当院では私が鍼治療をした後に、必ずと言っていいほどお灸を
させていただきます。このお灸は鍼治療の効果を補うためのものですが
このお灸にもいくつかのやり方やもぐさの種類がございます。
どのお灸も熱すぎることなくやけどなどにもならないお灸ですのでご安心くださいね。
一番多くの患者様にさせていただいているお灸が知熱灸(ちねつきゅう)です。
主に肩や背中(場合によっては手足にも)をゆっくりと温めるお灸です。
ぽかぽかとして気持ちの良いお灸ですが、これは凝っていたり冷えていたりする場所を
温めて気の流れや血の流れを整えています。あまりツボとは関係なく
症状が表に出てきている箇所に施灸しています。ゆっくりと温めるのが目的ですから
わりと荒いもぐさを使用しています。
もぐさの原料はヨモギで、ヨモギの名前の由来は、四方に根茎を伸ばして広がる「四方草」という説や、良く燃えるから「善燃草」という説があります。
葉の裏の白い「綿毛」を集めるとお灸に使う「艾(もぐさ)」になります。
高級な艾ほど葉が混じらず、白い綿毛だけになります。
生薬では艾に葉がついて艾葉(がいよう)と呼びます。
艾葉は体を暖めて下腹部の痛みや出血過多などを治すので婦人科系でよく用いられます。
お灸にはただ温めるだけでなく、治療効果もあるのですね。
表に出ている症状とは少し違って、経絡上のツボにしている「ちくっ」とするお灸が
当院でいう『点灸』(てんきゅう)です。八分灸の方法でやっています。
もぐさの八割が燃えたところでとってしまう方法です。これが熱すぎず火傷にもならず
効果もある方法だからです。胃腸系の弱い方でも胃腸の辺りにするのではなく
主に背中にある胃腸のツボを使いますが、ツボに対して施灸していますので
痛みやコリの感じる場所とは違うと感じられるかもしれません。
こちらは最上級のもぐさを使用しています。もぐさで有名な『伊吹もぐさ』です
なぜ、伊吹もぐさが日本で一番上等だとされるかというと
織田信長が当時ポルトガル人に命じて伊吹に薬草園を作らせ
その時より続いていると言われていますね。当時3000種を超える薬草が栽培されていたようで今でもヨーロッパ原種の薬草が見つかるそうです。歴史を感じますね。
現在の米原市に『伊吹薬草の里文化センター』というものがありますから
興味のある方は一度訪れてみてはいかがでしょう?
伊吹薬草の里文化センター http://joyibuki.com/index.html
他にも灸頭鍼や大知熱灸など症状にあわせてさまざまなお灸をさまざまな艾を
使用して行っています。あくまで鍼の補助的療法なのですが
治療中になかなかご説明する機会がありませんのでお話させていただきました。
なかなか奥が深い・・・と思われませんか???魅力ある学問ですよ・・・・