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チベット暴動と中国に内在する不満

2008年03月25日 | パワーかフォースか
今回のチベットの騒乱について、思ったことがあります。
共産主義の中国でありながら、資本主義の悪い部分が、チベット文化を壊しているという皮肉です。

■■ここで、チベット近代史について、ざっとおさらい。
1949年欧米からのチベットの解放を名目に、中国がチベット侵攻、1951年中国政府は、チベット政府に「平和解放」協定に無理やり調印をさせ、チベットを自治区に編入する。1959年、ラサでチベット蜂起したことにより、中国はチベット人87,000人を殺害して蜂起を鎮圧した。そのとき、ダライ・ラマ14世とともに80,000人のチベット人がインド亡命し、ダライラマ14世は、現在もインド北部のダラムサラに居住して、そこでチベット亡命政府を率いている。 


写真と図で見るチベット暴動(毎日jpより)


チベットの騒乱を見ていて、いつだったか見たドキュメンタリー番組を思い出しました。
チベット自治区は、チベット仏教の秘境の聖地という印象が強いが、現在は、中国経済の発展と共に鉄道が敷かれ、人の流れが頻繁になり観光地として進展しています。
観光客は中国国内のみならず、世界中から訪れています。かつて、質素につつましく暮らしていたチベット人たちは、グローバル経済、貨幣経済の荒波に飲み込まれてしまったようでありました。
漢民族のホテルのオーナーとそこで働くチベット人の間には、資本家と搾取される労働者の図式がありました。かつて産業革命の後、ヨーロッパが経験したような、資本主義の欠点がそのまま「たが」をはめる者のないまま横行しているような有様です。
お坊さんたちを言葉巧みにだまして、信仰の対象である仏像など買いあさり、土産として売ったり、ホテルの調度品として飾っています。チベット人も一時の大金に目がくらんで、先祖代々伝わる調度品や伝統品をいともたやすく売ってしまいます。それらは、ホテルの観光の目玉として、守るべき人も法律もないままあちらこちらに流出してしまっているのです。
ホテル側は、民族音楽の楽団員として、チベット人を雇うが、解雇も減給も思いのまま。民族音楽に対して何を根拠にへただ、と言うのかわからないけど、それを理由に給料を減らします。
文化がお金に換えられ、長い間培われたコミュニティは壊れ、持てる者持たないものの格差が広がり、お金がなくても助け合って生きられた社会が、お金がなくなると生きていられないという社会に、変わってしまった姿を知りました。

そんな番組が記憶の片隅にあったものだから、今回の動乱は、単なる独立を求めるチベット族というだけではなくて、経済発展の目覚しい中国の、広がる格差への不満と怒りという部分が多いのではないかと思いました。

くわえて、今年の中国の歴史的な大寒波が貧しい人たちにさらに追い討ちをかけてしまった。特に中国南部では深刻な被害と経済的損失がありました。チベット自治区のとなりの四川省では、大雪で餌環境が悪化し、国家指定の重要保護動物である五輪マスコットのチベットカモシカが大量死したというニュースを知りショックでした。ニュースによるとチベットカモシカだけでなく、同様に人間も家畜も被災し、凍傷者は2000人前後にのぼり、大量の家畜が死亡したといいます。
被災した人々に十分な援助がちゃんと届いているのかも疑問です。

漢民族とチベット人の間にある格差という構図は、中国人同士の間でも起こっており、追い詰められた貧しい人々も、国内での反政府行動をとりうる可能性もあります。
中国も内部から、変化せざる得ないときが、来ているのです。
いずれにしても、ミャンマー(ビルマ)のデモの時も思いましたが、国が武力でもって一方的に民を制圧する、こういうことを民主国家は決してやってはいけないのだと、国際世論が大きな声をあげていくことで、圧力になると思います。
 署名でダライ・ラマを支援できます

■中国の寒波被害
中国、豪雪で森林の10分の1を失う
中国南部の香港資本工場、大量閉鎖か
中国の寒波被害

■関連ニュース
クローズアップ2008:チベット暴動 強圧路線、不満爆発 「漢族支配」に危機感(毎日新聞)

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4 コメント

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えくぼさん (金木犀)
2008-03-27 22:44:39
こんばんは、えくぼさん。
署名ありがとうございました。

>中国の警官がチベット人に扮して、暴動を起こしたという情報もあります。

おっしゃるとおり、ダライ・ラマ法王日本代表部事務所のHPでは、その情報を公表していますね。

今、さらにそのサイトに、こんなことが・・
各家庭から1人連行、密告奨励も=チベット人への締め付け強化-中国
http://www.tibethouse.jp/news_release/2008/080326_tibet01.html
密告なんて、戦前の日本みたい・・・

もしこのまま、中国がさらに人権蹂躙をするなら、オリンピックもどうなるかわかりませんね。
政治とスポーツは別という考え方もあるけど、命とスポーツの優先順位は、当然あるべきだと思います。
返信する
ヘルメスさん (金木犀)
2008-03-27 22:25:24
こんばんは。
さすが高山病経験者は、目の付け所が違いますね(笑)

中国人警察官がチベット人に成りすまして、暴動を先導したという情報もあります。
http://www.tibethouse.jp/news_release/2008/080322_lhasa.html

反対に中国政府は、ダライラマが先導していると言っています。
http://news.goo.ne.jp/article/ft/world/ft-20080325-01.html

ダライラマの意識レベルは716、中国政府は156・・・(断定するものではないですが参考として)
どちらが嘘をついているかは、すぐわかります。
チベットは外貨を稼げる上に、安い労働力供給をしてくれるから、中国は独立を認めないでしょう。
ダライラマは、独立じゃなくて共存といっているようです。
中国政府は、チベット族の労働に対する正当な対価の保証とチベット仏教と文化の保護を約束すれば良いのだと思います。
それをせずに一方的な搾取ばかりだからチベット族の人たちは傷ついているのでしょう。
返信する
チベットに平穏を (えくぼ)
2008-03-27 15:59:29
署名させて頂きました。

中国の警官がチベット人に扮して、暴動を起こしたという情報もあります。

食の安全、環境問題、人権問題山積の中国。。

オリンピック開会式ボイコットの動きもEUを中心に出ていましたね。

中国に決めた国際オリンピック委員会にも批判が向けられるのではないでしょうか。。
返信する
支配階級と被支配階級 (ヘルメス)
2008-03-27 01:33:32
チベットは山なので、観光客は高山病となってしまいますね。

しかし、これほど多くの地域にチベット族が居住しているとは、知りませんでした。やはり他の民族を自分の国家に無理矢理併合することは、すべての紛争の原因になるので、チベットを併合するべきではなかったですね。このチベットの民衆蜂起はソ連やユーゴの末路を思わせるものです。

なるほどチベットは観光地化しているのですね。つまり中国政府は観光で外貨を稼げるわけですね。チベットを手放したくないはずです。そういうメリットもあったのですね。しかし、手放さないほうが、デメリットが大きいのではないでしょうか。中国の国際的信頼を下げます。

でも資本家が漢民族で労働者がチベット人というのは、なにかマレーシアでの、華僑とマレー人の階級関係を連想させました。だから、マハティールはブミプトラ政策を推進したんですけどね。南米のちょっと前までの、スペイン人とインディオの関係と同じですね。

こんな国で、よくオリンピック開催を認めたものです。


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