外務、防衛出身の二人の次長が支える。発足後、兵器調達面でも防衛政策が目に見える形で変化してきた。
本年度46億円の研究費がついた「高速滑空弾」や来年度にはエンジンの研究に64億円を要求している「極(ごく)超音速ミサイル」は、「いずれも攻撃的兵器と見なされる可能性が高いとして、机上の研究にとどまっていた」。防衛省で航空機開発を担当した元空将の山崎剛美(たかよし)氏はそう話す。
政策の転換は米国の望むところだ。米国務省の元高官は「日本は集団的自衛権を行使できるようになり真のパートナーになった。以前は日本が巡航ミサイルを導入するなんて想像できなかった」と喜ぶ。
NSSのある幹部は「総理や官邸の話を聞きながら防衛省が出す選択肢を示して、日本の安保や外交政策の中で、どれがいいかを考えていくだけだ」と官邸主導の兵器選定を否定した。だが、防衛省の幹部が内情を明かした。
「総理は『敵にやられっぱなしで、日本が守るしかないでは良くない。攻撃的な技術をやった方がいい』という考えだと周囲は受け止めている。NSSで『総理の意』をくんだ議論を重ね、防衛省に提示させたんだ」
◇
安倍政権で初めて五兆円を突破し、増大し続ける防衛費。官邸主導で米国から高額兵器を次々と輸入、攻撃型ミサイルの導入計画も進める。聖域化する予算の流れを追い、専守防衛を逸脱するかのように、米軍との一体化を急激に進める政権の内実を報告する。
------------------
戦後70年、先人たちの血と涙から生まれた平和憲法は、貶められ続けている。
安倍晋三、及び日本会議。彼らは、第二次世界大戦前夜の亡霊ともいえるだろう。
来日しているペンス米副大統領は、イスラエルの首都をエルサレムに移転させたキリスト教右派の福音派。傍若無人。今回はどんな要求があったのか。やな予感しかしない。
みんなの意見 http://ceron.jp/url/www.tokyo-np.co.jp/s/article/2018111390070411.html
■追記
11月14日続き・・・いらないと言っていたものを勝手に買う、しかも兵器ローンでツケを未来に先送り。
<税を追う>歯止めなき防衛費(2)コストより日米同盟 覆った偵察機導入中止
東京新聞2018年11月14日
(記事抜粋)
自衛隊の元幹部は「装備品の導入は現場で必要性を詰めることが重要。もともと現場はGH(米軍の無人偵察機グローバルホーク)をいらないと言っていたのに、トップダウンで決めてしまうのがNSSの弊害だ」と話す。
GH三機の年間の維持整備費は計百二十億円余り。かつて一時間飛ばすのに三百万円かかるという米側の試算もあった。日米同盟の名の下、兵器ローンのツケが国民に重くのしかかる。
東京新聞2018年11月14日
(記事抜粋)
自衛隊の元幹部は「装備品の導入は現場で必要性を詰めることが重要。もともと現場はGH(米軍の無人偵察機グローバルホーク)をいらないと言っていたのに、トップダウンで決めてしまうのがNSSの弊害だ」と話す。
GH三機の年間の維持整備費は計百二十億円余り。かつて一時間飛ばすのに三百万円かかるという米側の試算もあった。日米同盟の名の下、兵器ローンのツケが国民に重くのしかかる。