あまの鍼灸院ブログ

鍼灸院での毎日の様子をアップしています。
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水の惑星『地球』と漢方はり治療 〈論考  天野靖之〉

2022-09-25 21:57:00 | ブログ
こんにちは🌞今日は気持ちの良い秋晴れでしたね🌞

毎週日曜日は、院長の自伝です。
本日は、以前漢方鍼医に寄稿した文章をこちらでもご紹介します。

10月に、名古屋市で国連の「生物多様性条約第10回締約国会議(COP1
0)」が行われた。そこで我々鍼灸師にとって欠かせない、『宇宙と地球』、
『人と健康』についての一考察を述べてみたいと思う。
 宇宙は約137億年前、地球は約46億年前に誕生。そして人類は、約800万~
500万年前にアフリカの類人猿が進化して誕生したものだといわれている。
この脈々と受け継がれている生命の育みが危機状態にある。傲慢な人類の経済優
先主義による開発などに端を発す自然破壊がその原因だ。
 世界的な異常気象。日本列島でも今年の夏、猛暑が襲い温暖化の波に歯止めが
かからないことを実感されたのではないだろうか。年毎に感じる日ざしの痛みす
ら伴う強さもオゾン層の破壊を示唆している。富士山頂上周辺に広がっていた永
久凍土が激減し、植生や生態系への影響が心配されている。また、50~60年
代以降、日本海でも底層水の酸素濃度が減り続けていることが分かっている。1
00年後には日本海の海底付近が無酸素状態の『死の海』になる恐れもあるとの
ことだ。
 さて、話を『小宇宙』に転じよう。自然に生息する微生物などの遺伝資源まで
も科学研究の名の下に乱獲して薬剤として商品化する。
そして大宇宙はついに小宇宙たる『人』に鉄槌を下した。今年の夏に日本人を震
撼させた抗性物質の乱用による多剤耐性菌アシネトバクターの問題は現代医学の
あり方に疑問を投げかけた。細菌を駆逐することで発達した現代医学は細菌に負
けた。細菌と人類の知恵比べである。薬異存の現代医学に、『医界の鉄槌』(和
田啓十郎・明治四十三年発行)を下すのは誰か。
 人は地上に生を受け、天の気と地の気とをうけて育っていると言う『天人合一
論』は東洋思想を貫く原理である。
 「手の太陰の気絶すれば、即ち皮毛焦る。…、皮毛焦れれば則ち津液(水)去
る。…」(難経二十四難)。
「天一水を生ず、二に火を生ず…」(易経)。
「水はこれ三才(天・地・人)の母」(道家)等々、古人の遺した知恵を経済優先
の人類に知らしめたいものである。
 大宇宙に対する小宇宙という考えは、ギリシャやインドなどにもあって漢方医
学だけのものでは無い。しかし、陰陽という相反する要素のバランスを整えるこ
とが人体の健康に繋がるという考えに発展し、更に、陰陽二元論だけではすべて
の自然現象を明解に説明することは困難であるために、三元の三才論(天・地・
人)や五元の五行論(木・火・土・金・水)が登場した。これらを臨床にまで体
系化したのは漢方医学だけである。薬剤乱用による人体の健康を考える時、宇宙
と一体不離の関係であるとした自然哲学から生まれた生命観と疾病観による漢方
はり治療(経絡治療)が、今後の医学にとって光となるに相違ない。
【2010(平成二十二年)、機関誌・漢方鍼医・巻頭言より転載】


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